57 彼女とテストの結果
いつも有難うございます。
俺の名前は結城葵。
県で二番目に賢い学校に通っている普通の高校生だ。
唯一普通じゃない所を挙げるとすれば、性格も頭も良くて、アイドル顔負けの美少女とお付き合いさせてもらっているという所。
その美少女の名前は立花日向と言うんだけど、とても健気で献身的で可愛らしい子です。
閑話休題。
今日は、夏休みに入る前の残り少ない登校日。
以前受けたテストの結果が発表される日でもある。
今回のテストは、日向のおかげで少し、いや結構自信がある。
五十位以内には確実に入っている。
おいおい、結構自信があるって五十位じゃないか。
そう思う人も居るだろう。
ここの学校はとても賢い人間が集まっていて、当然テストのレベルも高い。
中学校では学年一位が当たり前だった俺でも、この学校ではぎりぎり前から数えた方が早いといったレベルなのだ。
そんな良い意味でやばい連中が本気を出したテストで五十位なのだ。すごかろう。
まだそうなのかは分からないけどね。
今日の朝早くから廊下に総合得点と順位が張り出されているので、結果が気になりすぎて早歩きをしていたら、すぐに学校に着いてしまった。
玄関を通って廊下の方へ行ってみると、沢山の人だかりが出来ていた。
皆の反応は、嬉しそうだったり悲しそうだったり。様々な反応だ。
人だかりの中から、まっすぐ俺の方へ歩いてきた奴がいた。俺の唯一の友達である、悠斗だ。
「おはよう、葵。お前今回頑張りすぎだろ」
「おはよう。本当に?自信はあったけどそんなに良かったのか。悠斗は?」
「俺は四十六位だったぜ。早く見にいけよー」
先程五十位に入る事の難しさをいったけど、こいつはあまり勉強をしてなくて四十六位だからな。本当に意味がわからない。
「四十六位か、おめでとう。じゃあ見に行ってみるよ」
「おう。葵の彼女の順位も見てみろよな」
「うん。でも結果は多分わかるけどね」
「やっぱり言い返さなくなると面白くねえなあ」
「やかましい。交際している事を隠しても良いんだけど、俺は嘘でも日向の事を否定したくないからな」
「おうおう、格好良いな。じゃあ後ろの彼女と見に行ってこい」
「え、後ろって…」
そう言いながら後ろを振り返って見ると、顔を赤くした自慢の彼女が居た。
いつ頃から見ていたのだろうか。
顔を赤くしていることから、俺の「日向を否定したくない」という所は確実に聞かれたんだろう。
その言葉は本心で、嘘なんてこれっぽっちも含まれていないが、日向にその言葉を聞かれていると思うと凄く恥ずかしい。
二人見つめ合って、周囲の事なんて忘れて甘い空気を醸し出す。
「あ、葵くん。さっきの言葉、とっても嬉しかったです…」
「…聞かれてたんだな。俺は本当にそう思ってるから。ずっと日向を大切にするよ」
「葵くんを疑ったりしません。こんなに葵くんに大切にしてもらえて、幸せです」
「はいすとっぷ。朝早くからイチャイチャしたいのは分かるが、見せつけられる奴らの気持ちにもなってみろ」
「ああ、ごめん」
一応謝っているが、凄く良いところだったので心の中で恨んでおく。
「良いから早く行ってこい。三回目だぞこのセリフ」
「わかったよ。行こう日向」
「はい!」
二人で結果が貼られている掲示板まで歩いていった。
右から順に、一位から百位まで書いてあって、それ以下は書かれていない。
緊張しながらも、堂々と一位と書いてあるところの名前を見てみると。
一位 立花日向 四百八十四点
良かった。今回も日向が一位だ。
彼女の方を見てみると、ちゃんと一位を防衛出来たことに安心したのか、ほっと胸を撫でおろしている。
ちらっと二位を見てみたら四百五十二点だったので、三十二点も差がついている。
五教科で五百点満点の中、十六点しか落としてないって凄すぎるだろう。
改めて日向の賢さが分かった。
「よく頑張ったな、日向。ちゃんとお祝いしよう」
「あ、有難うございます。楽しみにしてます。…それよりも!葵くん、凄いですよ!」
日向がピッと指指す方を見てみると、そこには順位と俺の名前があった。
十八位 結城葵 四百十九点
「は?」
驚きのあまり、声が漏れてしまった。
じゅ、十八位?
俺が?
今回のテストで?
四百十九点?
「十八位ですよっ葵くん!このペースでいけば、来年は六組に上がれそうですね!今日はお祝いをしないとです」
ふふふっと自分のことのように嬉しがっている日向。
予想以上に良い結果だったことと、この結果のために日向が沢山時間を割いて手伝ってくれて、そして喜んでくれている事実に、自然と涙が溢れそうになる。
それを防ぐために、制服の袖でゴシゴシと涙を拭って、日向の方へ向いた。
そして心の底から思っていて、今にも溢れそうな気持ちを、言った。
「ありがとう、日向」
「ふふふ、どういたしまして、です」
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それでは、月曜日から頑張って行きましょう!