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ずっと昔の回想【彼女と僕と河川敷】③
ゆーびきりげーんまん、うっそついたら、はりせっぼん、のーますっ、ゆぅーびきった!
やさしい黄昏色に染まる河川敷で、僕たちは、小さな嘘を『ぜったい』にするための、ささやかな約束をした。
穏やかに流れる景色。
茜色の空模様。
宝石をちりばめたようにきらめく水面。
風が運ぶ、甘ったるい土の匂い。
空から降り注ぐ蝉時雨の中で、僕は泣き、彼女は奏でる。
それが、こどもだった僕と、そして“彼女”が出会い別れた、ある夏の日。
大人になった僕は、もうその夏の日を、覚えてはいない———