銀髪少女と燃ゆる鐘
【銀髪少女と燃ゆる鐘】
崩界へ、炎と刃による侵略と破壊。
彼女の他者の崩界への干渉は、人々の崩界の在り方、心さえ簡単に変えてしまう程の力。
他人事ではない。
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チヒロという少女は崩界で戦う術を持っている。
『どうやったら、チヒロさんみたいに戦えるようになれるんだ?』
しかしケンジは、彼女の戦いを見守るだけだった。
だからこそ、そうたずねた。
『ここは貴方が作り上げた場所』
『きっと明日から、変化が起こるハズです』
------戦える、自分が?
------逃げるだけだった自分が?明日になれば?
『信じられないよ』
『では、私が代わりに斬っていきますね』
彼女の頼もしい言葉。
同時に男である自分が、情けないなと思えた瞬間だった。
明日の約束をし、帰宅。
自室の部屋のベッドに背中を預ける。
「明日は………」
天井に、手を伸ばし、空を掴んだ。
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獣や蛇のように、鋭い視線。
瓦礫を踏みしめ、銀に燃え盛る辺りを見回すジーク。
彼女の不意を突こうと、背後から襲い来る悪魔を、
意思を持つかのように拡がる炎が焼き焦がす。
「ありがとうございます。ノヴァ」
礼を言いながら、足元で構築される瓦礫の巨人が起き上がる
そうなる前に大地に刃を振り下ろした。
再構築の膨張が止まり、燃え盛る。
次は、左右。
『キリがねえなあ』
「貴方なら余裕でしょう?」
メイド服の女がジークの背後に現れたかと思えば、増援がやってくる。
すぐに銀の炎がジークとメイドの間を遮り、カーテンのように
メイドの女の姿を隠す。
そして左右へと炎が走り、挟撃を抑えた。
『あの少年の世界の影響でしょうか、クラスメイトの世界も、穴場ですなあ』
「でも、まだまだ、足りない」
ジークの不満の正体を、ノヴァは理解している。
斬る、燃やす。その属性が得られるものがなんなのか。
無尽蔵の炎は、彼女の欲望、虚しい飢えそのものと、情熱。
千差万別の血をすする銀の鋭刃もまた、彼女の美しさと、攻撃的な内面を同時に表している。
「現れましたか」
崩界の主、【セラトス】と呼ばれる者。
この者を倒せば……、どうなるか。
『油断禁物です』
「ええ、常に、補助を」
銀の炎のきらめきが、彼女の刀身に反射すれば、同時に、彼女の頬が僅かに緩んでいる。
彼女にとって、それは油断ではなく、ほんのささやかな、喜びだった。
短い文章で圧倒的な部分を表現…………。
なんとなくですね