第2話 喫茶ひとやすみ
喫茶店に着いた悠人たち一行は重たい木製の扉を開けて中に入った。
「いらっしゃい」
そう声をかけたのはこの喫茶店「喫茶ひとやすみ」のマスターだ。誰が見てもマスターに見えるいかにもな格好をしており、右目につけたモノクルに手を添えながら、悠人に話しかけた。
「おや? 今日は佐々木原さんはいらっしゃらないのですか?」
佐々木原とは萌夏の苗字だ。苗字だけ聞くといいとこのお嬢様のようだが、実際にはそうではないらしい。(萌夏主観)
「萌夏なら今日は来てない。用事があるみたいだ」
「そうでしたか。いつもあなた方は4人でご来店なされますので」
「そうだな。じゃあコーヒーとトーストを3つ」
「かしこまりました」
そう言ってマスターはカウンターへと戻っていく。
「しかし萌夏はどうしたんだろうな」
「萌夏は家族のこと話したことほとんどないからなあ」
「珍しいこともあるんだなあ」
すると心が何か知っていそうな顔をしていた。
「心? 何か知っているのか?」
「ん……言えない」
「言えないって、何かあるのか?」
「いつか萌夏の口から聞いて」
「納得いかねえけど、神城がそう言うなら」
「じゃあこの話は終わりにしよう。そういえばさ……」
それからは試験の問題について話した。
「……お待たせいたしました。コーヒーとトーストでございます。それからおまけでプリンアラモードです」
「プリンアラモード!!」
「神城……お前本当に甘いもの好きだな」
「えへへ」
「マスター。ありがとうございます」
「いえいえ、あなた方にはいつもご利用いただいていますからね。それに今日は試験後でしょう。ですのでこれは私からのお祝いです」
「毎月もらっちゃってすいません」
「大丈夫ですよ。これからもよろしくお願いしますね」
「はい!」
そして3人でコーヒーを飲みながら他愛ない話をして過ごした……
……悠人がふと窓の外を見ると、西日がオレンジ色に染まっていた。
「そろそろ帰るか」
「そだな、遅くなっちまう」
「美味しかった」
「まだ食べてたのか」
「だって……」
「まあまた来たときに食べよう。いつでも来れるんだからさ」
「……うん」
「それじゃあマスター。今日はこの辺で帰ります」
「今日のコーヒーはどうでしたかな」
「いつものように美味しかったです!」
「それはよかった」
「また来ますね!」
「はい。お待ちしております」
そして3人は喫茶ひとやすみを後にした……
「心」
「ん」
「今日はバス?」
「ん」
「じゃあここまでだな。また明日な」
「うん……バイバイ」
「じゃあな」
悠人と光輝はその足で駅に向かい、いつものように改札前まで来る。
「じゃあ光輝、またな」
「おう」
悠人は電車に乗る光輝と駅で別れたのだった……
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