26.イベント終了
「ミリアくん、今度は俺達が以前組んでいたパーティで挑ませてもらうよ」
そう言って、剣を構えるユリウス。
成程、前作での仲間が揃い踏みって事か。
なら、俺も本来のスタイルでやらせてもらうか。
俺はナイフ(投合用)とマシンガンをアイテムボックスへとしまう。
そして、両手に剣を装備する。
いわゆる二刀流だ。
それを見た皆は驚いた顔をする。
それから俺はアビリティを弄る。
たくさんレベルが上がったので、SPがたんまりあった。
全部使ったわけじゃないけど、有用なアビリティをMAXまで上げて、イベントに限りって事で、ある効果のついた装備類をレンタルさせてもらった。
これは、一応自作できるレベルの効果なので、チートではない。
まぁ今の段階でって意味では、チートになるけど。
それは、クールダウン短縮という効果。
これを武器、防具、アクセサリー全てに付与する。
通常同じ効果を付ける事はできないが、それは同じ装備内に限られる。
頭装備、腕装備、足装備等、全てにつければ、クールタイム減少効果は凄まじい効果を発する。
アビリティと合わせて、その時間なんと90%減少。
つまり、100秒クールタイムがあるアーツを、10秒のクールタイムで使えるようになるのだ。
そして、極めつけが、このイベントに挑む前に食べた料理。
継続時間2時間で、10%クールタイム減少するという優れモノ。
それを食べてきた。
つまり、今の俺は……クールタイムなしで、アーツを乱れうちできるのだ!
「『分身』」
「 「「!?」」」
俺は5人の分身体を生成する。
全員を俺の体の一部として、操作する。
さぁ、パーティの始まりだっ!
「くっ!皆、行くぞ!!」
「「「おおっ!!」」」
ユリウス達が、俺と分身ズに向かって攻撃を仕掛けてくる。
いや、攻撃というか、妨害だな。
俺の行く道をアーツで妨害してきたり、俺の攻撃を避ける事に注力しているのが分かる。
成程、時間稼ぎか。
確かに、『分身』が消えれば、俺は一人になる。
その瞬間を狙っているのだろう。
『分身』は30秒で消える。
クールタイムも長い。
その間に俺を相手どるつもりなんだろうけど、甘いんだよなぁ……!
「『ジャッジメントウォール』!」
本体の俺へ、プリハドールが結界を張る。
けれど、こんなもんじゃ俺は封じられないぞ!
「『スラッシュ』」
ズバァッ!パリィン!!
音を立てて結界は破壊される。
けれど、その時間と合わせ、分身体は消えた。
「しのぎきった!今だ皆!」
ユリウスが叫んだと同時に、皆が俺に向かってくる。
甘い!
「『分身』」
俺から、再度5体の分身体が生まれる。
「「 「なっ!?」」」
皆が驚いているが、俺はその隙を逃さず攻撃を仕掛ける。
「させるかっ!「挑発』!」
ぐっ!?
俺には効かないが、分身体がエネミーとして設定されているのか、ターゲットを強制的に変えられてしまう。
厄介だな!
先に沈めさせてもらうかっ!スタート地点に戻れバリアッ!
「『スラッシュ』!」
俺自身はユリウスに発動し、ユリウスはそれを剣で受けた。
リーズとガンツのクロスアーツによって一体の分身体は倒されたが、残り四体の『スラッシュ』がバリアを狙う。
『スラッシュ』はクロスアーツ『クアドラプルスラッシュ』へと昇華し、バリアを攻撃した。
「がはぁっ!!み、皆、すまん……!!」
そう言って、パーティの盾であるバリアは消える。
「「「バリア!!」」」
パーティの強固な盾であるバリアが消えた事により、戦線が乱れる。
俺はそれを見逃さない。
「『分身』」
「「「なっ!?」」」
倒れた一人を補充した。
クールタイムのないアーツの恐ろしさ、味わえ!
「おおおおっ!!」
俺の双剣を、必死に防ぐユリウス達。
だが、次第に押されていく。
「くっ……!敵にまわったミリアくんがここまで厄介だとは……!」
「ユリウス、貴方はモンスターの方へ行って!早くモンスターを倒さないと、ミリアちゃんが望まない殺生を繰り返す事になっちゃう!」
必死な表情でそう伝えるリーズの言葉に、俺は内心落ち込む。
ちょっと楽しんでました、ごめんなさい!!
「しかし……!」
なおも食い下がるユリウスに、リーズは俺を抱きしめてきた。
そう、いつもしていたように。
俺は体が硬直して、動けなかった。
「ミリアちゃん、私だよ!リーズだよ!短い間だったかもしれないけど、このゲームが始まってから、ずっと一緒に遊んできたじゃない!敵なんて、悲しいよ……!正気に戻ってよ……!」
リーズ……。
それ、本来なら感動ものなんですけど!
俺、操られてる設定だから、そうしたくてもできないというか、あーもう姉貴、助けて!!
そう思って硬直していたら、俺のカラーコンタクトが外れ、瞳が青色に変わる。
黒い翼は取り外され、白い翼が取り付けられた。
「え……ミリア、ちゃん?」
あー、これはそういう事か。
おい姉貴、そういう事は事前に話しておいてくれよ!!
アナウンスが流れる。
"一部のプレイヤーによる説得により、ミリア(洗脳状態)は解除されました。これより、ミリアはプレイヤーの味方となり、共にモンスターと戦ってくれます。それでは、イベント後半戦、開始です"
ワァァァァァァッ!!
凄い歓声が起こる。
あんの姉貴、俺にも話してない事多すぎだろ!!
「ミリアちゃん、正気に、戻ったの!?」
「あー……うん、一応見えてはいたんだけどね。リーズに抱きしめられてから、言葉を投げられて、支配に抵抗できたみたい」
と、いう事にしておいた。
「ミリアちゃん……!」
そういって尚強く抱きしめてくるリーズ。
皆も駆け寄ってきてくれた。
「ミリアくん、今回は共同戦線と行こうじゃないか。抜けたバリアの働き以上を、ミリアくんなら十分に果たしてくれるだろう?」
そう微笑んでくるイケメンに、俺は笑顔で応える事にした。
「任せな。俺と、クロも手助けするよ」
そう言ってアイテムボックスからクロを取り出し、頭に乗っける。
「ふふ、相変わらず可愛いですわ」
そう微笑ましく見るプリハドールはさておき。
「それじゃ、まずは俺を洗脳してくれやがったあの巨大モンスターを片付けて、ポイント稼ごうと思うんだけど、どう思う?」
「「「異議なしっ!!」」」
皆で顔を見合わせてから、こちらを向いて笑って言ってくれた。
それから俺達は、巨大モンスターをなんとか討伐し、時間一杯狩りを続けた。
俺という邪魔者も居なくなった後半戦は、皆大いにポイントを稼いだのだった。
ちなみに、午後の部には、この後半戦に参加できなかったプレイヤーは参加が許された為、午後の部も大いに盛り上がった。
当然ながら、俺は両方強制参加だったんだけどね、とほほ……。
イベントは大盛況で終わりを迎えた。
上位3人は名前と得点が上げられ、皆に紹介されると言った事もあって、有名になった人がチラホラと。
ちなみに、ユリウスは3位だった。
他の大陸にも凄い人は居たようで。イベント後、後夜祭とかしてたみたいだ。
なにはともあれ、ワールドクロスオンラインの初イベントは、大成功の終わりを見せた。
俺も、色んな人からパーティに誘われて大変だったよ。




