独りの少女
「こちら機動部隊フェニックス部隊長レリア。周辺に生存者がいれば応答を求む」
時刻は夕方。一部植物に侵食された廃墟群は夕日に照らされ夕焼けに光っている。オレンジ色の光が差し込む廃墟一室、そこに一つの人影が見える。
綺麗な銀の髪を長くおろした女性が、耳のあたりに手を当てて、何かを呟いている。
その言葉から、女性の名前はレリア、というようだ。
耳の部分には小さな装置が付いており、それが光っていた。どうやら何か通信をしているようだ。
傍らにはサプレッサー付きのライフルと可愛らしいピンク色のバックパックが置かれている。
その二つが置いてあることを普通の人間が見たら、大きな違和感を覚えるであろう組み合わせだ。
「……今日は誰もいないか」
少女は手をおろし、一息つくと、ライフルを持って立ち上がった。
「まあ、いてもいなくてもあんまり変わらないけど」
外をちらりと見てから、歩みを進める。
「今日も、いつも通り」
小さく呟いてから、廃ビルを後にする。
◇
植物に侵食され、床は地面が露出し、天井は一部崩れかけているスーパーマーケット。辺りは暗く、壊れた照明がチカチカと点滅している。
そこに一つの人影が見える。
「ここら辺は来たことないかな……」
そこにいたのは長く綺麗な銀色の髪を持つ少女、レリアだ。
そう言いながらキョロキョロと辺りを見渡す。
「ん」
視線の先にあるのはインスタントカップ麺。
ラベルには『常温でも長期保存が可能、電子レンジだけで食べれます』と書かれている。
「『超!きつねうどん』……名前ダサくない? まあいいか、きつねうどんは好きだし――」
「ガウ!」
と、少し遠くで犬の鳴き声のような声が聞こえた。
(ここにもいたのね……)
それを聞いたレリアは、取ったのものをバッグに入れ、静かに声がした方向へ向かっていった。
ゆっくりと歩みを進めていくと、金属光沢を持つ、銀や黒色の体をした獣が二匹見えた。
それは二匹おり、大きい個体と小さい個体がいる。大きい個体はこちらとは反対方向を向いて、小さい個体を睨みつけている。
その姿は犬のようにも見えるが、足の爪は大きく、鋭い。背中からは明らかに凶器の形をした湾曲した刃が生えている。
普通の生物というには異色すぎる容貌をしている。
――あれは機械獣、この荒廃した世界の原因でもある生物兵器だ。
(数は見たところ二匹で、片方は子供。それに、どちらもそこまで強い個体じゃない)
レリアは周りを少しだけ見渡してから、銃のチャンバーに弾丸が装填されていることと、残弾数を確認する。
(周りにも別個体はいない……余裕だね)
心の中でそう思案するレリア。
レリアは大きい方の機械獣の頭を狙えるところまで静かに移動し、その眉間に照準を合わせる。
トリガーを引くと、サプレッサーがついた時特有の銃声を鳴らし、数発の弾丸が機械獣に着弾する。
それと同時に、ガタンという物音がレリアの後方から響いた。
「キュウン?」
頭に銃弾を受けた機械獣は鳴き声を上げる間もなく倒れ、小さい機械獣は何が起きたか分からないと言った鳴き声を上げる。
その体からは血やそれに似た何かが流れる様子は一切なかった。
残り一匹、小さい機械獣の腹の部分へレリアは狙いを定め、数発発砲する。
「キャウン! キャウ……」
そうすると、先程の個体よりすぐに倒れ、死亡する。
そしてバッグからマッチを取り出し、その遺体に投げ込み、燃やした。
機械獣は、その見た目よりも燃えやすい体をしているのだ。
その後、切り替えるように「よしっ」と言い、くるりと回れ右をする。
「それで、そこに隠れてる人、いるんじゃないの?」
先程の物音、気づいてたようだ。そして、彼女の見立てによると、機械獣ではなく人間のようだ。油断なく銃口をその方向へ向け、警告をする。
「はい! います! 俺です! 撃たないでね!?」
両手を上げながら騒がしく出てきたのは、青髪の男。銃を向けられ、引きつった表情を浮かべている。年齢は十代後半ほどだろうか。
それと、傍らにはディスプレイの付いた球状の物体が浮いている。上部には動物の耳のような形で、二つの尖った三角形のものがついていた。
その画面には両手を上げている絵文字が表示されている。
(随分コミカルな謎の球体ね)
「……静かに。うるさくすると変なの寄ってくるから、危ないよ」
レリアは少し驚きながらも、銃口をくっとその男に向け、警告する。
「ひぃっ! いやあのぉ……さーせん」
力なく言葉を返す青髪の男。
球体も下を向き心なしか悲しげだ。
「はぁ……まあいいけどね」
向けていた銃口を下げ、ため息を吐くレリア。
「……それで、何しに来たの?」
(投稿するのは初めてなので)処女作です。
今まで何作か公開せずに自分の手元で書いてきましたが、完結にこぎ着けた作品がこれになります。
語字報告や「ここがよくないかも」「ここは面白いかも」といったご意見、ご感想あれば頂けると私が初めて褒められた子供のように喜びます。よろしくお願いします。