17.前作トップギルドマスターとの戦い
翌日。
丁度宿から出た所で、またリーズとプリハドールに話しかけられ、パーティを組んだ。
少し話していると、離れた所から呼び声が聞こえる。
俺に、じゃないけど。
「リーズ!プリハドール!」
金髪のガタイの良い、半鎧を着こんだ男が近づいてきた。
所々肌が結構見えているので、男版ビキニアーマーとでも言うのだろうか。
どうやら、リーズとプリハドールの友達のようだ。
なんつーか……凄いイケメンだ。
俺のような作られた綺麗さじゃなくて、自然な肌色に、爽やかな顔をしていて、好青年という感じがする。
よく言われる勇者って、こういう見た目してたのかもな。
なんて考えていたら、俺の方を見てきた。
「初めまして。俺はユリウス。前作クロスオンラインで、リーズやプリハドールと同じギルドでプレイしていたんだ」
「俺はミリアです」
そう簡潔に答えたら、ユリウスと名乗ったこの男は、俺の全身を見た後、言った。
「ミリアちゃん、いやミリア君かな?良かったら俺と、勝負してくれないか?」
はい?確かに、このゲームにはPvP(プレイヤーVSプレイヤー)はあるし、1対1の決闘システムもある。
なぜなら、コロシアムのようなシステムもあって、観客がどちらが勝つか賭けるシステムだってあるのだ。
だけど、なんでいきなり俺と?
怪訝な表情をしていると、ユリウスは話しだした。
「君達の戦いを見せてもらった。そして俺は、君が只者ではないと理解した。あのデュラハンの動きを見切るのは、並大抵の事ではない。それに、扱いの難しい『カウンタースラッシュ』と、『分身』を使いこなす腕前。上げたらキリがないが……そんな君と、一手試合たいと、そう思ったんだ。どうだろう、ここで俺と戦う事は、君の実力を知ってもらう良い機会だとも思うんだ。俺はこれでもギルドマスターだったからね、少しは名が知れてるし」
そう片目をウインクする。
気付けば、周りに人だかりが出来ている。
成程、自分の欲を満たすのと同時に、俺の事も考えてくれてるって事か。
リーズとプリハドールの腕前の高さは、実際に一緒にパーティを組んだから分かる。
この二人を率いていたリーダーなら、その腕前は推して知るべしだな。
「……良いよ。武器は何にする?」
「「ミリアちゃん!?」」
二人が驚いた顔で声をかけてきた。
「ミリアちゃんが強いのは知ってる!だけどユリウスは、本当に強いの!私も剣は極めたつもりだった、だけど……どうしても勝てないと思った相手が居たの。それが……我らがギルドマスターの、『剣聖』ユリウス、この人なのよ……!」
そう、悔しそうに言うリーズ。
成程、努力しても……越えられない壁ってのは存在する。
リーズは、ずっとユリウスとパーティを組んできたんだろう。
凄い奴と一緒にいつもいると、こいつには敵わない、そう思うようになる場合が多い。
自然と、心が負けてしまうんだ。
俺にも姉貴が居て、姉貴に勝てないって思ってきたから良く分かる。
だけどさ、なら……俺が、見せてやるよ。
ここは、ゲームの世界だ。
現実世界とは違う。
壁なんて、存在しない!
「リーズ、君の限界を超えてあげるよ。この世界に、限界なんてものは存在しないからね」
そう言って、前に出る。
リーズは驚いた顔をしていたが、素直に後ろに下がってくれた。
「『剣聖』の名が示すように、俺は剣を使う。ミリア君はどうする?」
その言葉に、俺は初心者用の剣を取り出し、ユリウスに向ける。
「当然、これさ。言っとくけど、リーズに勝てたからって、俺に勝てると思うなよ?」
そう精一杯、不敵な表情のつもりで言ったら、ユリウスは笑い出した。
それは、侮りや蔑みからではなく、喜びの笑いだと感じた。
「はは!はははっ!!良いね、その言葉、嬉しいよ。久しぶりだ、俺にそんな事を言ってくれた人は。それに、ミリア君の視線、分かるよ。俺の動きを一瞬も見逃さないその視線、君は強い!」
そう言って、剣を構えるユリウス。
まったく、イケメンで性格も良いとか、少しは遠慮しろ。
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ユリウスによる決闘の申請がありました。
承諾しますか? YES/NO
ユリウスの決闘を承諾しました。
結界を展開します。
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俺とユリウスを囲んで、小さな円が出来上がる。
これが決闘のバトルフィールドだ。
この中には、決闘する二人以外存在する事が出来ない。
仮に中に他のプレイヤーが居た場合、外に押し出される。
リーズやプリハドールも例にもれず、結界の外に押し出されているのを確認する。
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決闘のカウントダウンを開始します。
3……
2……
1……
Fight!!
