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DARK´KNIGHT  作者: あごひげ
3/10

二章  旅立ち

そろそろ戦闘シーンとかも入れていきます。

もうひとつ物足りない、と思われるかと思いますが、長〜〜い目で見てやってください。


前回までのあらすじ


 魔物を倒す旅にでた少年・アレンは、行き倒れたところをギルド【暗黒ダーク騎士ナイトのマスター、ヴァルドに助けられる。

 アレンは、【暗黒の騎士】に入り、ギルドのメンバーと旅に出ることに………。



登場人物


アレン・サーペント  魔物モンスターを倒し、自分の名を上げるため旅に出た15歳の少年。この物語の主人公。

趣味:剣を眺めること


ヴァルド スノフォール在住のギルド【暗黒の騎士】(ダーク・ナイト)のギルドマスター。村の近くの峡谷でアレンを拾う。

趣味:ライフルの手入れ


アミノ スノーフォール在住の狂科学者マッド・サイエンティスト。ギルド【暗黒の騎士】の副ギルドマスターの1人。

趣味:アレン苛め


ネーア スノーフォールの道具屋の店主の魔法使い。アミノと同じく、【暗黒の騎士】の副ギルドマスター。

趣味:魔導書グリモワールを読むこと

「―――んっ……、ふぁぁぁぁぁ、よく寝た……。」


 アレンは、久々にベッドの中で朝を迎えた。


 アレンは、ベッドから出て、カーテンを開ける。雪に反射した太陽の光が部屋と、アレンの目に飛び込んでくる。

 

 外では、村の子供たちが雪で遊んでいる。


 その光景を見たあと、アレンはレザーアーマーに着替えて朝食を食べに下の食堂へと降りていった。




「あら、ボウヤ、おはよう。」


 宿屋のおばさんが笑顔で挨拶をしてくる。


「おはようございます。」


 アレンは、その挨拶を返す。


「まだ朝食が出来てないのよ。そこのテーブルのところに座って待ってな。もう少ししたら持ってきてあげるから。」


 アレンは、おばさんの指を指したテーブルに着く。



 ―――10分後―――


「はい、お待たせ。」


 おばさんが、パンやスープなどの入った皿を載せたお盆を持ってくる。


「おお、美味そう!いっただっきまーす!!」


 アレンがパンをかじる。


「ほぅむ、ふぅめぇ!!(うん、美味ぇ!!)」


「美味しい?」


 アレンは首を縦に何回も振り、それから飲み込んだ。



「ここ雪多いですね。」


 窓の外を見ながら、アレンが言う。


「そうね。ここは結構雪がよく降るところだからね。この村の名前、スノーフォールって言う名前の由来も、『雪の降る町』って言う意味だしね。

 でも、こんなに雪降ったのは久し振りね。」


 おばさんがニコニコしながら話す。アレンも、その話をパンやスープを頬張りながら聞き入っている。


「そういえば、ボウヤ、鎧着てるけど、傭兵さんなの?」


 おばさんは、聞く。


「いえ、ただの駆け出しの戦士です。」


 アレンは、笑いながら答える。


「にしても、このパン美味い!」





「…餓鬼……、いつまでタラタラと食事しているのかネ………。」


「………え?」



 アレンは振り向く。そこには、恐ろしい眼つきでアレンを睨んでいるアミノの姿があった。


「…ひっ……ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 アレンが、椅子の上から、転げ落ちそうになる。


「あら、誰かと思ったら、アミノさんじゃないの。」


 だが、おばさんは意外と冷静だ。おそらく、このようなことはこの村では、日常茶飯事のようだ。




「アミノさんも、朝食いる?」


 おばさんは、相変わらず、ニコニコしている。


「朝食だと?そのような時間の掛かる栄養摂取、私は好きじゃないんだヨ………。」


「時間の掛かる……?」


 アミノの発言に、アレンが驚いている。


「……そうだヨ。時間の掛かる栄養摂取なんて、馬鹿げているとは思わないかネ……。」


「……じゃ、じゃあ、アミノさんはどうやって………、」


「……こうするんだヨ………!!」




 そう言うと、アミノは何処からとも無く、注射器を取り出した。その注射器の刺さらないように付けてあるキャップを外し、針を、腕に思いっきり突き立てる。






 



