豆腐メンタルは守ってナンボ!
先日、ほかの物書きさんとお話をしていてふと思ったことを。
世の中には「豆腐メンタル」なんて言葉が横行していて、「弱いから潰されるんだよ」とか「もっと強くならなきゃ」とかいう言葉をあちこちで聞く。
実際、世の中はあれやこれやきれいごとを並べたところで所詮は弱肉強食ですよね。だからこの日本でこれだけ貧富の差が激しくて、ろくに食べられず学校にも満足にいけない子供が増えているのでしょう。
だから、そういう主張も事実ではある。
でも、こちらサイトをはじめネット上でもリアルでも、物書きをやっている皆さんて本当にそんなにメンタルの強い人ばかりなの?
というか、逆にメンタルが強すぎて普段から他人に向かってものすごく無神経なことを言い放っては平気な顔をしているような人たちが、本当に人の心に訴えるような繊細な物語を紡げるの? と、そういう疑問を覚えました。
その時はお相手の方と、そういうメンタルを「鈍感ダメンタル」と表現していたのですが。
あとでふと思ったわけです。
ものを書く人というのは、もちろん、どんな内面の人であってもいい。書く人によって書かれるものは千差万別ですし、そのほうがむしろ健全です。
そうやってその千差万別であるところの内面を吐露して、こういうネット上でもいいから誰かに目にとめて頂いて、場合によっては感想などいただいたりして反応を貰って、それでやっと胸の中でごろごろと渦巻いているものを昇華できる。
むしろ、私なんかはそういうことのために物語を書いているような気がしています。いや勿論、それで読む人に楽しんでいただけたらなおよろしいのですが。
人からの評価はもちろん気になるし、あまりにも「駄作だな」「あそこのシーンは面白くなかった」「こんな連載やめてしまえ」という反応が聞こえてきたらへこむのですが、目的の大きな部分はそこではないので書き続けることはできる。まあ、どうにかですけれどもね。
昔、まだ私がわかーいオネエチャン(笑)だったころ。
ほんまに何十年も前のことです。
ただのマンガの二次創作だったのですが、私は自分が書いた小説を、当時オリジナル小説を書いてあちこちに投稿もしていたとある先輩に見せました。そしてうっかり「気になったところ、直すといいところなど助言やご批評などがあったら教えてください」と伝えてしまった。
そうしたらですね。
いや、その人は特別なのかもしれませんけども、「こことここがダメ、あそこはオカシイ、あのへんがこうでああで、こういう風に書いて読者に気持ちよくつっこませてあげなきゃダメ」とかなんとかと、得意げに散々書いてきた。
その挙げ句、最後に「だってあなたが『よかったら助言や批評を』って言ってきたんだから。あっはっは」という言葉で締めてあったのでした。
いや~、ダメンタル(笑)。
そのがさつで無神経な心についていけない。
いやまあ、その時たまたまその方が虫のいどころが良くなかったのかもしれないし、こちらが後輩だから気が大きくなったのかも知れないとは思います。それにしても、行間からにじみ出てくるのは完全にこちらを見下して嘲笑っている雰囲気でした。
もともと普段の会話からして楽しく続けられる感じのかたではなかったんですから、自衛すればよかったんですよね、自分。今でこそ当時の自分にそう言ってやりたいと思いますが、いかんせん、当時はそうは思えなかった。
そのかた、その後一応デビューはされたのですが、その後どうしておられるのやら。
ふとそう思って、実はペンネームをすっかり忘れていたのを何とか思い出してさきほど検索してみたら、最近ではほとんど作品を発表していないご様子でした。ペンネームを変えて活動している可能性はありますが、そこまでは分かりません。もともと立派な本業を(しかも高収入ね・笑)お持ちなので、生活には困ってないはずですが。
それでもまあ、デビューはデビューなんで凄いなと思います。それこそ、編集さんや読者さんからズバズバきついことを言われても書いてこられた結果なわけですもんね。
ただ私個人が当時から書いておられたものをあまり面白いと思えなかったので、なかなか評価は難しいところですけども。
ついでながら、感情的なことはさておき、そうやって言われたことについては今でも覚えていて、現在の創作に生かさせていただいております。ちゃっかりしてますね、私も。
とはいえ今ではもう、体力的にそこまで耐えられないので、できるだけ「変な人」には関わらないようにしていてほとんど被害はありません。けれどもネットの世界に足を踏み入れてしまったせいもあって、最近でもうっかりするとたまに変な目に遭います。
ただ、今と違って良くなかったなと思うのは、当時は変に真面目に考えてしまっていて、「たとえ付き合いにくいと思う人でも、ちゃんと我慢して付き合わなきゃ。そうでないと自分が成長できないし」などと考えてしまっていたことですね。
ええ、クソ真面目だったのですよわたくし。
いやもちろん、そのうちドツボにはまりましたとも。
その結果、鬱ぎみになって引きこもってた時代というのがありました。とはいえそんなに長くはありませんでしたけれど。
ということで、人間関係、特に自分の創作関連でお付き合いする相手については絶対に無理しないこと、が大事かなと思います。
なんと言っても、あまりに叩かれると大切な創作意欲がそがれてしまうからです。そんなことで書けなくなっている時間がもったいない。もはや今はそうとしか思いません。なにしろ残り少ないので。
もちろん、どんな批評もシャットアウトすればいいというものでもありません。「ここは変えた方がもっと面白くなるかも」という、信頼できる方からの真摯なご意見には耳を傾けた方が自分のためにはなりますよね。なんの向上もないままただ執筆しているだけ、というのはさすがに虚しいでしょうし。信頼できる仲間うちで、誠実なやり取りの中で行われる分には大いになさったらよいのではないかと思います。
少し話がそれました。
別に豆腐メンタルでもいいのです。豆腐メンタルな人には、繊細な豆腐メンタルな人の心に響く物語がきっと書けるんですから。そういう人には、やっぱりそういう人の言葉が響くんじゃないのかなと、そんなことを思います。
「周囲に人がいないのは本人のせい」というのはよく聞きますが、選択の余地のない家族やら職場の人間はともかくも、プライベートで付き合う人間ぐらいはだれだって選んでいいと思います。だってそれも、貴重な人生の時間を使って付き合っている相手なんですもんね。
あとはまあ、どうしてもいつも変な人しか寄ってこない場合、自分自身を省みるようにしたいなと思います。
ええもう、そりゃあ若い頃の自分、たぶんめちゃくちゃ鼻持ちならないオネーチャンだったんだろうなと、今は自戒しているところです……。ああ、ブーメランや……。
ともあれ、ものを書くみなさん、ぜひともご自身のメンタルは守ってください。
そのメンタルでこそ、届く人と言葉があるはずです。
そういう物語を待っている人がきっといます。
別に出版なんかされなくても、ここで発表していたら見てくれる人は一定数、必ずいるわけなんですし。
さあ、明日からもレッツ執筆!
お互いがんばっていきましょう。