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飼育部!!  作者: 掃晴娘。
自己紹介とか【ほっぺの痛みを添えて】
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自己紹介とか【ほっぺの痛みを添えて】①

「うーさ、この学校で生き残る秘訣、何だか知ってるか?」


 平和な平和な昼休み。

 さも、自分は知ってるけどお前はどうせ知らないだろう馬鹿めが! と言わんばかりに偉そうな口ぶりで柿崎が言う。

 さっき口に運んだ卵焼きがぺちゃくちゃ聞こえて、すごく不愉快だった。

 こいつに人類が楽しく食事をするための、最低限のマナーを期待した僕が愚かだった。

「生き残るってさあ、別にここ戦場じゃないだろう」

 すると、小馬鹿にしたように鼻で笑われた。

 うわ、何その顔、腹立つ。

「甘いな……実に甘い。ここは武士が集いし戦場だ。気を抜いたら最期。うーの首は即座に刈り取られるだろうよ」

 ほう。

 武力放棄した小さな島国の、ごくごく普通な高校生が、そこまで血気盛んに青春ライフをJOYしているとは思わなんだ。

「俺たちが隣同士になったのも、何かの縁。だから、俺が秘訣をだな、教え———」

「3S、だろ?」

 聞きなれない単語だが、この学校では常識。

 代々、部活の先輩から口伝されるらしいのだが、僕は無所属フリーなため、あやめから教えてもらうまでは、そんな意味不明で怪しげな組織は知らなかった。

「ちょ、お、おま……ええ……?」

 独占していただろう知識をひけらかせずに、肩を落とす柿崎。

 Hey You!

 口から咀嚼途中の卵焼きがぽろぽろ零れてるZe!


 この、お口ゆるゆるな柿崎幸太郎とは、高校に入ってから知り合った。

 サッカー部という無条件で爽やかスキルを習得できるコミュニティーに所属しているが、本人がとても残念なため、爽やかを相殺するどころか、完全に変態キャラが勝ってしまったため、女子からの人気はない。顔はそこそこなのに、非常に残念である。日本を担う子供たちに明るい未来を残すため、今後も人気が出ないことを祈る。

 柿崎から距離をとり、さてさて今日の昼めしに何を買おうかと財布を覗く。


 入学して、早一か月。

 

柿崎の残念さを含め、大体の高校事情は把握済だ。

 まずは購買部。

 僕たち貧乏学生のライフラインと言っても過言ではない。

 人気のパンは、

①昔懐かしDXメンチカツパン。

②焼きそばパン

③チーズピザパン

 昔にデラックスなメンチカツがあって、それを古き良き日本人が顔をほころばせながら食べていたかと言うと、首を傾げざるを得ない。しかし、その抜群のネーミングセンスからも分かるように、ボリュームには文句なし。それどころか、購買部陳列棚(僕らはKTDと呼んでいる)に並ぶ他の総菜パンの追随を、イジメ撲滅ポスターばりの拒否り方【ダメ、絶対!】の如く許さなかった。そのくせ、定価100円という、『工場長ありがとう、いやむしろ馬鹿だろ』と言いたくなるようなリーズナブル。

 むしろ価格破壊。

 これがもしやデフレスパイラルなのかしら奥様。

 高校生ながら、今日の社会情勢を心配させてしまうDXメンチカツパン。

 恐るべし。


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