31 彼女への想い
投稿遅れて申し訳ありません。例の病気ではありませんが、私自身倒れてしまい筆を執れませんでした。
皆様に心配をかけないよう頑張りたいと思います。
立花がやる気満々で服の山に消えていったので、買うのに時間が掛かると思っていたが、それは思いのほか早く終わった。
すぐに頬を赤く染めた立花が帰って来て、俺の横にちょこんと座った。
「結城さんにはこれがとっても似合うと思います…!」
「早かったな。選んでくれてありがとう」
立花は俺にかごを渡すと、「着てみてください」と言った。
早速試着室にて着てみると、ベーシックカラーで俺にぴったりの色だった。
一応気になったので値札を見てみると、とてもリーズナブルで流石だと思った。
「開けるよ」
俺がそういうと、「はいっ」と元気な返事が返ってくる。
「どう?」
「や、やっぱりとても似合っていて、大人な感じで…か、格好良いです…!」
立花は顔を真っ赤にして褒めてくれるので、相当に似合っているんだろう。
「あ、ありがとう。とても気に入ったし、買うね」
「有難うございます」
何だか店員さんとの会話のようで、少しおかしくて立花と笑いあった。
その後にもう一着試着をして、同様にとても似合っていたので予定通り二着買うことにした。
お会計を済ませると、紙袋を片手に立花と並んで歩いた。
「買い物に行くって言っても、俺の服を選んでもらっただけじゃないか」
「私は最初からそのつもりでしたよ?結城さんの服、選んでみたかったんです」
立花はふふっと笑うと、最高の笑顔を見せる。
その笑顔がとても綺麗で、俺は照れるのを隠すように頬を掻いた。
並んでいて思っていたが、立花と歩いているととても視線を感じる。
立花はとても容姿が整っているので、男女問わず視線を集めていた。
その隣を歩いている俺は、好奇の目を向けられていて、嫉妬の様な視線も感じた。
周りの人たちに注目されている中、最高な笑顔をすればどうだろう。
男達はデレデレするように笑顔になり、隣の彼女であろう女性に肘打ちを食らっていた。
若い女子のグループは、「可愛いー」と言いながら写真をパシャリと取っている。
おいおい、写真はまずいんじゃないか?盗撮じゃん。アイドルでもないんだし、撮ったらいけないだろ。
「なあ立花、写真を撮られているけど良いのか?」
小声で立花にそう聞くと、予想外の答えが返ってきた。
「撮られているのは知っていますよ。でも今に始まったことじゃないですし、止めてくださいと言ってもきりがないですから。それに今だけは、結城さんは女の子の隣を歩く彼氏、と思われているかもしれませんよ?」
立花が少し頬を色付けながらそう言うと、なんと返せばいいか分からず顔に血液を巡らせて押し黙ってしまう。
立花の彼氏…か。
今の俺が立花の様な高嶺の花にはつり合うとは思っていないし、むしろ俺より良い男は沢山いるんだから俺が彼女と付き合えるはずがないだろうと思っている。
でも…。
立花の笑顔が、心が、体が、俺以外のものになってしまう、そう考えると胸がとても痛くなった。
今の立花は、俺を信用してくれていて、一緒に居てくれているが、俺が立花を不快に思わせるような事を万が一してしまったら、鶴の恩返しの鶴の様にいなくなってしまうかもしれない。
そう考えると、もっと胸が痛くなった。
ああ…そうなんだな。
立花という存在は、俺にとってもう必要不可欠なんだ。
俺が急に押し黙ったことに、心配そうに見上げるこの愛おしい少女の隣は、俺でありたいと思ってしまった。
でもこの事を伝えるのは今じゃない。俺が立花とつり合う様な男になって、想いを打ち明けるんだ。
俺は顔を上げて、立花の方を向いた。
立花は俺を心配そうに見つめていたので、すぐに目が合った。
「ごめんなさい…私の彼氏なんて思われて、嫌でしたか?」
立花が今にも泣きそうな顔で言ってきた。
そんな訳あるか。嬉しいに決まってる。
とは口が裂けても言えないので、とりあえず否定をする。
「いやいや、そんな訳ないよ。でも俺じゃあつり合わないから複雑だなって思って」
「…そんな事は無いです」
「ん?なんか言った?」
「何でもありませんっ」
立花は顔を赤くして、俺の手を引いてゲームセンターまで早歩きをしたのだった。
まだ、二人をくっつけるつもりはありません。ですが、ちゃんとくっつきます。
次の投稿は三月八日(日)になりそうです。