30 彼女とまたお昼の約束
短いですごめんなさい。時間も十分以上遅れました。すみませんでした。
ケーキを食べ終えた俺たちは、お会計をしようと席を立った。
何時もは並んで歩いているが、今回は俺が少し先を歩いていた。
理由は単純で、お金は俺が払いたいからである。
なぜ払いたいかは俺も分かっていない。
二人で千五百円ずつ払えば、なんの問題もないと心で分かっている。
だが男はこういう時、率先して払うというのが一般的だとどこか思っている。
立花も薄々気付いているようで、後ろから少し早歩きで追いつこうとしている。
だが残念、もうレジまで来てしまいました。
金銭の貸し借りは駄目だと聞いたことがあるが、男ならば意地を見せなければいけない時があるのである。
席を立つ前に準備していた三千円を店員さんに渡し、左の袖を優しく引っ張られたので、引っ張られた方を向く。
立花は不服そうに片方の頬を少し膨らませていた。
立ち止まっていてはいけないな。
「あとで聞くよ」
「もう」
そのまま立花の手を引いて、店を出てゆっくり歩き出した。
立花の方を見ると、今だ不服そうな顔をしていた。
「なんで一人で払ってしまったんですか」
「こういうのは何か男の方が払うイメージが強くて」
「駄目です、こんな貸し借りを作るような事。私は結城さんに奢られたいんじゃありません」
うーん。俺も深い意味があってやったわけではないからな…。
変に格好をつけちゃったんだし…いい感じに丸めなければ。
「分かった。これから服を買いに行くから、立花が厳選した中で一番良いのを選んでほしい。それと立花とまたお昼どこか食べに行きたいから、また案内してくれ。これで相殺してほしい」
「…服だって、お昼だって、私からお願いしたいくらいなんですけどね…」
「何か言った?」
「…何でも無いですっ。分かりました、絶対付き合ってもらいます」
立花は何故か嬉しそうに三階に俺を連れて行ったのだった。
次は二月十六日(日)に投稿となります。




