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4.姉貴とフレンドに

 のんびりと歩きながら、登録したプレイヤーが最初に転送される街、アークスへと辿り着いた。

 今はまだプレイヤーは居ないはずなのだが、色々な人が通りを歩いているし、ショッピングも楽しんでいるように見える。

 成程、仮にプレイヤーがほとんど居なかったとしても、これならたくさん居ると勘違いしてしまうな。

 お客の居ない店に、車を止めてお客さんが居るように見せかけるアレだろうか。

 ちなみにこの世界では、モンスターからはお金を入手できない。

 絶えず供給されるミッションをクリアして貰える報酬や、モンスターから偶にドロップする物をお店で売ってお金にする等しなければならない。

 通りを歩いていると、かなりの隙間というか、空間が所々に空いているのを見かける。

 そこで思い出した事がある。

 ワールドクロスオンラインでは、前作のクロスオンラインで一部の条件を満たしたプレイヤーは、店を初期状態からではあるが、引き継げる特典があるのだ。

 この隙間は、それらのプレイヤー達のお店が建つんだろうな。

 今あるNPC達のお店も、プレイヤーがお店を建てる時に無くなる可能性もある。

 俺は店を建てる気はないので、そう言った生産職が好きな方にお任せする方向だ。


レイ"ミリア、ちょっと良い?"


 ん?チャット欄に見慣れない名前の人からメッセージが。

 まぁこのタイミングでこんな事ができるのは姉貴しか居ないか。


ミリア"姉貴か?"


レイ"そうよ。私はログインしてるわけじゃないけど、キャラクターを作っておいたの。ミリアと連絡をいつでも取れるようにね"


ミリア"成程、フレンドになっておくわけか"


レイ"そういう事。私の能力値滅茶苦茶高いから、パーティにオートでつけておいても良いわよ?"


 それは確かに魅力的だけど。

 あの姉貴が一緒に居るなら、俺は間違いなく死ぬ事はない。

 姉貴なりに、俺の事を心配してくれているんだろう。


ミリア"いや、とりあえず俺一人でやってみるよ。だけど、俺じゃどうにもならん事が起こったら、相談するかも"


レイ"そう。分かったわ。それじゃ、申請するから承諾しておいて"


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


レイからフレンド申請が届きました。

承諾しますか? YES/YES


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 おい姉貴。

 システムログがおかしい事になってんぞ。

 そこはYES/NOじゃないとダメだろ。


ミリア"姉貴、黒川さんに連絡だ。システムログのフレンド申請がバグってる。具体的に言うと、YESしかねぇ"


レイ"私が今弄ったのよ。ミリアが間違えないように"


 いらんとこで運営権限使ってんじゃねぇぇ!!


ミリア"間違えるわけないだろ!?そんなどうでも良い所弄ってる場合じゃないよな!?" 


レイ"ごめんごめん。ほら、ちょっと和ませてあげようという姉の気遣いじゃない?"


 そんな気遣いはいらん!!

 とりあえず、どっち選んでもYESなので、天邪鬼な俺は、本来NOの位置にある右側のYESを選んでおく。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


レイからのフレンド申請を拒否しました。

レイからの申請を受け付けなくしますか? YES/NO


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 姉貴ぃぃぃぃぃっ!!


レイ"ちょっとミリア、なんでわざわざ右側選ぶのよ!?"


ミリア"どっちもYESなんだから、どっちでも同じと思ったんだよ!まさか表記だけしか変えてないとか思わんわ!"


レイ"いたずらにそこまで力入れるのはナンセンスでしょ!"


 そのいたずら自体がナンセンスだと思え姉貴。

 とりあえずNOを選び、再度姉貴からの申請を受けて、今度こそYESを選択する。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


レイとフレンドになりました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


レイ"それじゃ、私はこれで仕事に戻るけど、何かあればフレンドチャットに残しておいて。後で見ておくから"


ミリア"はいよ"


レイ"そうだ、ミリアは最初に受け取れるアイテム類を何も持ってないわよね?私から送っておくわね"


 そうか、フレンド機能の一つ、アイテムのトレードか。


ミリア"それは助かるけど、トレードシステムだと、最低でも何か一個、こっちも送らないとダメだろ?俺アイテムボックスに何もないぞ"


レイ"あのね、私は運営キャラクターよ。そういうの無視で送れるわよ。イベントで全プレイヤーにどうやって配布すると思ってるのよ"


 ああ、それは分かってるんだけど。

 運営は俺をプレイヤーとして認識できない状態じゃなかったっけ?


レイ"何の為にフレンドになったと思ってるの。ミリアを認識する為よ?"


 あ、そういう事か!

 何気に俺の考えてる事が筒抜けなのが怖い。

 姉貴が天才超人故か、俺が分かりやすいのか不明だが……。


レイ"相変わらず、ミリアのプロフィールやステータスにアクセスできないけど……アイテムを送る事は問題なくできそうね。それじゃ、送るわよ"


 アイテムボックスを覗くと、ポーション類や初期装備類が入っていた。

 ああ、これは確かに助かるな。


ミリア"さんきゅ姉貴。助かるよ"


レイ"ええ。状況が状況だし、色々と送ってあげたいけど……ミリアはそういうの嫌なんでしょ?"


 はは、流石姉貴。

 俺の事をよく分かってる。

 姉貴はいつも、俺のはるか先を行っている人だった。

 それでも、ふと立ち止まって、後ろを向いて笑いかけてくれる人だった。

 だから俺は、姉貴の事を嫉妬の対象に見るなんて事もなく、普通に姉として好きなんだ。


ミリア"うん、とりあえずこのまま楽しんでみるよ。姉貴も追い込みで忙しいだろ?頑張れよ"


レイ"言われなくても。そうそう、ユーザーからクレーム来たら、ミリアに試してもらおうと思うんだけど、良いかしら?"


 姉貴……この世界から出れなくなった俺に、まだ仕事させる気か!


ミリア"あい……"


 しかし、断れないヘタレな俺だった。


レイ"ふふ、心配しなくても、たまにしか頼まないわ。他のスタッフメンバーは普通にログアウトできたからね"


 姉貴、この状況でよく試したな!

 もしかしたら、俺と同じように帰れなくなったかもしれないのに!


レイ"誤解しないでね?山田君が、先輩と一緒ならもし帰れなくなっても大丈夫っス!って言ってくれたのよ"


 山田……お前、泣かせる事を言いやがって……!

 帰れたら、一杯奢ってやるからな!


レイ"で、試してもらったんだけど、ログアウトを問題なく行えたから。これからは人数を少し動員して、当たってもらうつもりよ。流石にミリアほど任せられないけど……"


 うん?俺のやってる事なんて、別に他の人でもできるだろうに。

 むしろ人海戦術を使うなら、より効率も良い。

 姉貴にしては、変な事を言うな。


ミリア"なんとかなりそうなら良いよ。それじゃ姉貴、また後でな"


レイ"ええ。絶対に死ぬんじゃないわよ?生き返るかもしれないけど、生き返らないかもしれないんだから"


ミリア"へいへい"


 姉貴とのチャットを終える。

 フレンドを選択すると、会話は選択したフレンドにしか聞こえなくなる。

 パーティを選択するとパーティにのみ声が届く。

 周りから見たら、口パクだな。

 全員に声を届かせたければ、全員と設定しなおせば良いのだ。

 初期設定は全員になっているし、ログアウトしてログインしなおす度に、全員になるんだけど……ログアウトできない俺には関係がないな。

 さて、姉貴とフレンドになったし、もうしばらくこの街を見て周ろう。

 所持金もちゃっかり増えてるから、料理を買う事もできるしな。


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