「………えっ?ええええええええええええええ?」


 アレンは、その光景を見て、ドン引きしている。


「何をそんなに驚いているのかネ………?慣れればそんなに痛みは判らなくなってくるヨ。むしろ、この針の痛みが快楽に変わってくる………。」


「………。」


 おばさんは、沈黙している。


「…心配は無い……、餓鬼の分の栄養も用意してあるヨ。いま打ってあげるヨ……。」


「いや、良いです!良いです!なんか、どっか変形しそうだし………。」


 アレンは、必死に抵抗する。


「別にいいだろ?折角画期的な栄養の摂取方法教えてやったのだから、少しくらい角が生えたり、羽根が生えたりしたって……。さあ、腕を出し給え。」


 アミノが、アレンの腕をつかむ。


「やっぱり、容姿まで変えるつもりだったんですね!!やめてください!!もう良いですから!!」


 




「もういいだろ!そんなガキ虐めてなにが楽しいんだ?」


 そこに、ヴァルドが現れる。


「……チっ……、五月蝿うるさいのが来たヨ。」


 アミノが、宿屋の外に出る。


「アレン、さっさと食っちまえ。もうすぐ出発だ。」

「は、はい……。」


 アレンは、すっかり冷たくなったパンとスープを口の中に放り込んだ。





「じゃあね、ボウヤ。まだ泊まりにおいで。」


 宿屋のおばさんは、アレンが外に出てからも、扉から上半身を乗り出して手を振ってくる。アレンも、手も振り返す。



「さて、そろそろ出発するか。」


「……あれぇ?ネーアは?」


「そのうち来るさ。」


 ヴァルドが答える。刹那、突風がアレンたちの前から吹いてくる。その突風は積もっていた雪を巻き込みながら、アレンの後ろで、小さな竜巻になる。


「うわぁ!?」


 アレンは、後ろの竜巻に驚く。


「そんなに驚くことはないさ。」


 ヴァルドが、アレンにそう言うと、その竜巻が弱まると共に、竜巻の中から、ネーアが現れた。


「ネッ……ネーア?」


「ごめんね。驚かすつもりは無かったんだけど。」


 ネーアがニコニコしながら謝る。


「いいよ、いいよ。」


 アレンが言う。




「なあ、アレン。」


 ヴァルドが、言う。


「なんですか?」


「昨日から気になっていたんだが………。」


「だから、なんですか?」


 アレンが早く言うようにうなが

 

「その刀、見せてくれ。」


「……いいですけど?」


 アレンは、背中の日本刀を抜いてヴァルドに手渡す。


「………やっぱりか。」


 ヴァルドが刀の刃を見て、そう言う。


「……ふぇ?なにがです?」


 アレンが聞く。


「この整った斑紋……、これ、売り飛ばせば、軽く山三つは買えるぞ。」


「や………山三つ???……そんなに……すごい刀なんですか?」


「…神気風斬……。これを持った人間は、通常の5倍の力を得ることができると言われている名刀だ。」


 ヴァルドが、刃を眺めながら答える。




 ―――神気風斬、誰でも一度は聞いたことのある刀の名前であり、戦士なら、喉から手が出るほどの一品。


 


「ま、せめて、られないように気を付けるこったな。」


「はい。」

 

 ヴァルドは、そう言い、刀を返す。アレンはそれを受け取り、鞘へ戻す。


「―――さて、そろそろ出発するか。」


 ヴァルドが村の外へと歩き出す。アレンらも、後に続いた。



                   †



 スノーフォールの外は、ほとんど除雪されてなく、道が殆ど見えない上に、アレンの履いていたブーツの中に、雪がどんどん入っていく。雪が入るたびに、アレンは顔をしかめる。


