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ノットポピュラーウェポンズ!  作者: アラママス
武器編
4/9

第四話 シェア率と敵の強さと

 私達は敵の群れに突撃した。敵の数は九体。対する俺達は四人。場合によっては、いや、常識的に考えれば全滅もあり得る数の差だ。

 相手は無属性魔法を頻繁に使用する人型のモンスターだが、無属性魔法の『大体のゲームでの』特徴は攻撃力が低い代わりに詠唱速度が速いことだ。もしそうだとしたら、私はまだいいとして、グレートソードを持っているダライオスが辛そうだ。

 他三人の攻撃は確実に当たっているものの、ダメージが異常を感じるほどに低い。

「あの、その武器の通り悪くないですか?」

「今までこれしか使ってないからな、よく分からないね」

「確かに、最近は入るダメージが少なくなってきた気がするが…気のせいじゃろう」

 妙に落ち着いた声だった。

 今はとにかく目の前の敵の密集したものを排除することに集中することにした。

 結果的に、苦戦を強いられたものの、その階層にいた敵の掃討に成功した。

「おいおい、これをまだ最低3回もやるのか…僕はもう限界だな」

 サリエルが弱音を吐いている。

「なぜじゃろうなぁ〜ちょっと前まではこんな事余裕でこなせたんじゃがな〜」

「珍しいじゃあないか、お前がそんなこと言うなんてな」

 レイアミがそう言った。

「ところで、さっきの武器の通りが悪いとか言っておったが、どういうことじゃ?」

「ちょっと確認してもいいですか?」

「ああ、お構いなく」

「教えてくださいな、物流神。」

 そう叫ぶと、黒い体の物流神が出てきた。

「ヤッホー、何かお困りの様子だねェ」

「ちょっと説明してもらいたいことがあるんですけど」

「何かな」

 俺は先程の武器のダメージが少なくなってきている気がするということを話した。

「あーそれかァ、簡単な話だよ」

 レイアミも聞いている。

「それはね…その武器を使ってる人が多いからなのォ」

 一同はしばらく固まっていた。

「待て、それはどんな意味だ」

「うーん、真面目に解説してもいい?」

「もちろんですとも」

「まず結論から言うと、モンスターがその武器の攻撃に慣れてきているのねェ。まあどうしてそんなことになってるかって話なんだけど、一種類の武器を使っている人が多ければ多いほどモンスターはその武器に強くなるってことらしいんだよねェ」

「そんなシステムがあったんですか…」

「マジかよ」

「じゃあ新入りがめっちゃ強く見えたのって…」

「あの武器使ってる人が今のところ一人だからだねェ。」

「それもあったのか、俺に仕事頼んだ理由」

 しばらくして気づいた。

「ん、じゃあ俺にかけた呪いと被ってないですか。そのシステム」

「あーその倍率が人不にだけ高く適応されてるだけだよォ」

「そうですか」


 その後、しばらく休み、ダライオスが言った。

「今は帰ったほうがいいんじゃなかろうか、全員満身創痍じゃろう?」

「それもそうだ、一時撤退だね」

「武器変えるか…」

 そこで俺は提案をした。

「全員で戦鎚を使わないか?あとついでに工房に一本送っておきたい」

「もちろんだ、これは広めた方がいい」

 街に帰る途中、少し視界が暗くなったような気がした。

「?!」

「どうした、人不」

「いや、なんでもない。疲れているようだ、ッ!?」

「ダメそうだな」

 俺の脳内で誰かの会話が聞こえる。

『大根おろ……もかかるし時…めんど…』

 会話というより収録現場かこれは。まあ誰かの声が聞こえる。何故か聞いたことのないはずなのにひどく懐かしい感じがあった。

『……そんなとき…大…スリス……』

 何故か、聞いたことのある、いや、一時期ハマっていた、もしくは流行ったような、そんな感触があった。

「大丈夫かよ、そんな体力で」

「いや、今日はもう活動できなさそうだ」

「肩を貸そう。街までは持ってくれよ」

 無事に街に着くことができた。

 それにしても、なんだったのだろうか、あの声は。

 何かを紹介しているかのような口調だった。かろうじて聞こえたところから推察するに、調理器具の紹介だろう。

 この武器を広める方法を思いついた。

「おいおい、またぼーっとしてるぞ」

「なあ、やりたい事があるんだが、いいかな」

「おう」

「家具の店はありますか?」

「あるな」

「そこにはダミーとかあったりしますか?」

「ふつうに売ってるよ」

「ならアレができますね」

「アレってのは…」

「広告です」

「あぁ…ってことは僕たちは専門外ってことかな」

「そうかもしれないです」

「じゃあ別行動か」

 その後、パーティとは別れ、教えてもらった家具屋にいき、テーブルとダミー、武具屋でプレートアーマー二つとグレートソードを購入し、工房へ。

 工房には、戦鎚を渡し「この武器を作って置いておけばもしかしたら売れるかもしれない」と言っておいた。なぜかは知らないがこの言葉を聞いてすぐに作成に取り掛かったので安心だろう。

 そしてその足で街の大通りへ。

 邪魔にならないような場所、直線の真ん中あたりの縁の方へテーブルを置く。

 そこに戦鎚とグレートソードを並べておく。

 そのテーブルの横にはプレートアーマーを着せたダミーを設置。

 そう、私はこれから「紹介」する。

 この知名度が極限まで低い戦鎚という武器を。

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