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アナウンスの終了と同時に、ユリウスが仕掛けてくる。
『跳躍』からのあの動き、『ダブルエッジ』だな。
「はぁぁっ!『ダブルエッジ』!」
「『ダブルエッジ』」
キィン!キィン!
鉄の弾き合う音が聞こえる。
次の動作、あの手の動きはそのまま繋げられる『クロスエッジ』か、『スクウェアクロス』だな。動きの軽さから、多分前者か。
「はっ!『クロスエッジ』!」
「『クロスエッジ』」
キィン!!
「なっ!?これも、読んだのかいっ!?」
また鉄の弾く音が響く中、『跳躍』で距離をとるのは予測できたので、今度は俺が攻める。
「そこだ。『ソリッドキャリバー』」
剣から衝撃波が飛び、ユリウスが『跳躍』からの着地と同時に直撃する。
「ぐはぁっ!?」
そのまま、ユリウスは少し吹き飛ばされた。
俺も『跳躍』を使い、ユリウスの元へ飛ぶ。
「ぐっ、上なら、避けられまいっ!『デッドリーブロウ』」
剣がオーラを纏い、俺に向かって突き刺さろうとしてくる。
だが、それも予測済みだ。
向かってくる剣の支点を押してやり、流れを変える。
「なっ!?」
体制を崩され驚いた顔をするユリウスの首元へ、綺麗に着地した俺は剣を突き付ける。
「チェックメイト、かな?まだまだ甘いねユリウス」
「……まさか、ここまでとは……。まいった、降参だ。ミリア君、君は本当に強い。能力値がじゃない、腕前が、だ。それがこれで、証明された」
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ユリウスが敗北を認めました。
ミリアの勝利です。
結界を解除します。
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そうして、結界が消える。
周りから凄い歓声が聞こえた。
「す、すげぇぇぇぇっ!」
「なんだよあのアーツの使いこなし様は!まるで使ってくるアーツが事前に分かってるみたいな……とにかくすげぇっ!!」
「あの『剣聖』ユリウスさんが負けたとこ、初めて見た……ミリアちゃん、本当に凄い……!」
等々、誉め言葉が凄すぎて恥ずかしくなってきた。
ユリウスがこちらを見て、笑顔を向けてきた。
だからやめろ、イケメンの笑顔は俺には毒なんだよ。
男の俺は、女の子のようにキャーカッコイイー!とかならないから!
「ミリア君、良い目標が出来た。俺は必ず、君を越えてみせる。今回はあっさりやられてしまったけど、次は負けないよ。レベルだけでなく、腕前も磨いて、また挑む。ありがとう、戦ってくれて」
そう言って、去って行った。
うぅむ、去り際も颯爽と、イケメンって凄い。
「ミリアちゃんっ!」
リーズとプリハドールが駆けてきた。
そしてまた、リーズに抱きしめられた。
「おぅっ!?だから、それを止めろと……!」
「ミリアちゃん、本当に凄い!まさかあのユリウスに勝っちゃうなんて……それも、あれは偶々なんかじゃない。多分、何度やったって、ミリアちゃんが勝ったよね。分かる、分かるんだから!」
リーズがとても興奮しているようで、抱きしめる力が半端ない。
俺の頭はリーズの丁度胸の位置にあるので、柔らかいけど息苦しい!
助けを乞うように、プリハドールの方を向いたら、目がなんか輝いていた。
これはしばらく、どうしようもなさそうだ。




