時が止まった君と動く私
高校生の私にとっては、学校が全てと言っても過言ではない。
「おはよー!ねえねえ、新作のスムージー買っちゃった!みかんヨーグルト味なんだけど今回こそは当たりかなあ?」
私は教室ではカーストが1番高いグループに所属している。故に、毎日を楽しく過ごせている。
「えー、また凛変な味の新商品にチャレンジしてるの?」
「本当こりないよねー!さあ、早く飲んで感想をきかせてよ!」
私中心の会話は気持ちがいい。このグループの中でも私は中心になることが多くて、本当に良い立ち位置だ。
みんなと騒いでいるのは楽しい。
でも、何か満たされない。
きっと私は寂しいのだと思う。
帰り道は友達といつも帰っているが、電車を乗ったらお別れする。
よく遊びにも誘われて程々に顔を出すようにしているが、あまり誘いには乗らない。
わたしには大切な用事があるからだ。
行き慣れた道を歩きながら、学校での私を封印する。別に特段キャラを作っているわけではないけど、これからは素の自分になりたいのだ。
向かう先は病院。
通い始めて早2年経った。
慣れた受付を済ませていつもの病室に足を運ぶ。
「今日も会いにきたよ。大好きだよ。」
その安らかに眠って動かない彼を見ると胸が苦しい。
桜が舞う季節に出会い、そこから私の人生は変わった。
「凛はいつも他人にとらわれすぎてるよ。もっと自由に生きな?」
彼に言われてすごく印象に残っている言葉。
自由に生きることなんてできない。
自由に生きる方法がわからない。
それを教えてくれると思っていた彼は、目を覚まさないで病室で寝ている。
いい加減自分で自由に生きる方法を見つけなきゃ。
彼はきっとこれからも目を覚まさない。
でも、私は諦めないでここにくる。
私は彼が寝ている間も自分で人生を決めなきゃいけない。
籠の中の鳥ではなく自分で羽を羽ばたかせる。
「そろそろ行くね。」
人生を諦めない。
帰り道に彼が大好きだったみかんを買って食べよう。
甘酸っぱいけど、前を向いて歩いて行こう。
頑張るのは難しいから、まず過ごすことから始めてください。歩き始めてから頑張ればいいと思います。




