貧窮問答歌:は_山上憶良へのオマージュ
【は】
話をば聞かぬは人の 性なりけり
幸も不幸も その身の内から
歯が欠けて
治す金なくただ過ごす
歯が抜けて
治す治療費工面なく
うすら寒空 笑顔でにらむ
働けば
働くほど豊かなれ
説くほど詭弁の
深みなるかな
働けど
楽にならざり我が暮らし
先の見えぬ日
繰り返しつつ
バカがいる
触れ回る事得意げに
見下す修羅も
あちこちあるなり
バカ呼ばわり
マヌケ呼ばわり
金もなし
貧しき暮らしに 道を見出す
バカと呼び
マヌケと呼ぶも人の業
報いを悟る 時ぞあれかし
バカ呼ばわり
劣れる人への掛け声と
見なすは苦し
徳の希薄さ
×一を
誇りて晒すおのが恥
×一を
勲章ごときに奉る
愚者の行進
尽きることなし
×一が
もてるはずだと勘違い
×一が
もてるはずだとうそぶく輩
バカ間抜けグズ出来損ないと
言わるる我が身
キれて返すこと無き人生
それなり上々
【ひ】
人様に
安心与える言葉なし
借り物言葉で
おのれを誤魔かす
貧乏人
金無くしても
失わるもの無し
人をして
人にあらざる
扱いに
馴れたる人の
かくも多さよ
人様の
失敗許さぬ一言に
自分はどうだと天の声
人様に愛しき言葉
かけたらん
おのれが子供に
かけたる如くに
火を灯し
責めたる心照らし出し
和合の言葉
紡ぐぞよし
左なり
では何故、
右ならずや!?と
苛められ
貧乏人
当たり前なる
呼び方に
馴染む自分の
いとおしさ
独り身と×一取り替え
誤魔化して
はき違えたる 自由の安売り
被害者に
なりたる心手放せず
逃げ場を囲いて
仕切る驕慢
被害者と
言いつのりて
愚痴重ね
被害者に
見下す位置を
奉る
被害者の
看板描きて
ご満悦
被害者を
騙りて足らぬ
生きる知恵
【ふ】
踏まれても
ただ踏まれても諍わず
ただ歩むため
前を見るなり…
仏性を
あれと祈れし
修羅の道
不器用で
下手で
手際が悪くとも
繰り返しつつ
真を運ばん
含み笑み
『死んで詫びよ』と
叫ぶ人
餓鬼畜生の
言葉のみなり
【へ】
諂いに
長けた男を
囲うのも
仕切る保身の
つまらぬ知恵かな
諂いを
技為し生きる
愚か者
【ほ】
暴力を
飼うがごときの
生き様に
貧しき人生
抗う術なし
暴力は
身体に染み付く
性なれば
言葉ひとつで
もとのもくあみ
暴力の
性を清めて
幾年月
天の許しが
出たなら幸い…
暴力を
振いし過去を
誇れるは
餓鬼の所業と
変わらざるなり
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