奪われたものは何か ──メッセージの謎を解け──
メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ ソーセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッ゙セージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メ、セージ メッセージ メッセージ マッサージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メメントス メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ メッセージ
公式企画のイベント、「春の推理2024 メッセージ」 に、前文の内容の作品が投稿された。
文字数は二百文字ほど、所々に誤表記が見受けられる。これはメッセージではない文字を探す謎解きなのだろうか。単にメッセージと正しく記された数、または間違えている数をカウントすればよいのだろうか。
投稿の意図は作者にしかわからないから、なにが正解なのかわからない。
謎解きとするならば、答えのない問題は問題として失格かもしれない。
しかし推理であるとするのならば、話しは変わる。たとえ明確な解答はなくとも、挑む側はメッセージに込められた謎を解こうと試みるだろう。
時に読み解く者の答えは、用意された答えの範疇を大きく越えることがある。
これが物語ならば結末がすでに決まっていて、横から口を挟まれネタバレにされると物語がつまらなくなる事もある。
結末が定まっていない物語ならば、アドバイスをもとに展開が好転し素晴らしい作品に仕上がるかもしれない。
読み解く者たちが推理し、推察する力は諸刃の剣なのだろう。なかにはそうした力を利用して、作品の完成度を高めるのに役立てようとする作者もいることだろう。
何も考えていないように見せかけた巧妙な罠。意図が見え見えであっても、自己顕示欲をうまく煽り立てられて、乗ったふりをしてまんまと乗らされてしまうかもしれない。
思惑通りだと、作者がほくそ笑むのが見えるようだ。腹ただしいが、罠とわかっても踏みたくなる押したくなる心理を突かれた作戦に負けただけだ。
さて、話しを戻そう。この作品の冒頭に掲げられたメッセージについては、実際は企画に関わる内容にするための目的以外に意味はないと言える。
どんなに優れた見解を示そうとも、読む者を惑わすための道具でしかないものだってある。
メッセージにマッサージとあるから頭をマッサージして柔らかくと取ったものもいるだろう。ソーセージなら料理に結びつけただろうか。
メメントスは某ゲームにも出て来た言葉で、集合意識や心理を表す場のようなイメージに使われるもの。元になるのは、ラテン語メメント。某CMでメメントモリを連想したり、メモリー(記憶)を想像した方もいるかもしれない。
「メッ゙セージ」 の言葉に気づき注視する事で深読みの推察を論じる者がいたのなら、実はもの凄い発想力の持ち主かもしれない。
メッセージの数や文字数に、作者がまったく考えてもいなかった法則性を発見する推理力はもっと世の中の別な事に活かしてもらいたいくらいだ。
またメッセージの文字が美しく並んでいない事や、メッセージと書かれていない文字などを、誤字脱字として普通に報告したりするものもいるようだ。
あの文にメッセージ性はないが、この作品に意味を持たせるという役割はあったようだ。意味はないのに修正報告は拒否せざるを得ない。修正出来ない理由を説明しようとすれば、当然ながら推理作品は作品としての価値を失う。
……長々と説明をして来た。だが、企画作品に前述のメッセージの文字を羅列した作品はまだ見受けられないと思う。
類似の作品は過去に、または未来にあると思われるが実際にあるかどうかは調べていない。
いわゆる推理物は、ここまで露骨に意味をなさない文章を作らない。ガチガチの謎解きならば重要そうに見える描写や伏線に見える物を巧妙に交える。
メッセージの部分がヒントを隠す大量の文章と思えば、大本は同じだとわかるだろう。
物語の最後まで読んでみて、初めて伝えたかったメッセージがわかるかもしれない。
いくつものメッセージに埋もれた言葉や意味のない文章を拾いあげて、人は勝手に自分の都合良い解釈を発見して言葉にしてゆく。
推理として投じられた作品ならば、なおさら頑張って推察する。自説に穴はないか、深く考えてしまう。その姿勢や熱意は正しくもあり、羨ましくもある。だからこそ、思考の罠に陥ることもあるわけだが。
────さて、そろそろ「奪われたもの」 の答えは出ただろうか。
ガチガチの探偵物を読みたそうした者からみれば、無駄な時間を過ごしたと憤慨されそうだ。
メッセージの謎。奪われたものの答えはその無駄にした「時間」だ。この投じられたメッセージの謎について読むために、あなたの「時間」 が奪われたのだ。ネタバレしたのも「時間」 を稼ぐためだ。
作品を投じた犯人に意図があったとするのならば、まさに時間を奪うために、一見意味のあるように見せた雑なメッセージを投じたのだ。
メッセージの羅列を見て、くだらないと読むことを止めた者は、時間は奪われずに済んだことだろう。謎を解く事なく、正解に辿り着いたからだ。
だが忘れないでほしい。あなたは退屈な時間を奪ってもらいたいがために、作品にあふれる小説家になろうを訪れていることを。
最後に作品というメッセージに溢れたものの中から、あなたの時間を奪った犯人は私。苦情は受け付けないが、犯人ならばホシはあげるべきだろう。
公式企画 「春の推理2024 メッセージ」 の参加二作品目となります。
もう少しメッセージを増やして、くどくダラダラ長く文章も書き連ねたかったのですが、怒られそうなので止めておきました。
一作品目の【料理に込められたメッセージとは】 共々、楽しんでいただけると幸いです。