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飼育部!!  作者: 掃晴娘。
自己紹介とか【ほっぺの痛みを添えて】
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自己紹介とか【ほっぺの痛みを添えて】②

 次は部活動。

 これも充実した学校生活を営む上で欠かすことのできない必須項目だ。

 僕たちが通う、私立文月高校では、規定人数が集まり、生徒会に認可されれば、どんな部活内容であろうと部を設立できる。だからと言って、世界を大いに盛り上げる団や、友達が出来たときの練習を秘かに行う部活や、はたまた本をパリパリ食べちゃう先輩のうんちくに耳を傾ける部活を作ろうとは、これっっっっっっぽちも思わない。

 ん?

 何故かって?

 そりゃ、あんた——————……



 怖いから。

 


 論述形式の試験問題なら、間違いなく赤ペン先生の洗礼を受けるであろう回答だが、とてつもなく怖いからです、えぇ。


 もう一度?

 何度だって言ってやる。

 怖いからだ。



 つい先月。

 入学式を行うため、新一年生がドキドキワクワクの気持ちを胸に、講堂へと続く渡り廊下を歩いていたときのこと。

 ふと、外から、青年男子の悲痛な叫び声が聞こえてきた。

 何事かと皆その足を止め窓に寄って行くと、真下の中庭で、制服がボロボロな上級生と思わしき男子生徒二名が、実に美しい正座で僕らを見上げていた。

 いやあ、目を疑ったよね……。

 短髪で号泣している一人の胸元には『新入生のみなさん、こんにちは』と書かれた紙が貼られており、隣のおかっぱ頭の眼鏡な一人は『私たちは変態です☆』と書かれた紙が。

 そして、若干眼鏡な彼は心なしか、はにかんでいるように見えた。

 唖然と立ち尽くし、彼らを食い入るように見つめる僕ら15歳。

 そりゃそうだ。

 見ちゃうに決まってる。

『昨日○○君と喋っちゃった!』

『うそ! ずるぅい!』

『おい、○○って、成長してるぜ……』

『ま、まじか……、うん……』

 的な会話を繰り広げるだけで、肉体的な衝動に駆られることはなかった、うぶな僕たち15歳。

 まあ、若干、思春期特有の欲求い理性が乾杯する発言もあったかもしれないが、それはさておき。

 そんな青春を謳歌しようとしている僕らの目の前に、正しくは真下にいたのは変態な上級生。

 思ったよね

 あ、人生の大事な選択間違えちゃったって。

 呆然と立ち尽くしていると、号泣する彼と、はにかむ眼鏡(頬を赤らめ、息が上がっている)

君が、声高らかに、こう叫んだ。

「わ、私たちは、写真部分立●●●推進同好会を設立しようとしました! 人にああああああるまじき行為でした! 皆さんは真似をしないでくださいぃぃぃぃ!」


 しねえよ!

 

 恐らく、僕たち一年生の心が一つになった瞬間だろう。

 そんな軽犯罪者の背後に、腕を組み仁王立ちしていた女子生徒が、般若のごとき面構えで彼らを睨みつけていた。

 細い腕には【執行部】と印字された腕章。

 後に知ることになるが、部活動の設立申請時に、生徒会の許可が絶対条件となり、もし非認可の決定が下れば、活動はおろか、存在さえ許されない。それでも、熱い野心と、ほとばしるリビドーを胸に活動しちゃった非認可部活動には、執行部直々の鉄拳制裁フルコースが用意されている。

 ほら、めっちゃ怖いやん?

 そんな愉快痛快大爆笑なシステムを見せつけられてなお、オリジナリティーあふれる部活動を設立したいちは思わない。また、いつ訳の分からんとばっちりがくるかも怖いから、所属もごめんだ。

 ありがとう、変態。

 君らの社会的死は無駄にはしないよ。

 ちなみに眼鏡な彼は最終的に、ふぉぉぉぉぉぉぉっ‼ と発狂しながら昇天した。


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