「やっぱりすごい雪だな………。」


「慣れればなんとも無くなるさ。」


 雪に足をとられて、歩きにくそうにしているアレンを尻目に、ヴァルドはどんどん進んでいく。


「まあ、後5時間くらい歩けば雪の無いところに出るさ。」


「5時間か………長いなぁ。」


 ネーアがぼやく。


「さてと、そろそろ休むか。」


 ヴァルドが、雪に中でそんなことを言い出す。


「………ヴァルド………、お前はほんとに馬鹿じゃないのかネ。」


 村を出発してから、ずっと口をつぐんでいたアミノが、相変わらずの毒舌でヴァルドを批難する、


「こんな雪の中で、どうやって休むと言うのだネ?こんなに雪があったら、座ることも出来ないじゃないかネ………。」


「だから、お前に協力してもらう。」


「……私に、雪掻きでもしろと?」


 アミノが、ヴァルドを睨む。


「魔法で雪を消滅させてくれって言ってんだ。誰もお前に肉体労働強制させてなんかいねェよ………。」


 ヴァルドが面倒くさそうに言う。


「……チッ、町に着いたら、マジックエーテル(MPマジックパワー回復薬)買ってもらうヨ?」


 そういうと、アミノは、空に向かって手を掲げ、なにやら呪文の様な言葉を呟いている。刹那、アミノの周りの雪が、昇華を始め、みるみると空気中に消えてゆく。

 

「ホォラ………、消えたヨ。」   


「…ご苦労さん。」


 そこは、アミノの周りだけが春になったかのような、異様な風景が広がっていた。(アミノがそこに立っていることで、その異様な風景が、さらに異様さを増す。)


 ヴァルドが、自分の荷物の中からシートを取り出す。そして、それをアミノが昇華させたところに敷き、その上に座って自分のライフルの手入れを始める。


「…アミノさんって、怖いけどすごい人なんだな。」


 アレンがヒソヒソ声でネーアに話しかける。


「そうね、あの人は昔どこかの機関で研究員していたらしいから、魔法には詳しいのよ。」


 ネーアが答える。


「あ、そうそう、アレン君も魔法使えた方がこの先楽だと思うから、教えてあげるよ。」


 すると、ネーアは、自分の荷物の中から、なにやら分厚い本を取り出す。そして、その本を開く。


「えっとね、まず、魔法を発動するには、始動語って言うのを唱えないといけないのよ。あ、始動語って言うのは呪文のようなものね。でも、ただ始動語唱えただけで、魔法は発動する訳じゃないのよ。」


「そうなの?じゃあ、どうやって?」


「まず、空気中の魔力と自分の体内の魔力のことについて勉強しないとね。」


 ネーアが本をアレンの前に出し、所々、指を指しながら説明する。 


「まず、自分の魔力をてのひらに集める方法を教えるわ。掌を出して。」


 アレンは、掌を前に出す。


「で、手に体の力を集中させるイメージを頭に思い浮かべて見て。普通なら、一発でできるような事だから、そんなに難しくないはずよ。」

 

「…うん、わかった。」


 アレンは、ネーアに言われた通りにする。


「………はっ!!」


 何も起きない。

 びっくりするほど、何も起きない。


「…………」

 

「…………さっきの、簡単だったんだよね?ネーア………?」




 アレンとネーアの間に、しばし沈黙が流れる。


「ま、まあ、そのうち出来るようになるわよ。頑張れば……ね。」


「…………」


 アレンは、その場にうずくまってしょ気ている。

 

「と、とりあえず、さっき説明したように、空気中の魔力と自分の体内の魔力を融合させてから、始動語を唱えるの。わかった?」


「…………うん。」


「ま、まあ、まだ時間あるし、ゆっくり理解していけばいいよ。」


 ネーアがなぐさめる。しかし、アレンは、完全にしょ気てしまっている。


「………どうせオレなんか………。」


 



「おい、アレン、いつまでもしょ気てんじゃねぇ!早く刀を抜け!アミノとネーアも武器を取り出せ!!」


「……え?」


 ネーアは、魔力で弓を生成し、アミノも、呪文を唱え始める。ヴァルドも、ライフルを構える。


 その銃口の先には、無数の狼の魔物モンスターの眼が、こちらを睨み付けていた。


「………!?」


 アレンは、立ち上がり刀を抜く。


「……ちっ、ウルフの群か………、また面倒なのに絡まれたなぁ、オイ………。」


 ヴァルドが面倒くさそうに言う。


「面倒臭いなら、さっさと殺してしまえば良いじゃないかネ。」


 アミノが呪文を唱え終わらせ、ヴァルドに言う。


「まあ、この位の群なら、私1人でもれないこともないけどネ……。出でよ………私の合成獣キマイラ……。」


 アミノの周りの土が、盛り上がる。そこから、蛇などの動物を合成させた人間のような物が現れた。


「これが……、私の研究成果だヨ………。」


「けっ、相変わらず悪趣味な武器だこと………。」


 ヴァルドが嫌味を言う。

 

