屋上と令嬢と発情とXX
【屋上と令嬢と発情とXX】
屋上に出入りすることは校内では禁止されている。
屋上の開放は、管理している側からすれば良いことはない。
人の心はどうだろうか。
階段を上り、彼女はその張り紙を無視して、屋上の風を浴びた。
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崩界
ドレスは異形達の体液に染まり、肌色は前髪が揺れた瞬間に見えるだけ。
冷めた目から溢れる炎、稲妻。
深いため息をして、気だるげに握る刀剣が形を変えた。
この場所の大物が彼女に食らいつこうと飛び込むも、
呆気なく、両断。
彼女の炎の支配が広がる。
しかし、それは一瞬だった。
いつもならば、現実世界からの干渉がなければ、
彼女の影響を示す炎が維持されるハズ。
ケンジの崩界、その認知の強さの現れだろうか。
あるいは…………、別の何かがツいているのか。
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1人分のシーツが広げられた屋上
毎朝パン屋が食堂に配達する惣菜パンや菓子パン。
その中で400円はするハンバーガーを美味しそうに食べているチヒロと、
昨日スーパーで買った270円のノリ弁を食べるケンジ。
アルバイトをしていても、学生にとっての400円というのは決して安いものではない。
400円があれば、食堂の定食でお腹いっぱいになれるのだ。
そして、スーパーの270円の弁当も、お得と聞かれれば難しい。
あげ底で実際の白米の量をわかりにくくさせ、作り手の申し訳なさからだろうか、
かつお節が多めにしかれていた。
薄い切り身の白身魚のフライとサイコロサイズの唐揚げが一つずつ。
味は美味でありながら、270円の値段に落とし込んだだけはある内容だった。
パクパクと短時間で平らげたケンジは、パン(バンズ)からはみ出るハンバーグを唇で調節しながら、口内へともっていくチヒロを眺めながら。
「先日、どこかであったけ?」
話が始まった。
「…………」
無言のままハンバーガーを包んでいた紙とビニールから垂れるソースを逃さず舌で舐めとる彼女。
ピンク色の粘膜と、白い白い舌苔が見えたら、彼女も返事をした。
「街にどんなお店があるのかお散歩していた時に、すれ違いましたね」
ケンジ自身黒髪のチヒロとすれ違った記憶はない。
そうなると、彼女が言いたいことは、別の意味があるハズだと、考えた。
「放課後も一緒にどうですか?」
チヒロは包み紙をくしゅりと丸めて潰し、ケンジの放課後の予定も聞いてくる。
「いいよ」
財布の中にお小遣いはどれだけ残っていたか、考えるケンジは、
【いや、違うだろ】と、セルフで突っ込みをいれたのだった。
サブタイトルは適当です。