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ノットポピュラーウェポンズ!  作者: アラママス
武器編
6/9

第5話 塔の攻略に再挑戦

 私があのテレビショッピングのような長い口上を使った武器の紹介をした時から1日が経ち、もう一度メンバーが揃った。

 私から話を切り出した。

「昨日、全員で戦鎚使おうって言ったのには訳があって…」

 私はメンバーにちょっとした作戦を話した。

「確かにそうかもしれんが、どうじゃろう、成功するかのう。」

「最初がダメならまだ安全だし、その後でダメだったら私たちの力不足ですよ。」

「まあ確かにその方が戦いやすくはなるかもな。」

 というわけで、すぐにその作戦を実行しに、昨日の塔へ向かった。

「えー、まあさっき言った通りに、私と同じ動きをしてくれればいいです。」

「わかった。」

 私のものを含めた4本の戦鎚が塔の壁面を襲う!

「やった!少し崩れそうだぞ!」

「もう一回やってみましょう!」

 それが当たった瞬間、その部分の壁面が崩れた。人が通れそうなくらいの。

「よし、次は中にいる敵を外に誘き出すんだ!」

 それはスムーズに実行することができた。ただ、問題があった。

 この塔にもボスがいたことだ。

「じつは、俺らも分かってなかったのよ、塔についてのこと。」

「あら〜」

 ただし、そのボスはさっきまで戦っていたやつの防具をつけたバージョンといった感じで、さらにその防具は金属製だったので好都合だった。その上2・3階の床が崩れ、そこにいた複数の敵は瓦礫に埋もれている。戦線に出てくるにはしばらくかかるだろう。

「防具は気にしないで攻撃していい。それがこの武器の強みなんだからな!」

 どうやらレイアミは私が行った戦鎚の紹介を見に来てくれたらしい。

「せいっ!」

 ボスに向かってレイアミが戦鎚を振る。

 ゴッという鈍い音が鳴り、胴体部分の鎧が凹んだ。ボスは怯み、よろめいた。

「ぬおりゃ」

 ダライオスも続けて戦鎚をレイアミが当てた箇所の近くに当てる。

 ボスの鎧は少し割れた。少し体に刺さっており、皮膚からは薄い色をした血液が滲み出していることがわかる。

「もう少しだ」

 サリアルも続いて攻撃しようとするが、ボスは負けじと反撃してきた。私の方だ。

 『ハンマー』がゲームに採用される場合、防御面はからっきしであり、攻撃を防ぐことは難しいものと相場が決まっている。だがこれは現実で使われていた『戦鎚』だ。それなりに素早く、防御面も考えられている。

 私はボスの大剣が振り下ろされる前に前に踏み出し、その長いリーチによって繰り出される速度を全てボスの鎧へと解放した。

 ボスはまるで人が死ぬかのように死んだ。死体は残っている。

 一応どんな感じで死んでいるのか確認することにした。

「うーん、これはどういう死に方かな?」

「内臓破裂と失血ってとこですかね、臓器がありそうなところを押しても反発感がない」

「これは対人戦では喰らいたくないのう」

「まったくだ」

 その時、ガラガラという音がし、目線をそちらに向けるとさっきの2、3階にいた奴らが瓦礫の山から脱出してきていた。

 それらはこちらに襲ってきた。

「戦闘不能にだけさせて帰るぞ」

 サリアルがそういうと、他のメンバーが普段使っていた武器を取り出し、持ち変えた。

 サリアルが言いたいのはこういうことだ。必ずしも『死亡』させる必要はなく、『戦闘不能』にする。つまり、四肢を欠損させたり、脳しんとうなどで戦闘を継続することが不可能になる状態にするということだ。多分そうだろう。

 戦闘中の光景は凄惨だった。普通に戦うよりもそれは見るに耐えないものだった。普通に考えれば足首を失って這って移動する敵なんて見たくもないものだ。

 まあとにかく、塔の攻略は終了したので、ギルドに帰ることにした。

「すいません、私が言い出したのになんですが、塔壊しちゃったけど大丈夫ですかね?」

「大丈夫だ、あれは勝手に生えてくるものだからな。」

 サリアルはそう答える。

「そう。あれはダンジョンの一種だから、知らないうちに湧いて出てくるものなの」

 レイアミもそういう。

「そうなんですか」

 ギルドに到着し、依頼が完了したことを報告すると、一人当たり3000Mが報酬として支払われた。

 報酬はグループに支払われるのかと思っていたのだが、参加者全員の個々に宛てて報酬が支払われるようだ。ハンティングアクションやクエストという概念のあるMMORPGによくあるシステムだ。

 

 このクエストの後、私はその世界での『普通』の過ごし方をし、戦鎚を作ってから1週間が経った。

 いつもの黒いもやが目の前に出た。

「調子はどうよォ?」

「まだこの世界には慣れていないですが、なんとかやれてます」

「そう。ところで、いいお知らせがあるのォ」

「聞かせてください」

「戦鎚の武器市場シェア率が2%をこしたのよォ」

「初週で2%って、ほんとですか?!」

 まさかこんなに早く買う人がとは思わなかった。

「ちなみに、現在何人ほどがこの世界に?」

「ざっと五万人ほどかなァ。」

「ってことは、買った人は単純計算で1000人くらいですか」

 思ったよりも買ってくれた人がいた。これから広まっていくのだろうか。

「使う敵を選べば普段使っている剣以上に使いやすいって評価があるねェ」

「おぉ、いい評価のレビューはもらうと気持ちがいいですね」

 どっかに評価を書いておくところがあるのだろうか。

「まあ悪い評価もあるねェ。柔らかい敵には効果が薄いってさァ」

「打撃ですからね、そりゃそうでしょう」

「いやいや、この世界の住人は打撃武器一個も知らなかったんだからァ、こうなるのは当然よォ。というか柔らかい敵に効きやすい武器って今ないと思うけどォ」

「なら、次作るなら柔らかい敵にも効きやすい武器でしょうね。」

「あ、そうだ。武器を作る能力移しておこうかァ。私じゃちょっと知識が足りない可能性もあるしィ」

「そんなことしていいんですか」

「大丈夫大丈夫」

「ちょっと不安ですが」

 神の掟とかに触れないか心配だ。

「じゃあ移すよー」

 そんな軽く言われても。

「はい、移し終わったよ」

「え?もう?」

 私の体には何も変化がない様に感じる。

「それじゃ、次の武器楽しみにしてるからねェ」

 行ってしまった。

 そういえば私は1週間の間、クエストに行っていなかった。

 武器屋の売上から2%程度貰っていたので、生活するだけならそれで十分だったからだ。そろそろ行ったほうがいいだろう。

 次は建造物攻略じゃなくて素材を集めるほうがいいな、そう思いながらギルドへ向かった。

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