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43 彼女と予行演習

間に合いました。

いつも有難うございます。

本日は体育祭前日の予行演習。


予定通りに種目を進めてみて、本番で失敗しないようにするために行うもの。


今日一日これだけをするため、授業をしないので皆は嬉しそうだ。


そして重要な、立花と一緒に種目に出場出来るか問題。


これは呆気なく彼女と一緒に出場出来ることになった。


恐るべし立花の力。


俺としては立花と一緒に出れることはこの上なく嬉しい。


だけど俺が立花と一緒に出場すると分かった途端に、周りの男子の目が殺気に溢れていてやばかった。


目線だけで殺されると思ったのは初めてである。


そんなことは置いておいて、立花と一緒に仮装二人三脚に出れることが決まって、たくさんの時間を彼女との練習に費やした。


仮装と名前のつくとおり、何か仮装しなければならないのだが、立花が事前に決めていてお姫様と執事の仮装を選んでいた。


元から用意されていた仮装セットの中から好きな物を選ぶのだが、毎年お姫様と執事セットは人気らしく、権利を獲得するのは至難の業らしい。


だがそこは立花。


彼女がやりたいと言ったら、周りは喜んで譲った。


そして嬉しそうに俺に笑いかける立花を見て、譲った人達は破顔していたので、まあ良かった…のか?


仮装して二人三脚をするのだけど、思った以上に仮装しながら走るのが難しくて、コースを一周するのに時間がかかる。


だが俺のお姫様は立花である。


抜群の運動神経を存分に発揮して、練習するたびに俺をリードしながら走ることが出来るようになっていた。


なんか格好つかないけど、立花はタイムがどんどん短くなるのを嬉しそうにしていたので、格好つかなくてもいいや。


全体でやる種目は実際にやってみるけれど、選抜リレーや仮装二人三脚、借り物競争など人気なものは実際にはやらない。


なんでも、一度見てしまったら冷めてしまうからだとかなんだとか。




そして俺は今、紅組のテントで体操座りを決め込んでいる。


友達である悠斗は白組な為、話すことは出来ないし、することも無いので何らかの種目を真剣に取り組んでいる立花を眺めている。


周りの男子が「立花さんやっぱり可愛いな…」「スタイル良すぎ。それにでかいし。何がとは言わんけど…」「体操服姿が眼福過ぎる…。写真撮りたい」と立花のことで盛り上がっている。


おいおい、立花が可愛いのは認めるけどそんな目で見るな。あと個人的に写真は撮るなよ。


種目を終えた立花が皆と退場していく。


彼女はテントまで戻って来て、俺の隣に座った。


そんな彼女の行動に周囲がざわめいた。


俺に嫉妬と殺意の籠った視線が集中する。


気にしたら負けだ。気にしない気にしない。


「お疲れ様」


「有難うございます。見ててくれましたか?」


「ずっと立花だけを見てたよ」


「…!そ、そんなこと…!こんな所で…急にっ」


なぜか立花は顔を赤くして俯いてしまった。


俺何か変なこと言ったっけ?本当の事を言っただけなんだけど。


「…!私も、結城さんが見てくれてると思って頑張りました」


「うん。よく頑張ってたよ。立花は飛びぬけて可愛いから、すぐ見つけられたし」


「…!なっ…ななな。きょ、今日は、結城さんが手強いっ…」


なぜかまた立花が顔を赤くしてぼそぼそと何か言っている。


本当にどうしたんだ。


相変わらず可愛いけれど。


「明日は…楽しみだな」


「…そうですね。仮装二人三脚、たくさん練習したんですから。一位を取りましょうね」


俺がそういうと、顔を上げて返事をしてくれた。


「ああ。絶対一位取ろう。立花とだったら、何でも頑張れるよ」


「も!もう…どうして今日はっ…」


「あ。次は全体種目だ。行こう立花」


俺がそう言って立ち上がって、彼女に手を差し伸べる。


彼女は顔を赤くしたまま、俺の手を取った。


「…今日はなんだか…結城さんが上手(うわて)です…」


「…ん。どうした?早く行こう」


「な、なんでもありません!行きましょうっ」



逆に立花に引っ張られていく俺。


立ち上がらせるために手を繋いだはいいけど。


今も手を繋いでること、気にしないのか…?



葵も日向も、頬を赤く染めながら、お互いを翻弄しあっているのであった。














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