『依頼と出会い』
二人は森へと足を踏み入れた。
やがて、矢が飛来する。
「――っ!? 近づかないでっ……!」
リアンが素早く木陰に避け、声の方向へ叫ぶ。
「待てください、俺たちは敵ではありません! 救援依頼を受けて来ました!」
「救援……?」
葉陰から姿を現したのは、弓を抱えた少女。
フィリスは怯えた目で二人を見るが、その姿はどこか“助けを求める子供”のようだった。
「ヴァイス、おそらくこの少女です。掲示板の絵のにそっくりですよ」
リアンが依頼書を確かめる。
「なんだ、意外と早く終わりそうじゃねぇか」
「救護って私を?なんで?」
「さぁなぁ、俺らは依頼を受注しただけだから依頼主もしらねぇよ」
能天気なヴァイスを横目にリアンは依頼書に疑問を感じ始める。
「あなたはこの依頼に心当たりはないのですか?魔王軍は?」
「うん知らないよ、別に助けて欲しい事なんてないし魔王軍なんて会ったこともないよ!」
「どうしたんだよリアン依頼は依頼だろ?さっさと連れて帰ろぜ?」
ヴァイスの発言にリアンは呆れて言う
「この依頼、救護依頼なんかじゃありませんよ。拉致依頼です。僕らは少女の拉致に加担するところだったんですよ」