61 彼女とデート計画
いつも有難うございます。
とあるアパートの一室に、高校生と思わしき男女が居た。
一人は、老若男女問わず惚れてしまうような端正な容姿をした少女。
もう一人は、特筆するほどイケメンという訳ではないものの、優しい顔立ちをした青少年。
二人は今、机の上に資料を広げて、何やら話し合いをしている。
はたから見れば今の光景は微笑ましく、初々しいカップルがデートの計画を立てているようだ。
実際にそうである。
肩が触れ合う距離で話し合っている内容とは、デートは海にするか、プールにするか、川にするか、である。
これで二時間弱余裕で会話が続くのだから、純粋に会話を楽しんでいるような気がする。
お互い、相手のことを好きすぎなのではないだろうか。
閑話休題。
「結局、どこにしましょうか...。どれも魅力的で決め難いですね」
「いや、一個に絞らなくたっていいよ。なんなら全部行こう。課題も終わったし、俺たちを縛るのは時間とお金くらいしかないからね」
「…!そうですね、じゃあ最初は…海、とかどうですか?」
「うん、そこに行こうか!」
「はい!色々買わないといけないですね。……水着とか…」
「う、うん。そうだね…」
日向の水着姿とか、俺の鋼(笑)の理性が持たないくらいの攻撃力を持っているに違いない。
彼女が頑張って水着を着てくれるのだから、彼氏としては恐悦至極に存ずるのだけど…。
日向の水着姿を、そこら辺の男たちに見られるの大変面白くない。
日向のきめ細やかな肌や、綺麗な体を見るのは俺だけでいたいと思ってしまう。
彼女の体を見られるのも嫌だし、そんな独占欲が強い自分も更に嫌だ。
「……葵くんの体を、他の子達に見られるのは嫌です…」
「う、うん?日向さん?なんだって?」
「で、ですから、葵くんの体を、他の女の子達に見られたくないなぁ、って…」
「お、俺の体を?いやいや、日向の体はまだしも、男である俺の体なんて別になんともないだろう」
「だ、ダメです!葵くんの水着姿だったりを誰かに見られると思うと、何だか胸の奥が痛くなるんです。これが所謂、嫉妬という感情なんでしょうか…」
俺が日向の水着をそこらの男に見られたくないように、日向もまた、俺の水着をそこらの女に見られたくないってこと?
正直、最近は日向の食事のおかげで貧相な体を卒業して、良い感じの体型にはなれているけど、俺の体なんて…って思わなくもない。
だけど、日向が嫌だというなら、お互いのベン図の中心の話をしていこうか。
「俺も日向の水着姿を誰かに見られたくないよ。水着を見せに海に行くわけじゃないし、お互いラッシュガードでも着ようか。それなら安心じゃない?」
「そうですね!それなら安心です。…折角買った水着は、後々葵くんにだけ見せますからね…?」
「う、うん…ありがとう。超楽しみにしてる」
「水着は秘密ですけど、今からお揃いのラッシュガードでも買いに行きませんか?」
「そうしようか、出かける準備をするよ」
「はい!」
その後俺たちは、近くのお店に水着等を買いに行った。
日向がどんな水着を買ったのか気になるところだが、我慢しておく。
ラッシュガードは白いパーカータイプのを購入した。
男性用と女性用で多少作りは違うが、同じ会社のものを購入したのでお揃いである。
俺の水着について触れていないのは、単純に需要がないからです。それだけです。
帰り際、日向が何かを購入していたようだが、結局教えてくれなかった。
デートの日のお楽しみということだ。
早くデート当日にならないかなと考えながら、右手に二人分の荷物を持ち、左手は日向と手を繋ぎながら、家に帰ったのだった。
次回からデートのお話となります。
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