ざけんな
連載の“パワー”の過去エピソードです。
おまえらさ、麗香様の名前を忘れんじゃねえよ。
あーでも、最近いらつく、むかつく、あの糞が気にいらねえ。
「あいつはまじやばいんじゃね。柏谷、腎臓が悪いらしいぜ。」
「それ、持病じゃねえの?」
「そんなのねえって。最近になって急にらしい。」
「佐伯のこと暴露したからに決まってんじゃん。」
「えー、まじかよ。超怖え、呪い、まじやばくね。」
「おい、佐伯が来たぞ。」
何なんだ、糞男子がよお。おまえら、ちんたま付いてんだろ。
「おい、葉月、うちの軟弱な男子の代わりに、おまえあの糞に焼き入れな。」
「え、けど麗香さん、佐伯は4歳の時親父を呪い殺して・・」
「殺すぞ、葉月。今度云ったら、うちがおまえを叩き殺してやるよ。」
「麗香さん怒らしたら、超絶怖~。」あの糞を何とも思ってないのは、このいかれた蒔絵くらいのもんだ。
綾乃の奴なんか、糞に云ってやっただけで、“腹痛い”とか云って学校休んでやがる。
それも、“呪いかけられた。”と云い出しそうなどん暗な声で。どいつもこいつも、何びびってんだか?
あー、まじむかつく。
葉月の奴、糞をつかんだまではよかったけど、あいつにくしゃみされて、かけられた鼻水を拭いたり、洗ったりしてやがる。
「あいつ、鼻水半端じゃないっす。」
「おい、おまえさ、何鼻垂らしてんだよ。」
「まじ、汚ねえ。こいつ鼻の病気じゃない。」 その鼻水を指に1度すくって、糞の髪の毛になすり返す蒔絵くらいか。使えるのはよ。
翌日、綾乃と葉月に切れた。
「おまえらさ、まじで呪いとか信じてんのか?馬鹿には、まじ怖いのが何かを1度教える必要あるみたいだね。」
焼き入れ直すもいいけど、あの鼻垂れの呪いのいんちきを剥がさないと気が済まない。
「鼻垂れの化けの皮剥がしに行くぞ。」 葉月に探りに行かせた。
「耳鼻科行ったみたいっす。」
「よし、じゃあ待ち伏せすっぞ。」 綾乃に、耳鼻科から出て来るタイミング見張らせた。
「今、終わって出て来ました。」 報せ聞いて、帰り道鼻垂れの前を塞いだ。
「おい、おまえみたい汚いの通るんなら、街汚しの通行料払いな。」鼻垂れの奴、びびって有り金全部だしてやんの。ついでに、薬も取り上げてやった。
その翌日は学校でいたぶってやった。したら、その翌日から学校休んでやんの。
「家こもって、呪いの呪文かけてんじゃね。」 馬鹿男子がほざいてた。
「本当に呪われたら大変だから、虐めるのはよしましょう。 」屑教師は、寝言みたい云ってるし・・
あー、むかつきがおさまらねえ。余計いらいらする。
丁度、文化祭のクラスの出し物が、お化け屋敷になった。これで、“鼻垂れ怨霊”決定!学校中の晒し物にしてやる。
夜は族の仲間誘って、鼻垂れの家の周辺で爆音暴走。3日続けたら、やっと学校出て来やがった。
おまえの名前は、鼻垂れ怨霊。生きてる価値のない糞に、居場所作ってやるよ。
それにしてもだらだら垂れて汚ねえ。雑巾で拭いてやってもきりないから、バケツの水かけてやった。
いんちき怨霊のくせして、陰気臭い顔して睨みやがって、悔しかったら、まじ呪い殺してみろよ。出来ねえくせに、力ちらつかせてんじゃねえよ。おまえなんか、やろうと思ったらやれるんだ。
おまえみたい糞でも、役に立ててやろうってんだ。感謝して、稼げよ。おまえ看板にしてやっからさ。
入場料はおおまけして、税込で100円。全校生徒全員来たら、10万は集まる。名簿揃えさせて、チェックはばっちし。
教師なんか、屁でもねえ。校長も教頭も弱み握ってるし、生活指導の馬鹿は、可愛がってやったらまじ喜んでやんの。男はちょろい。
「麗香、あまりパパの顔潰すことしないでね。」って云う親父は、外じゃでかい面して教育委員会で、教師だけじゃなく、PTAにも睨みきかしてるけど、娘にはからきしの使える奴だ。
後は、稼いで、支配者が誰なのか、改めてはっきりさせるだけだ。
「休んだら、ぶっ殺して本物の怨霊にしてやっからな。」の言葉にびびって、鼻垂れは3日間の興行を、小便ちびりそうになりながら、怨霊役してやがった。
名簿チェックが効いたのか、全校全員、中には3回以上来る奴もいて、20万以上の臨時収入だ。
「クラスの諸君、御苦労。おまえらの頑張りで大成功したから、今夜打ち上げするから、来いよ。」
夜の街にクラスの奴ら呼び出して、族の仲間も呼んで、派手にやってた。鼻垂れは来てないけど、まあいいや。
何か今夜はすっきりして、気分が最高。クラスの奴らの前で、バイクの後ろで曲乗り披露だぜ。
ご機嫌で乗ってたら、急に前のジョギ―が素っ頓狂な声あげて、ハンドル切った次の瞬間、衝撃と共にジョギ―が吹っ飛んで、うちは地面に落ちた衝撃の上にバイクが飛んで来た。
ちきしょー!まともに7半かぶさって、体はぶつけた痛さで動かねえ。
「麗香さん、大丈夫っすか?」
「バイクどけろよ!」
「もうこれってやばくねえ。」
「綾乃はそっち持って。」
「あー、危ない!」 おい、飛び退くのかよ!
「ぎゃー、助けて!」 硝子板が顔めがけて落ちて来る瞬間、“呪い”が頭よぎった。
死ぬ! 首が・・
こんなのにお付き合い頂き、ありがとうございました。