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転生鬼族は任侠道を貫く  作者: めもめも莉莉愛
2/14

東城会

2話目になります。地元で小さい頃なんでこのおっちゃんは夏なのに長袖を着てるんだろうと思っていたら地元のヤクザ屋さんでした。

 

 あの日オヤジが俺を引き取ってくれてからこの町へ越して来てもう20年になる。


 中学高校と不自由なく育ててもらい多少のやんちゃはしてたものの俺を少しはまともな人間へと育ててくれたオヤジに組に入りたいって言った時は何度も止められたっけな。




 ーー東城会。


 東京郊外の小さなこの町のみを拠点とし全国の組織と一切の繋がり、枝を持たずオヤジが初代を務めるいわゆるヤクザってやつだ。


 構成員は36人と少ないながらもクスリや恐喝、詐欺はご法度とし夜の店のケツ持ちや真っ当な店の経営、そして投資や金貸しなどを主なしのぎにしている。


 町の飲食店での客とのいざこざや他の町のヤクザや半グレ、不良達がでかい顔しないよう対応、もとい排除していたら強制してもねえのにどこも毎月みかじめとして金を収めてくるようになっちまった。



 さっきの商談も新しくこの町でバーを開業したい奴が何処から聞いたのか分からねえがスーツに菓子折り持ちながら挨拶に来たがこちとら好きに商売してもらって構わねえしそれが町の為にもなるって説明したんだが……まあいい。


 そんなヤクザ組織で俺は若頭をしている。一応No.2の立ち位置にはいるがまだまだオヤジがいなきゃ東城会は成り立たないため最近よく引退とかボヤいてやがるがこれからもしばらくは引退させないつもりだ。


 そんな事を考えていたら携帯に着信が入る、山本からだ。



「もしもし、俺だ」


「お疲れ様です。今婆さんの所にいって話つけて来ました。いつも通り菊池さんの倅の所で果物と羊羹、あと残りの金は婆さんの入院費にあてときました」


「お前にやった金だ。残りの使い道はお前が決めりゃいい。」


「はいはい、分かりましたよ。ほんと素直じゃないんだからもう」


 呆れたように山本が言うがホントの事だろうが。



「19時でいつもの焼肉屋で予約とっておきました。もうすぐ下のモン連れて事務所に戻るんで兄貴寝ないで待ってて下さいよ」


「おう、分かった」


 そう言って電話が切れるが山本の奴、俺を子供が何かと勘違いしてねえか?言われなくても寝ないで待ってるっつーのに。



 だがあれはあれで優秀な男だ。歳は俺の二つ上で役職は若頭補佐、歳上だが生意気なことは言わず奴の投資系のしのぎは東城会にとって重要な資金源となっている。荒事に関してもある程度腕は立つ。


 ほんと、俺に変わって若頭としてもやっていけるよよあいつは。






 そんな事を考えていると事務所の扉が開き目を向ける。


「おう、お疲れさん」


 そう言いながら手を上げこちらへと歩いてくる初老の男性。


「ってオヤジ!お疲れ様です」


 山本達かと思い油断していた俺はいきなりの組長(オヤジ)の登場に立ち上がり膝に手を当て頭を下げる。


「どうしたんですか急に。今日はゴルフの後隣町に足を運ぶ筈じゃあ……」


「おう、そのつもりだったんだけどよ。山本の奴からおめえが俺に何か話しがあるって聞いてよ、珍しい事もあるモンだと思ってちいっと寄ってみたんだ」


 やっと引退させてくれる気になったかとオヤジは陽気に笑う。



「山本が?」


「さっき電話でそう言ってたぞ。俺もちょうど帰り道だったから都合が良かった」


「俺は話があるなんて言ってないですよ。それに今から下のモンでも連れて飯でも行こうってなってて……」


「うん?そうなのか?じゃあ一体何だってそんな嘘ついたんだあいつは」


「分かりません……。もうすぐあいつも戻って来ると思うで聞いてみます」


「おう、じゃあ茶でも入れてくれ。あと今は他のモンもいねえんだからそんな畏まった喋り方じゃなくていいぞ」


「はい……ああ、わかった」


 組の中では立場があるため敬語を使っているがこの人はヤクザとしても親だが自分の事を育ててくれた親でもあり二人の時は親子として砕けた話し方で接していた。


 それから茶を入れた後久しぶりに二人で団欒していた中再び扉が開く。



「お疲れ様です、若。何ですか話って……オヤジ!」


「おう、お疲れさん。おめえも山本に言われて事務所(ここ)に来たのか」


 入って来たのは軽く190センチを超える身長に学生時代柔道で鍛えた体に厳つい顔、東城会きっての武闘派として知られ敵性組織との揉め事には一番に駆けつけ組の為、そしてオヤジの為に体を張る幹部の西条だった。



「ええ、山本に電話で若から話があるから事務所に来いと……」


「いよいよ何考えてんだあいつ。俺や西条ならまだしもオヤジまで呼びつけやがって」


 山本に対して怒りとは違う不信感が募っていく。今までこんなことは一度もなかったんだが……



「まあいいじゃねえか。俺や幹部連中が集まった場じゃなきゃ話せねえ事なのかも知れねえしよ」


「オヤジがそう言うなら……。この分だと他の幹部二人も呼ばれてそうですね」


 予感は的中しその後に飲食部門を纏める鮎川、金融部門を纏め長年オヤジの右腕として組に尽くしてくれている市川までもが小さな事務所に集結したのだった。









ご愛読ありがとうございます。



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