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第5話

 目が覚めると僕は、縛り上げられて地面に転がされていた。

 

 それも、手足が拘束されてるとかいうレベルじゃない。

 思わずミイラか!って突っ込みたくなるほど、硬いゴムベルトでぐるぐる巻きにされてる。


 

 え?僕、どうしたっけ?


 

 辺りを探って思い出そうにも、ガチガチに固定されていてぴくりとも動けない。


 ゴムの匂いで鼻は曲がりそうだし、かろうじて風の音が聞こえてるくらいだ。

 

 風、ってことは、外?

 

 目玉だけをどうにか回して辺りをさぐってみるけど、首ひとつ曲げられないんじゃ、草の上にうつぶせで寝てるってことくらいしか分かんなかった。


 あと今の天気は晴れ。しばらく雨の予報なし。

 

 ……って、どうでもいいよ。


 

 真面目な話、ここはあの高度すぎる結界を張ってたやつのアジトって線がすごく濃い。

 

 これ、物語でよくあるやつじゃないの。

 

 落ちこぼれ主人公がいきなりラスボスに遭遇して、けど実はめっちゃ強い、みたいなやつ。


 俺TSUEEEEEEE!みたいなさ。


 余裕で魔王ぶっ倒せちゃったりして。


 超かっこいいよね、あんなこと出来たら一発で英雄じゃん。

 

 まあ僕、超YOEEEEけどさ。


 ごくごくふっつうのC3ランクだからね。


 素人に毛が生えたようなもんだからね。


 これでもちょっと上がったけどね!


 

 問題は、こんなYOEEEE僕を何で攫ったのかってこと。


 YOEEEE僕が大事な秘密とか握ってる訳ないし、YOEEEE僕はスキルもKUSOZAKOだし。


 あんな結界術の使い手は知能もものすごく高いはずだけど、どんなに頭をひねってもYOEEEE僕の使い道なんてエサしか思いつかない。

 

 ……言ってて悲しくなってきた。


 

 というか、僕ってまずエサにする価値ある?


 もっと強い冒険者でも攫えちゃうだろうにさ。


 それとも、そういう人たちをおびき寄せるための犠牲者第1号?

 

 ……やめとこう。心が死んじゃう。

 

 それより、ゼイクはどこ行ったんだろう。


 一緒に苦楽を乗り越えて、スライムを浴びた仲間――固い絆で結ばれたスラ友だし、てっきり仲良く縛り上げられて隣に転がってるかと思ってたのに。

 

 ……最悪の絆すぎてつらい。


 

 探しに行きたいところだけど、ぐるぐる巻きの僕は起き上がるどころか指一本動かせず。


 多彩な盗賊職なんかは呪文やスキルで縄抜けしちゃうらしいんだけど、残念ながら僕は結界破りと火炎斬ぐらいしか使えない。


 呪文にしたって、攻撃補助レベル1みたいなのがせいぜいだ。

 

 いちおう説明しておくと、結界破りは名前の通り、そこそこ強いくらいの結界なら破れるスキル。


 いろんな付加効果がついてたり、複雑に構築された頑丈な結界だったりすると、構築式――結界を構築するレシピみたいなものをいちいち解析しなきゃいけないらしくて、結界破りじゃ壊せない。


 火炎斬も名前のまんまで、魔力を使って刀身に炎をまとわせる。


 けどこれは剣術スキルだから、ロングソードか、最低でも短剣とかが使えないとお話にならない。


 攻撃補助魔法だって似たような感じで、使ってから攻撃すると威力がちょっと上がる……うぐ。

 

 あまりにもKUSOZAKOで泣ける。


 

 せめて周りの状況だけでも見ようと寝返りを試みていると(90度回るだけでものすごい労力が必要だった)、紫色の煙が立ちのぼる黒い釜を発見した。


 ここからじゃちょっと距離があるし、周りは平らな草原だから分かりづらいけど、たぶん大人が何人も入れちゃうくらい大きな釜だ。


 それが口いっぱいに、もうもうと黒ずんだ紫の煙を上げてる。



 ねえ分かりやすすぎない?僕の末路の最有力候補が「謎の儀式のイケニエ」になっちゃったじゃん。

 

 苦労して冒険者になったあげく、意味分からないオカルトの犠牲にされちゃうとか笑えない。


 

 と思ってもがいたけど、やっぱりゴムベルトはびくともしない。


 そうこうするうちに、またあの耳鳴りみたいな声がした。

 

 

――…………、――


 

 キィィィン……

 

 頭の中がハウリングする。

 

 声に合わせて魔力が動いた。


 魔法にほとんど縁がない僕でも分かるんだから、たぶん、呪文だ。


 でも僕の知ってる言語じゃない。

 

 僕の体がふわっと浮いて、風が全身に吹きつける。


 思わず目を閉じて、風が止まったらおそるおそる開けてみる。

 

 案の定……というか何というか、紫色しか見えなかった。

 

 ……これ、もしかしなくてもあの煙なんじゃ……

 

 怖すぎて見たくないけど、どうにか目玉を動かして下を見る。


 思った通り、僕の真下には真っ黒な液体が煮えたぎっていた。


 

 僕、こんな所で終わるの?


 向いてもない冒険者にこだわって、結局なんにも出来ないクズのまま?

 

 なんてダサいんだろ。

 ロマンに溺れた結果がこれだなんて。

 

 養成学校を何年も留年して、たまたま四天王に出会った。


 仲間も出来た。


 でも、それだけ。


 僕自身はやっぱり出来損ないで、舞い込んできた幸運だけで、自分まで強くなった気になってさぁ。

 

 なんてくだらない、死にざま。

 


 くだらない僕は、気づかなかった。影がすぐ隣まで来ていたことに。

ありがとうございます。花都です。


今書けているところはここまでなので、ここからはゆるゆる投稿になります。


思い出した時にでも見てもらえると嬉しいです。

よろしくお願いします!

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