12.公表と掲示板③
だだっぴろい草原の中、手元に弓矢を顕現させて弦を引き絞る。狙ってるのは数十メートル先にいるウサギのモンスター『ウェアラビット』だ。
遠い為こちらには気付かず、草をモシャモシャと食べているその無防備な背中に向かって、バシュっと矢を放つ。
「ピギュッ!?」
ウサギは何が起こったか分からないといった感じで、消えていく。
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ウェアラビットを倒しました。
800の経験値を得ました。
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おろ、経験値量が減ってる。
って事は、適正レベルを越えてしまったかな。
このゲームでは、モンスターとのレベル差がある一定値を超えると、経験値取得量が下がるようになっている。
つまり、ドラ〇エのようにアリア〇ンの城の周りでスライムをずっと倒してレベル99にしたりといった事はできないのだ。(そんな事する奴いねぇよとか言わないで)
「そろそろ、場所を移すかな。まだまだここら辺は人が多いし……」
初心者の弓に装備を切り替えて、遠距離から倒す方法にしたのには訳がある。
俺は目立つみたいで、近接でモンスターを狩ってたらすぐに人が話しかけてくるのだ。
午前中はリーズが居たから、そんな事は無かった。
リーズ様様だな……。
というわけで、人目につかない木に隠れながらでも攻撃の出来る、弓で攻撃している。
アビリティも命中率の上がる『鷹の目』や、遠くまで見える『遠視』をセットし直した。
どっちもSPで上げるか悩んだけど、これらは使っていればレベルが上がるし、やめた。
初期投資のSPが要らない分、俺はかなりSPの恩恵がでかい。
それにこの二つは、一度マスタリー(レベル上限に達する事)すれば、外しても効果が半分でる有用アビリティだ。
速めに上げておいて損はない。
そんな事を考えながら、次の街へと歩き出した直後、ピロンと音がした。
システムメニューを表示させると、公式情報というタブの左上に赤丸が表示されている。
これは重要なお知らせが追加されたので、確認してくださいという印だ。
なんとなく嫌な予感がするが、タッチして開く。
「なっ……!」
俺は、開いた口が塞がらなかった。
だってそこには、顔写真付きで姉貴が出ていて。
ミリアの事を、自分の「弟」だと公表したのだから――
☆☆☆☆☆
【WCOサービス開始!】アウストロン雑談スレ 3
1.名無しの観戦者
ここはアウストロン雑談スレです。
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668.名前:名無しの観戦者 (ID:vwEhCoYtfw)
公式サイト見たか?
あのミリアちゃん、開発・運営チームの責任者の弟(妹)なんだってな!
669.名前:名無しの観戦者 (ID:ljifmdnfie)
見た見た!てかお姉さんも超美人
あれが姉なら弟(妹)があそこまで可愛いのも納得だわ
670.名前:名無しの観戦者 (ID:ljifmdnfie)
>>669
それな
というか、システムの誤認で男なのに女と認識されて、ゲーム内では女の子っておい……
でもそれだけじゃなくて、重大な情報があったじゃないか
671.名前:名無しの観戦者 (ID:ttmmgjdloe)
アウストロンの天使が、全大陸の天使になっちまったな
672.名前:名無しの観戦者 (ID:rjrinfunfr)
>>671
誰が上手い事言えとw
673.名前:名無しの観戦者 (ID:rtfelktght)
俺は運営を信じてた
元が男の娘だっていい、だってゲーム内では幼女だから
674.名前:名無しの観戦者 (ID:vwEhCoYtfw)
>>673
そのIDは……お前まだ居たのかw
その気持ちは分かるww
つっても、ミリアちゃんは全大陸を移動可能ってだけで、どこで活動するかは本人の自由にさせるんだろ?
最初アウストロンに登録したんだから、アウストロンに居るのが濃厚じゃないか?
675.名前:名無しの観戦者 (ID:qtkmeltrgr)
あー確かに!
でも、そう考えると、最初にミリアちゃんに絡みに行った奴らのせいで、アウストロンに嫌気がさしてたらと思うと……
676.名前:名無しの観戦者 (ID:plidmeifne)
ガタッ!
677.名前:名無しの観戦者 (ID:kirjendrlf)
ガタタッ!
678.名前:名無しの観戦者 (ID:otgdfrjgpr)
ガタガッ!ドサァッ!
679.名前:名無しの観戦者 (ID:redssfggtf)
>>676-677
座れww
>>678
なんで転んでるんだよwwお前らなんちゃら三連星かよ!
680.名前:名無しの観戦者 (ID:plidmeifne)
俺を踏み台にしたぁっ!?
じゃなくて、そいつら絶許なんですけど
681.名前:名無しの観戦者 (ID:okejdmroog)
大丈夫じゃないかな、リーズさんが助けてくれたんでしょ?
むしろ、リーズさんのお陰でアウストロンに常駐してくれるかもしれないじゃん
682.名前:名無しの観戦者 (ID:kirjendrlf)
>>681
いや、多分それを防ぐ為にこのタイミングで公表したんだろ?
昼ですでにアウストロン赤表示だったし、これから仕事終わったリーマンが登録しだすじゃん?
683.名前:名無しの観戦者 (ID:plirmginru)
それっすなぁ
それに、ミリアちゃんのお姉さんの言葉の中に、色んな大陸のイベントに参加するようにお願いしておくってあるじゃん
684.名前:名無しの観戦者 (ID:rutgomeufr)
それな!
それに加えて、全ユーザー参加型のイベントが、3日後の土曜に公開されるって情報もあるし、楽しみだぜ!
685.名前:名無しの観戦者 (ID:lfpegkjtpg)
ミリアちゃんも参加するんだよな、凄い楽しみ
お前らどんな『アーツ』取ってんの?
以下、各々の攻略話が続いた
☆☆☆☆☆
「公式サイトのお知らせ、見た?プリハドール」
「ええ、見ましたわ。成程、こういう事でしたのね」
二人は一緒にため息をついた。
「はぁ、そりゃフレンドになれないわけだよ。悪い事しちゃったなぁ」
「仕方がありませんわ。それに、ミリアちゃんは賢い子だと思いますわ。リーズに悪気が無かったのは分かってくれていると思いますし、次も気軽にパーティは……誘えないのかしら?」
「どうだろう、このゲームのイメージキャラクターに選抜されちゃったんでしょ?それも、男の子なのに、女の子で登録されちゃうなんて……。そういう理由だと尚更、誰かと一緒にって、難しいかもしれないね……」
二人、深刻な表情をして黙り込む。
そこへ、タイミングよく聞き覚えのある声がして、二人は振り向いた。
「あ、二人とも良かった、まだここに居たんだ。その……良かったら、俺とパーティ組んでくれない?」
そう、今話題に出していた、黒いゴスロリ服に身を包み、頭の上には可愛い黒猫を乗せた、ミリアだ。
「「もちろんっ!!」」
二人は笑顔でそう答えるのだった。




