4-そうだ、借金をしよう
30歳を過ぎても借金の経験がなく、クレジットカードを持ったこともない人間のことを、金融の世界ではスーパーホワイトと呼んでいます。
格好良さそうなのは名前だけで、言わば「やらみそ」と同じラベリングです。人格破綻者同様の扱いで、社会的な信用度はゼロということです。
どれだけダメ人間かというと、この文章の筆者もスーパーホワイトです。
政府が国民に、これだけ「借金しろ」「借金しろ」と勧めているのですから、借金をしない人間は反政府勢力と同じです。
国民が借金をしないと、銀行が見せ金詐欺もとい信用創造を行なえず、経済成長が鈍化してしまいます。
だから借金をするのは国のためでもあります。
もし借金で首が回らなくなったら、自己破産すれば済むことです。
それで借金は棒引きになります。
不良債権が積み重なり、たとえ銀行が潰れても、税金で穴埋めされるから誰も困りません。
いくら税金を使っても、経済官僚の懐は痛みません。
年収30万円では、銀行はおろかサラ金でさえ金を貸してくれません。
けれども税金はきっちり取られます。
破産した人の負債は、金を借りられない貧乏人が肩代わりするわけです。
貧乏人が金持ちを助ける、実に美しい相互扶助システムです。
ですから金を借りられるうちは、どんどん借金するのが正しい生き方です。
借りた金で無駄なものをどんどん買って、贅沢の限りを尽くしましょう。
そうすれば景気も良くなって、アベさんもクロダさんも大満足です。
ところで、景気はなぜ変動するのでしょうか。
キチンの波は在庫投資、ジュグラーの波は設備投資などと、教科書には書いてあります。
けれども、もっと根本的な原因があります。
いらないものを作っているからです。
最低限の食料など、それがないと死ぬようなものであれば、売れなくて困るということはありえません。
経済学、経世済民の学とは、生産力が低い時代には、いかに物不足を補い、困っている人を助けるかという学問でした。
現代の経済学の主要テーマは、いかにいらないものを売りさばき、困っていない人を儲けさせるかという問題になっています。
失業するのは、いらない仕事だからです。
端的に言えば、経済成長とはいらない仕事を増やし、いらないものを大量に生産することです。
みんながいらないものを欲しがっている限り、好景気が続きます。
しかしあるとき、「こんなものいらない」と気づいてしまえば、景気は悪くなります。
だとすれば、不景気は怖くありません。
最低限の生活に不可欠な食料や衣料品は、十分な量が供給されているはずだからです。
それでも食うに困るというのなら、誰かが不当に利益を独占しているせいです。
底辺から言わせてもらえば、景気は悪いほうが楽です。年30万程度なら不況でも稼げます。なにより物価が安くなるのは大歓迎です。