魔物モンスターが来たぞ!」


 魔物の群が、アレンらに飛び掛って来る。ネーアが、魔力で矢を作り、さっき作った弓につがえ、弦を離す。その矢は見事、魔物1匹に命中する。アレンも、噛み付こうとして来る魔物を数匹斬り伏せる。

 ヴァルドも、魔物達をどんどん撃ち殺していった。


 アレン達の周りには魔物の死骸が転がる。


「おい、アミノ!少しはお前も動け!」


 ヴァルドが叱咤する。


「……五月蝿うるさい、分かったヨ。………血をすすって来い、合成獣キマイラァ………。」


 アミノの合成獣キマイラが動き出した。刹那、魔物数匹が真っ二つになる。


「………弱い………、弱いネ………、こいつら。」


 合成獣キマイラは、どんどん魔物を切り刻んでいく。


「………オレも、負けてられない!!」


 アレンも負けじと、魔物を切り伏せる。

 

「ラァァァァァァァァァァァ!!」


 アレンが刀を振る。魔物が2、3匹宙に舞う。


「アレン!後ろ!!」


 ヴァルドの声。アレンは後ろを振り向く。


「!!!」


 アレンの後ろに、魔物が走ってくる姿が眼に飛び込んで来た。アレンは刀を振り被り、刀を振り下ろす。


 しかし、アレンの刀は魔物ではなく、空を切る。


 魔物は、アレンの斬撃をけたのだ。そして、その魔物の爪がアレンの腕に振りかかる。


「(でも、オレには魔石がある!!)」


 アレンの腕に痛みが走る。防護のシールドは張られなかった。


「(……どういうことだ………!?)」


 アレンは痛みで刀を落としてしまった。


「くっそ……、どうすれば………。」


 魔物の爪が、またアレンに襲い掛かる。アレンはそれを腕でガードをしようとする。





「ギャウウン!!?」



 そのとき、アレンの手から、光線がほとばしる。そして魔物が血塗まみれになりながら飛んでいく。


「えっ?今のって………魔法?」


 ネーアが、驚嘆の声を上げる。


「ま、魔法?」


 アレンも、驚いたような顔をしている。




「……どうやら、さっきアレンがった魔物が、最後だったようだな。」


 アレンは周りを見回す。もう魔物はいなかった。


「……オレが、魔法使えた……。」


 アレンが、口をあんぐり開けている。


「うそ………、魔石があっても、まだ始動語も教えてないのに……。すごーい!!アレン君、意外と魔法の素質あるのかもね。」


 ネーアが、大喜びしている。








「……お、オレが魔法使えたー!!おおおおおおおお!!!!」


 アレンも、興奮を抑えきれないようだ。




「それにしても、なんで防護のシールド、展開されなかったのかしら………?」


 ネーアが首をかしげる。




「………成る程ネ。」


 アミノが、さっきアレンに攻撃していた魔物のそばにしゃがみ込みながら、言う。


「どうした?」


「この魔物の爪………、かなり弱い魔力だが、破魔の魔石になっているようだネ。」


「破魔ぁ?」


 ヴァルドがアミノに近寄る。


「恐らく、この破魔の魔石の効果で、シールドが破壊されたのだろう。破魔の魔石の魔力は、あの餓鬼の持っている普通の魔石の魔力と反発し合うのだヨ。あのシールドの魔力は薄いからネ………、破魔の魔石があれば、簡単に破壊できるのだヨ。」


 アミノが説明する。


「まあ、アレンの魔法防壁が破壊された理由も判ったことだし、そろそろ出発するぞ。荷物をまとめろ。」


そう言い、ヴァルドが歩き出した。アレンらも、その後についていく。


「もう1時間歩けば、多分町に着く。いくぞ。」



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