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41 彼女と廊下で

いつも有難うございます。2月2日は青い髪の鬼の少女の誕生日で盛大にお祝いしました。

逃げるように予備室を出てから。


バイト先の喫茶店で、唯一の友達である悠斗と出会った。


「おっすおっす」


「何だその挨拶。…おっす」


「ははっ」


悠斗は歯並びの良い綺麗な歯を見せて笑う。


一緒に裏の方へ行って、バイト服に着替えながら中身のない話をする。


「あ。そういえば悠斗って運動って得意か?」


「まあそれなりに得意だな。今回の体育祭はリレー選手として選ばれたぜ」


「おいおい。それなりって言わないだろ」


「はははっ。まあ中学時代は陸上部だったからなー」


悠斗って中学陸上部だったんかい。帰宅部な俺とはちょっと世界が違うな。


「まあ走ることが得意なだけで、それ以外はあんまりだけどな?というか急にどうしたんだよ」


「いや、ちょっと気になってな」


「…なんだ?葵の彼女になんか関係することか?」


悠斗の野郎がにやにや笑ってそんな聞いてくる。


ここで言う葵の彼女とは、立花のことである。


以前立花のことを話したら「彼女も同義や」とずっと俺をからかってきた。


未だにそれでからかうのだから、飽きない男である。


「だから彼女じゃないっての」


お決まりの台詞を言って、むすっとした顔をして見せる。


「ははは。でも関係すること関しては言い返さないんだな」


ふざけてむすっとした顔していたのに、痛いところを突かれて苦笑いを浮かべてしまう。


「ふーん。まあいいけど。さあ…今日も頑張ろうぜ」


「お、おう」


悠斗が笑みを浮かべながら部屋を出ていく。


なんかムカつくな。


まあ、仕事は仕事だ。ちゃんと働かないと。


気合いを入れて、俺は部屋を後にした。







☆☆☆☆☆







「ただいま」


バイトを終えて悠斗にいじられながら家に帰ったため、なんだか疲れてしまった。


俺もいじり返す内容をそろそろ見つけないと。


靴を脱いでリビングまで歩いていると、小走りで立花がやってきた。


「おかえりなさい結城さん。今日もお疲れさまでした」


立花がにっこりと笑顔を見せてくれる。


彼女は高頻度で俺の家に来てくれている。


というか立花がいない日なんて、ここ最近は無かったくらいだ。


もし立花と結婚したら…。


こ、こんな生活が毎日?幸せ過ぎだと思います。


って俺は何を考えているんだ。まだ付き合ってもいないのに。


頭をぶんぶんと振って、邪念を追い払う。


「…?どうしたんですか」


「いや。何でもないよ。さあ、こんなところにいないでリビングに行こう」


「そうですね。お夕飯は出来ていますが、もう食べますか?」


「うん。そうしよう。…いつもありがとう」


俺は自然に立花の手を取りながら歩き出そうとする。


立花はついて来てくれてはいるけど、なんだか不自然な気がした。


気になったので後ろを振り返ってみたら、顔を赤くした立花が居た。


「ど、どうした?」


「あ、ありがとうって…言ってくれたのが嬉しくて…。こんな日々が続くのが、幸せだなって思ったんですっ」





「た、立花っ」




「ゆ、結城さん?」




立花も同じ気持ちなんだ。そう分かった途端に、今日の出来事を思い出した。



「結城さんは私の大切な人」



俺のことを大切な人だと言ってくれて、幸せだとも言ってくれる。


そんな女の子のことを、愛らしいと思っていたら。




気が付けば、立花に抱き着いていた。





体が柔らかいとか。


いい匂いがするだとか。


可愛いな、とか。


頭の中の情報が、彼女のことでいっぱいになる。





「…結城さん…」


「…あっ」



立花の声で、俺の脳が冷静さを取り戻していく。


今まで線引きしていたのに、それを越してしまった事実に、どんどん体から熱が奪われていく。


もし立花に拒絶されたら?


そう思ってしまう。


もう遅いのに、咄嗟に立花から離れる。



「ご、ごめん!本当にごめんっ。感情のままに行動してしまってその」


俺の脳がフル回転して、早口で言い訳を述べようとした。


だけどそれは、さっきぶりの暖かい感触で遮られた。


「た、立花!?」


今度は彼女が俺に抱き着いていた。


立花の腕が俺の背中に回されて、頬と頬が触れ合う。


「もう少し…。このままで居させてください…」


これって…。


良いってことだよな。


俺はゆっくりと腕を上げて、優しく立花を抱きしめ返した。



嫌がる素振りは…ない。


これを求めていたと言わんばかりに、二人はお互いの体を密着させる。




暫くの間、二人は廊下で抱きしめ合ったのであった。










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