表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の伴魂は異世界転生者?  作者: 高月 すい
1.アールストーン校外学習初日
6/9

5.アールストーン校外学習初日【魔法授業 5】


「人それぞれ、好みがあるので、無理に飲んでもらわなくてもかまいません」


 言って、出されたカップの中を見た面々が、戸惑いをにじませた。


「これが……薬茶、ですか」


 誰ともなくつぶやかれた言葉に、フィーナは苦笑した。


「薬茶、ほどの効果はないのですが……。

 レオロード様、申し訳ございません。

 私の中ではこれも薬茶の部類に入るので、あの場で今日、対応できると話したのですが……所望されたものとは異なるかもしれません」


 薬茶の振る舞いは、レオロードに迷惑をかけた、フィーナからの謝罪を兼ねたものだとは、この場の面々は知っている。


 ――その内容までは知らない者もいるが。


 サリアはクラスが違ったので、事情は知らなかったが、立ち上った火柱は目にしたので、それがフィーナの仕業であろうこと、それに関して、レオロードが迷惑を被ったのだろうとは薄々感づいていた。


「これは……?」


 以前、口にしたものとの違いを感じているレオロードは、今回がどういったものかを尋ねた。


「前の薬茶は、乾燥した薬草も持参していたので、その場で摘み取った薬草と共に、煎じて効能を煮出しています。

 今回は、アールストーンで採集したばかりの薬草を使用しています。

 薬草は乾燥させることで、日持ちを良くするだけでなく、水分を飛ばすことで、効能の純度を高めるのですが……。

 今回は摘み取ったばかりの薬草と香草だけを使っているので、成分はあまり出ていません。

 薬でなく、気分転換的なものだと思ってください。

 私が作る薬茶は、ほとんどそう言ったものなので。

 今回は特に、鮮度を感じるものだと思います」


「これまで、私が飲んできた薬茶は、茶色のドロドロ、濃い緑のドロドロだったのですが……これは透き通る、普段の水の色に、薄く緑が色づいているだけですが。

 それは作り方によるものなのですか?」


 教師陣の一人が告げた内容に、フィーナは頷いた。


「通常、処方される薬茶は、効能を重視のため、薬草自体を細かくすりつぶしてしとることなく、飲むようにされています。

 実際、怪我や病気の時の薬茶は、そうしたものでなければ効果はないでしょう。

 けれど今、この場に用意したものは、怪我や病気の方の為ではなく、ちょっと疲れたな。よく眠れないな。――など、日常の不調に効果が望めるのではと思えるものです。

 今日は皆さん、お疲れでしょうから、不眠の心配はないと思われますので、少しだけ気分転換――疲れが……ぼんやりとする頭がすっきりするものを、出させていただきました。

 ……レオロード様。

 それでよろしかったでしょうか?」


「十分ですよ」


 所望したレオロードの許可を経て、皆、それぞれ出された薬茶を口にした。


 初めはカイルだった。


 カイルが口をつける前に飲むことは憚れたので、カイルが口にしたのを確認して、それぞれ口に含んでいった。


 毒味は別の概念である。この場に置いて毒は、ありえないことだった。


 薬茶の反応は、人それぞれだった。


 気にいって受け入れる者もいれば、表立って口にしないものの、一口、飲み干しただけで顔をしかめてそれ以上、口にしない者もいる。


 顔をしかめた面々にも、フィーナは気付いていた。




薬茶というより、ハーブティーです。

学生時代、友人宅で振舞われた、摘み取ったばかりのアップルミントを綺麗に洗って、それに熱湯を注いだだけの、シンプルなハーブティ。

初めて飲んだ時の衝撃と言ったら。

それからフレーバーティーを時折飲むようになりました。

今回のお茶は、そのイメージです。

好みは真っ二つに割れると思います。

だけど、私は好きなのです~。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