第6話 もっとリーチを!
私は前回、塔の攻略に成功し報酬を受け取った。さらに武器を生成することを私個人でもできるようになった。武器屋からは頼んでも無いのにお金が送られてきた。私は訝しんだがその後すぐに「きっと戦鎚のお礼だろうな。」と想像がついた。
今回は新しい依頼を受けにいく。冒険者としての役目だからだ。もっとも、この世界での冒険者というのは某巨人漫画での調査兵団のようなものだが。遠征して目的のものを排除する。まあ普段はその辺のもの集めて売ってるような人もいるが。
さて、ギルドに着き、依頼の一覧を眺めていると何やら面倒だから依頼したようなものがある。こういう依頼は普段出ないのだが。
「野草摘みの依頼ですか。どれ、どんな野草が必要なのか見てみましょう。」
ゴールデンクレセント…。まあ睡眠薬に使われる薬草だ。峠の上によく生えているらしいが、博物館の植物エリアでしか見た事がない。見つけられるだろうか。まあ受けるのだが。
「このゴールデンクレセントの依頼受けさせてください。」
聞くと、受付は言う。
「ちょっと待って、なんかここから最寄のゴールデンクレセントが生えてる所に『初心者狩り』が徘徊してるらしいの。」
「そんなのがこういう世界にもいるんですか?」
「たまに出るね。こういうことする人はずっといなくならないんだから。」
「まあそれは良いとしてこの依頼受けますね。その『初心者狩り』もなんとかしましょう」
私はとりあえず問題の場所に行ってみた。最寄の場所っていうのは受付の人が教えてくれた。
そこに着くと、分かりやすく『来る人を待っている』姿勢だった。
奴は防具を着ていた。ダンジョンかなんかで拾った装備だろうか。店には売っていない防具だ。そんなことよりも、大事なのは奴の武器だ。あの塔の敵はダガー程度だったからなんとかなったものの、奴が大きい武器を持っていたとしたら今の武器、戦鎚では厳しい。
恐る恐る近づくと、やはり襲ってきた。私を初心者と勘違いしたのだろう。
奴が持っていたものは、考えうる最悪なものだった。グレートソードだ。グレートソードは長い・太い・重いと三拍子揃った大型武器で、リーチが2メートルはある。とても背負って歩けるものではないが、この世界の鞄が優秀なので背負うことができる。
とにかく、戦鎚で戦うことは無謀だ。奴はグレートソードの割に攻撃が素早い。一旦逃げる。
少し逃げたら、追ってくることはなかった。あそこに止まっておきたいのか。
あれを倒す方法は3つ。1つ目は戦鎚を持ち、攻撃をかわしつつ確実にダメージを与える方法。2つ目はこちらもグレートソードを使うことだ。3つ目、新しい武器を作成して倒す。3つ目が現在取ることができる手段のうちもっとも手っ取り早く、最も確実な手段だろうと思う。
戦鎚で戦おうにも近づけるかどうかわからないし、グレートソードを持ったとしても練度はあちらの方が圧倒的に上。なので新しい武器を作成する。
今回作るのは、『斧槍』
なんで槍じゃないんだよと思っただろう。だがこれには理由がある。
槍では刺突、打撃攻撃ができるが、斧槍ならこれに加えて斬撃もできる。どっちにしろ「リーチの長い武器を作る」目的は達成できるが、ロマン重視で。
さて、作ったはいいものの、長く作りすぎたかもしれない。3.5メートル。まあいいでしょう。あれを倒した後にこの武器をまたマーケティングしようかね。あれから1ヶ月くらいしょっちゅう戦鎚のマーケティングしてたから、そろそろ武器変えようかと思っていたところだ。




