2.アールストーン校外学習初日【魔法授業 2】
『ちょっとじゃねーだろ。やりすぎだ』
周囲に人がいないので、フィーナと伴魂は小声で話していた。
「だって。久しぶりに思い切りできると思ったんだもの。
あれでも制限してたんだけど」
『フィーナの魔法威力から見た制限じゃなくて。
世間一般的な威力に抑えろってことだよ』
「それじゃ、鍛錬にならないじゃない」
『仕方ない。我慢しろ。セクルトでは俺が教えられない魔法を学ぶつもりでいればいいから』
「え。知らない魔法ってあるの?」
『俺も全部網羅してるわけじゃないからな。
魔法自体、膨大な数があるんだ。セクルトで教えるんだから、意味があるものだろ』
「そっか……」
セクルト貴院校に通い始めて数カ月。
魔法の授業自体、始まったばかりなので、まだ基本的なものしか学んでいない。
基本、魔法は貴族籍の素養として学ぶもので、貴族籍の面々も、理由がない限り、セクルトで学ぶ以前に独自に学ぶことはなかった。
個人的に学ばせた場合、変な癖がついたりしたら、修正が難しく、試験の結果が悪くなる事例が多発した過去があったためだ。
フィーナは拉致未遂事件があった関係で、護身の為にこっそり自身の伴魂から指導を受けているが。
なぜ、伴魂が指導できるのかは、考えが及んでいない。
「指導できるから、知っているからできるのだろう」
と、ありのままを受け止めているだけだった。
フィーナの素行から、セクルト貴院校に入学する前から、指導を受けているのだと、ダードリアも他の教師面々も気付いている。
入学当初、ザイルが同伴者としてついていたので、彼から学んだのだろうと思われていた。
フィーナも、そう思われている節には気付いていた。
明確に聞かれたことはないので、そうした部分に乗っかって、肯定もせず否定もせず、話を合わせている。
しばらくすると、カイルが側に来て、隣の椅子に座った。
鍛練場には、いくつかの椅子とテーブルが設えてある。
ダードリアから「もう十分でしょう」とお墨付きをもらったので、休憩がてら、フィーナの側に来たようだった。
カイルには護衛騎士二人も続いている。
アレックスはおかしくてたまらないと、笑いをこらえている様子を見せ、レオロードは引きつった笑みをフィーナに向けていた。
「相変わらず……とんだ規格外だな」
カイルは呆れきったため息を落として、フィーナに苦言を呈す。
あらかじめ準備されている水を口にして、喉の渇きをうるおしているようだった。
「本当ですよ。とんだとばっちりです」
カイルの言葉に、レオロードがすかさず続ける。
「どうするんですか。王城に戻って、騎士団の面々に実演しろと言われたら――。
言っときますけど、できませんからね。
あんなとんでもない燃焼など」
困り切った様相で告げるレオロードに、隣にいたアレックスが我慢できずに盛大に吹き出した。
「そ、そうだよな……っ!
驚いて、呆然としてたもんな、お前……っ!」
その時の顔が、よほどおかしかったのだろう。
アレックスは呼吸も苦しいほど笑っている。
そのアレックスを、レオロードは渋面で睨みつけた後、非難がましい視線をカイルに向けた。
「殿下も。
お人が悪いですよ。
私に丸投げなど――」
「文句はダードリア……先生に言ってくれ。
先生がうまくかわしてくれれば、レオに振らずにすんだんだ。
……というか、なぜ俺に丸投げしたんだ、先生は」
カイルもため息混じりに、ダードリアの非難を口にする。
「そうした対処を上手くとりなすのが教師の役目ではないのか?」
「お言葉、誠に耳に痛いのですが――」
話に割り込んできた声に、反射的に皆がそちらに顔を向けると、疲労困憊気味のダードリアがため息を落としたところだった。
とりあえず……。
この話を書いてた時は、めちゃくちゃ楽しかったです!!
内容的には重要度が低いことと、この話を本編に入れると話が長くなっちゃうので省きましたが。
するするする~。
……と書ける話って、楽しいですね~。