こんなにも素敵な日々
何気ない日のティータイム。
あなたはお茶はお好きですか。
心が満たされるような紅茶のふんわりとした香りと、ほろほろ崩れるチョコチップクッキー。幸せは身近にあるのだ。そう思える。
時刻は午後三時。おやつの時間だ……羊に抱き着いたような柔らかなぬくもりが伝わる陽気。
日差しが私の髪の毛をキラキラと輝かせる。
ふわふわの睫毛もどことなく光が宿っている。
そしてどこからか楽しげな笑い声が聞こえてくる。近所の子供たちかな?
その声に誘われ私はゆっくりと目を開けた。
微睡みの淵から浮上した私はふと気が付く……。どうやら、私は眠ってしまったらしい。
まあ、紅茶が冷めている……
仕方がないか。内心諦めて飲み干す。ほのかに残った風味に一息つくしかなかった。
白いティーカップはふちに淡い赤色の花模様が描かれていて、持ち手も繊細なもの
ソーサーはなんと……薔薇の蔦のような細かな模様がある。愛用品なの。
私はお庭でティータイムをしている。
大きなパラソルの下に華奢なアンティーク調のテーブルと椅子があって、少し遠くの木々の隙間でチュンチュンと小鳥たちも元気にさえずっている。
本日のお茶菓子はチョコチップクッキー。サクサクしていて、とても美味しい。
ホッとする。
冷めた紅茶など気にならないぐらいに機嫌は直った。
さてと、読書しようかな。と立ち上がった時……軽くよろめいてしまった。
「せめて、温かいお茶でも淹れなおしてこようかな」
すっと、姿勢を直して一歩踏み出す。
茶葉は何にしようか……オレンジペコにしよう。
決まりだ。
キッチンへと移動するのに実は所要時間が長いのだが、気にならない。
赤い花が庭園の周囲に円を描くように咲いている。
足元には乳白色のタイルに百合が青いラインで描かれており。そこをとんとんと軽やかに進んでゆくと、優雅な気持ちになれる。踊っているみたいな気分
お花柄のタイルを踏んで歩くというのはちょっと気が引ける気もしないが……ここは花畑の中の散歩だと思うことにしている
そう、ポジティブが大切。
寧ろ、この移動する時間が好きなのだ。
歩き途中に天を仰いだら、心地よい風が綺麗に編み込まれた艶やかな長い黒髪をそよそよと揺らす。そして手櫛で髪を整える
青空がとても眩い。思わず目を細めるほどだ。日傘でも持ってきた方がよかったかな。そう思った。髪は紫外線でダメージを受けるというから……。
キッチンの扉を開けた。キィ……(ちょっとだけ建てつけが悪いらしい音が聞こえる)
古い家だから仕方がないだろう。だが、そんなところも私は気に入っている。
思い出す。昔、祖母が料理するのを見ていて
『あら、お野菜が足りないわね』
と祖母が庭にお野菜を採りに出入りする為の開閉する自然な音。
程なくして、祖母が戻ってきた。人参についる泥を洗い流すさらさらとした水流の音も心地よい。とんとんとまな板で野菜を切る音も。
そして、私はテーブルからそれを眺めていて、いい匂いにぐぅ…とお腹が鳴る
幼い頃の記憶を思い出してぽやぁとしていた。
扉、いざと言う時は直すが……なるべくこのままがいい。
本当に自然の恵みは大切にしなければ。と改めて思う。私も料理上手になりたいと心から思っている。
手慣れた動作で棚から必要なものを取り出す。
紅茶缶、三分計の砂時計も。
お湯を沸かしながら、飲み干した紅茶の入っていたティーカップを洗って
「つめたいっ」そう声を出してしまった。後でハンドクリームを塗らないとね。
茶葉はティースプーン山盛り1杯をさらさらとティーポットに入れる。沸かしたてのお湯をとぽとぽ注いで、3分計の砂時計をひっくり返す。
砂が落ちきるまでの時間も、紅茶を淹れる楽しみの一つだった。
短い時間でも空想に浸っていられる。次は何を淹れよう? とか。
どこからか、音楽が聞こえている。オルゴールを聞いている人がいるのだろうか。
曲名は分からない……けれど心が安らぐ音色。頬がほころぶ感覚。
心がポカポカする。
小窓越しに窓際の椅子に座っている母の姿が見えた……箱らしきものを持っている。あれはオルゴールだ。
あ、思い出した……この曲。亡き祖母の大切にしていた職人手作りのオルゴール
母が聞いていたのね。
次は、母と一緒にお茶を飲みながら祖母関する思い出話に花を咲かせよう。
休憩も大切、家族団らんは尊いものなの。
よし、今日はオレンジペコを飲んで。
明日のティータイムにはアッサム紅茶のミルクティーでも作りましょう。
読んで下さりありがとうございます!




