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転生鬼族は任侠道を貫く  作者: めもめも莉莉愛
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マグナシア

鬼族で極道……ベタですが好きです。

 

 マグナシアでは1年を12ヶ月、1ヶ月を30日きっちりで数えるらしく1年間360日。そして1月から12月までの呼び方も変わらず日本出身の俺としては覚えやすくて助かった。


 そして今日、俺は母親の家事の手伝いと父親に稽古を付けて貰える区切りの6歳の誕生日を迎えるのだが


 父親が帰ってくるなり一緒に風呂に入ろうと急かしてきてやたら長風呂を強要される。


「いやー今日は何の日だっけなー、何となく晩飯が豪華な気がするなーうん!!!」



 これで本気でバレてないと思っているのか……父親のあからさまな態度に思わず吹き出してしまった。


「……ぷっ。そうだね、今日は何だか晩ご飯がいつもより楽しみだなぁ」


「ほう!!そうだろうそうだろう!いやあ、体もあったまった事だしそろそろ出るとするか!」


「うん、そうしよっか」



 この6年間で自分でも驚く程にこの両親の息子として自然に接しられるようになった。なんとなく言動がこの世界の体に引っ張られて前世の人格が薄れていっている気がする。


 それがいい事なのかは分からない。だが死んじまったオヤジやあいつらの分もこの世界で生きていこうと、今なら思える気がするんだ。



「おーい!チカゲ!母さんが待ってるから早く来るんだ!!」


「今行くよ!」


 東城千景ではなく


「ぱんぱかぱ〜ん。チカゲちゃん6歳のお誕生日おめでとう」


「おう、おめでとうチカゲ!!」



 ()()()達の息子のチカゲとして。









 翌日、母さんから貰ったレッドボアという魔獣の皮でできた道着を着込み、俺は裏庭の稽古場にていつになく真面目な顔をした父さんと向き合っていた。



「まず初めにお前に教えておく事がある。俺が知りうるこの世界こと、我々鬼族の事についてだ」


 ステータスが見れる事は俺しか知らない為マグナシアや鬼族については知らないふりをしてここは素直に父さんの話に耳を傾けた方がいいだろう。



「この世界……マグナシアは主に3つの種族で成り立っているのだ。」


 そして父さんは続ける。


「1つ目の種族は最も数が多く大陸の半分を支配している、人族」


「人族?」


「うむ。我々のような鬼族とは違い体は小さく寿命も短い。しかし奴らは魔法という人間にしか使えない固有の能力を持ち人族至上主義を掲げ他の種族を淘汰する考えの者が大半だ」


 魔法が人族にしか使えないってのは初耳だ。だが鬼族が人族……人間にとって敵と見なされる事は予想がついていた。



「我々のこの村は凶暴な魔獣が生息する深い森に囲まれている為人間に遭遇する事は殆どないだろう。だがもし出会った時は……」


「出会った時は?」


「殺すのだ。不意打ちでも何でも構わぬ」


「そんな……」


 父さんがここまで言い切るほどか。この世界の人族との溝は俺が思っていた以上に深そうだな。



「……鬼族と会話を試みる人族などいない。奴等にとっては我々は討伐対象でしかないのだ」


「父さんは人族と会ったことはあるの?」


「ある、と言っても見かけただけだがな。人族には冒険者という魔獣や亜人を討伐する事を生業としている集団がいると聞いた事がある。俺が見かけた人族も恐らくその冒険者という者だろう」


 定番だがやはり冒険者も存在するのか。そして他に気になったのは……



「亜人?」


「うむ。人間の話はここまでにして次は2つ目の種族、亜人について少し話そう」



「亜人というのは正確には人族、そして獣人族以外の全ての種族を指す。我々鬼族も亜人に含まれる」


「じゃあ鬼族以外にも亜人はたくさんいるってこと?」


「左様だ。まあこの呼び方も人間達(やつら)がそう言っているだけなのだが……我々は鬼族であり亜人族では無いからな」


 なるほど。あくまで種族としては俺達は鬼族だが亜人という枠の中で一括りにされているって事か。



「そのため亜人と呼ばれる種族の者達は自分達のことを亜人と呼ぶ事はほとんどないのだ。皆己の種族に誇りを持っているからな」


「そうなんだ」


「うむ。長くなってしまったが最後に3つ目の種族、獣人族についてだが……奴らは大陸の西に国を築きそこで生活を営んでいる。たまに野良の獣人族を見かけることもあるが出会う事はないだろう」


「もし会っちゃったらどうするの?」


「人族ほど我々を毛嫌いする者は少ないらしいが警戒するに越した事はないな。会話できる者もいればいきなり襲い掛かる者もいるだろう」


 種族は同じだろうとそれぞれ色んな考えのやつがいるってのはどの種族でも変わらないんだろう。人族の中にももしかしたら友好的な人間もいるかもしれないしな。



「僕からも聞きたいことがあったんだけど……」


「うむ、父さんでも分かることなら答えるぞ」


「うん、えっとこの村の人は全員鬼族なんだよね?」


「そうだ」


「じゃあどうして角が長かったり短かったり、皮膚が赤かったり色んな見た目の人がいるの?」


 父さんは角が長く俺が今まで見た鬼族の中で一番体が大きく肌は浅黒い。だが母さんは額の小さな角を隠せば人間と変わらない見た目をしているし村の中には容姿に様々な特徴を持った人が沢山いる。




「それはだな、皆少なからず一度は進化を経てるからだな。人間や獣人族はする事のできない、我々亜人と呼ばれる種族の者たちの固有能力だ」


「ーーっ!……進化ってなんのこと?」


「うーむ……何といったら良いのか。体というかこう、存在そのものを一段上へと造り替えられる感覚というか。修行を積むことや魔獣を倒すことが進化する為の近道だと言われているな」





 恐らく修行や魔獣を倒すことによってレベルやスキルの経験値とやらが増え一定のラインまで到達した時に進化を果たすのだろうが……



 それにしても魔法に進化まで存在してるとはますますゲームじみた世界だなマグナシア(ここ)は。












ご愛読ありがとうございます。


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