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記憶の海

作者: 外天ハク

父は、私に背を向け泣いていた


肩を震わせ声無き声で泣いていた


ごめんね父さん


親不孝な娘で


親より早く死ぬ娘なんて親不孝


だよね


本当にごめんね


父さん


不治の病で余命僅かな命をぶら下げ


温かいホットココアを手に外へ出る


11月下旬の夜はとても寒い


湯気を上げるココアをすする


口から食堂を経て胃袋へ流れ込む


ココアの温度は各器官を通して


リアルな温かさをもたらしてくれる


夜道を照らす街頭を通り抜ける


波の音が近くなるにつれ潮の香りが


鼻をくすぐった


海辺に着くと優しい波の音とは逆に


真っ暗な海が不気味に浮かび上がる


周りには誰も居ない


静かだ


持っていたマグカップはとうに冷め


ヒンヤリとしている


冷たくなったココアなんて飲めない


飲んだら最後、返って寒くなる


コップを足元に起き


海へ足を運ぶ


激しく冷たい海水を予想してたが


何故かそうでも無い


そうでも無さ過ぎて歩みも早くなる


脛、膝、太もも、腰、腹、胸、首


進むにつれ海へ沈み込んでゆく


その時だった


肌を通して記憶が染み込んでくる


な、何?、何なの?


身体の浮力で海に仰向けになる


月夜に照らされ海面がキラキラと


輝きを放っていた


全身を通して記憶が蘇ってくる


忘れていた記憶


忘れかけていた記憶


思い出したかった記憶


思い出したく無かった記憶


嬉しい事も辛い事も絶え間なく


記憶は私の中に入ってくる


でも何・・・


どの記憶にも信憑性が欠けている


これ本当に私の記憶?


待って



産まれて無い


母さんの子宮の中での記憶なの?


産まれる事が出来なかった私に


父さんは泣いていたの?


じゃあ病気や、あの染み込んできた記憶は


一体何だったの


夢?


想像?


記憶の海に沈み行く私は、その謎さえも


抱きかかえ沈み行く


意識が朦朧とする海中で女の人の声がした


きっと母さんだ


「次は、ちゃんと産んであげるからね」






ミステリーチックにさたかったのに全然ならない。ミステリー初心者には壁が高過ぎました・・・

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