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32.テンドン

 モフモフに好かれないという特性を持っていることが分かり、肩を落とす私だが、そんな私の元に1匹の青い鳥がやってくる。

 種類などは分からないが美しい鳥で、そして、堂々とした鳥だった。

 というか……私を恐れていない!


『その子は元々強い人に飼われていた鳥なのかもしれないね』


 なるほど、ある程度慣れ親しんでいれば私を恐れることもないと言うわけか。

 嬉しくなってついつい青い鳥ちゃんの頭を撫でる私だが、しかし、周囲は未だ動物たちの暴走により大変なことになっているわけで……。

 はぁ……仕方ない一時撤退だ。


 このままでは収拾がつかないのでせっかく懐いてくれた青い鳥さんに名残惜しく別れを告げながら、仕方なく、しぶしぶ、うつむきながら私はその場を後にする。

 すると効果覿面、部屋の外に出てみれば、動物たちの狂乱もピシャリと収まったようで。背後から騒がしい声は聞こえなくなっていた。

 そうか……私は動物と相性が悪かったのか……。

 狩るか戦うか以外で相対したことがなかったから気づかなかったな……。


「なんだか大変なことになっていたわね」

「アリス!? じゅ、授業は受けなくていいのですか?」

「なんだか動物たちが落ち着いても部屋が大変なことになっちゃって、結局今日は自習になりそうだから出てきちゃったわ。貴女もでしょ?」

「ええっと、まあ、はい……」


 むしろ私こそがあの騒ぎの元凶であり、自習の原因なのだが、さすがにそれを正直に話すわけにはいかなかった。

 話しても信じて貰えないかもしれないけど!


 それにしても、なにかと誤魔化しがちな私だが、それはアリスも同じような気がする。

自習だから出席はやめておいたなんて嘘で、アリスは私に気を使ってくれたのではないだろうか。

 まだ時間にして10時間にも満たない程度の付き合いだけど、その程度の期間でもアリスの優しい性格は分かろうというものである。


『初めて見た姿は怒りに狂っていて、優しさから遠い姿だったけどね?』


 あ、あれは婚約破棄ってたのでノーカウント!


「というか、まだ授業開始前の騒ぎだったから、今から急げば他の授業に間に合うんじゃない?」

「えっ? あっ! 本当だ! まだこんな時間!」


 廊下に備え付けられた時計を見てみれば、まだ授業開始には余裕があり、チャイムの音も聞こえてはこない。

 そうか、私が入室して直後の騒ぎだったから、授業開始前なのは当然の話なのか。


 こうなると急いで次の授業に脳みそを切り替えなくてはならない……私はカバンから時間割を取り出すと、動物使役と同じ時間帯に行われている授業を探す。

 おお、光魔法が丁度良く被っている!


「光魔法に行ってきます!」

「別授業になるけど、陰ながら応援してるわ」


 結局こうして別れることにはなってしまったけれど、アリスのおかげで他の授業に間に合うことに気付けて本当に良かった。

 やはり持つべきものは可愛い友達である!

 ちょっと落ち込んでいたけど、アリスのおかげで元気も出て来たし、光魔法頑張ろう!




 ブオオオオオオオオンズモモモモ……。

 教室に地獄の底から溢れ出て来たような、おぞましい音が響き渡る。

 そしてそれは、案の定、私の不始末なわけで……。


「セピアさん! 何故貴女の光魔法は暗黒になっているのですか!?」

「分かりません……何故でしょう」


 ズモモモモと不気味な音をたてながら私の杖の先から生み出されたのは、謎の黒い球である。

 何やら闇の瘴気を発しながら私の目の前でゆっくりと膨張を続けている。

 本当になんだこれ……。


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