悠人・心side2
最後の話になります。
2人は県内でも有名な夜景を見にロープウェイに乗った。あたりはすっかり真っ暗だが、今日は一段と風が強い。それでなのかは分からないが、ロープウェイに乗っている人は少ない。今日は上も空いていることだろう。
そして山上駅に着き、ロープウェイを降り、少しばかり歩いた。そして眼下に広がる夜景の美しさに2人は目を見開く。
「凄い綺麗」
「まるでこの世界に俺とお前だけって感じだな」
「こ、こんな場所でそんなこと言わないでよ」
「こんな場所って、ロマンチックだろ」
「そうだけどさ、ここカップルだらけ……」
「まあそりゃそうだろうな。夜景見に来てるんだろ」
「私たちは友達で、恋人じゃないもん」
「心が彼女だったら良かったのにな、なんてな」
そう悠人が言う。心が少し鼓動が早くなったような気がした。そしてふと悠人を見ると、彼もまた少し顔を赤めているようだ。
「ねえ悠人。1つだけわがまま言ってもいい?」
「え? あ、ああ! 何でも言ってくれ!」
「私……ね……悠人のことが……好き、なの」
「……えっ?」
「だから……初めて会った日からずっと、悠人が好きなの!!」
「え、え?」
「ずっと悠人だけを見てきたの! でも悠人は優しいから、周りに女の子が集まってた。だから言えなかった。でもこの気持ちは抑えられない。大好き、悠人が大好き、だから、私、悠人に尽くしたいの」
悠人は聞き間違いかと思った。でも心の真剣な眼差しと、その気持ちを聞いたら、応えないわけにはいかない。
「なあ心」
「なに?」
「俺でいいのか? 本当に、後悔とかしないか?」
「しない! 悠人がいい。当たり前だよ」
「心が俺のことをそんなに想ってくれてたなんて知らなかったよ。だから心。こんな俺でよければ、付き合おう」
「一応悠人にも聞くけど、私でいい?」
「ああもちろんだ。心じゃ無きゃ嫌だよ。正直俺も心のこと気になってたからな。今日もずっとドキドキしてたんだぜ」
「気づかなかったよ。でも嬉しい。これからもよろしくね悠人」
「おう」
「じゃあこの夜景を背景にツーショット、いい?」
「よし、それじゃあ、シャッター押すぞ」
「お願い」
そして悠人は心に抱きつき、シャッターを押す。
「よく撮れてるな。っておい、心、顔真っ赤だぞ。大丈夫か?」
「いきなり抱きつかれたらこうなるに決まってるでしょ」
「嫌だったか?」
「ずるい……そんなわけ無いって知って言ってる」
「あはは、ごめん。でも俺たちはこれからは恋人。今まで以上によろしくな」
「うん!」
「じゃあ帰ろっか」
「手、繋ぐか?」
「繋ぐ!」
1月最後の木曜日、2人は友達から恋人へと関係が深まった。
これから2人はどのような物語を創りあげるのか。楽しみってあれ? 2人が何か話してるよ?
「ところで心。いつから一途な思いをしてきたんだ?」
「今その話するの!? 恥ずかしいなぁ……幼稚園の時、5歳からだよ」
「え? 俺たち高校の入学式で出会ったんじゃ!?」
「まさか覚えてないなんて言わないよね?」
どうやら物語の1ページ目は2人の過去から始まりそうですね。楽しみだなぁ~
これにて完結となります。ありがとうございました。
それでは
À bientÔt




