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家族ってね  作者: 宮原叶映
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西原京介という男

更新は、毎週金曜ですが、遅れました。すみませんでした。


 西原京介が、大切な心友に後のことを頼むと言われて絋季達を引き取るまでは、元々三人暮らしをしていた。


 京介も、複雑な家庭の中で育った。父と母は、よく喧嘩をしていた。幼い頃から、その喧嘩を見ていた。突然、京介が五歳の時に父親が出ていった。

 一年後。母親は、再婚した。当時の京介は、六歳だった。再婚相手の男も連れ子がいた。

 京介と同級生だった。今も一緒に暮らしている(とおる)だ。三ヶ月違いで、京介が兄で、透が弟になる。


 京介は、新しくできた父親と仲が良かったが、透は、実の父親でもあるのに仲が悪かった。

 透は、元々母親と仲が良かったが、その母親は病気で亡くなった。彼は、いつも京介と一緒にいて仲が良かった。透と京介は母にも仲が良かった。


 一年後、両親の間に、新しく子供が生まれた。女の子だった。

 名前は、(そら)だ。両親は、空を溺愛した。だか、空は、そんな両親のことが嫌だった。

 空が生まれてから特に京介にとっての新しくできた父親は、彼と透を毛嫌いした。

 空はお兄ちゃん達と遊びたいと思ったが、両親は京介達と一度も遊ばせなかった。彼らと別々で、朝昼晩のご飯を食べた。

 京介達には、愛情でなくお金を渡す。彼ら自身、そんな両親がだんだんと嫌いになった。何も悪くない空に対しても嫌な気持ちになる。


 京介達は一緒の部屋でいつも過ごすので、父親はその部屋のドアに鍵をかけて彼らと空を会わせないようにする。トイレに行きたければ、両親に気付いてもらうまで部屋のドアを叩くしかなかった。


 両親がいないときに、初めて空と遊んだことがある。空が小学一年生で、京介達は中学二年生になったときだ。

 その日に、限って部屋に鍵はかけられていなかった。それを知った空が、遊びたいと二人のもとにやって来た。


 京介達は、父親に怒られるので、無視をしていた。空は、一時間たっても遊びたいと言う。

 京介がダメだと言うと、空は泣いた。仕方ないので部屋にいれて遊ぶことにした。


 両親が、帰ってきたのを気づかないぐらい楽しい時間を過ごした。彼らの部屋から楽しそうな声を聞いた父親は、京介達の部屋に行き、空をリビングにつれていく。すぐに、京介達の部屋に戻って京介達に暴力をふるう。



 そして、部屋の鍵を閉めた。次の日になっても、その次の日になっても……部屋から出してくれなかった。


 二人が意識がもうろうとした時に、空と誰か知らない声の主の話し声がして、京介達の部屋の戸が開く。その誰かとは、児童養護施設の職員と警察だった。


 それは、空が、学校の先生にこう助けを求めたからだ。

 

「お兄ちゃん達が、お父さんに部屋の中で何日も閉じこめられてる。助けて!」

 

 学校の先生が話を聞き、すぐに通報した。児童養護施設の職員と警察が、西原家に行き、父親から鍵を取り上げ二人を救出した。

 それ以来と二人は、狭い部屋にいるのが恐くなった。

 三人とも児童養護施設で暮らすようになった。数年後、京介と透は十八歳になった。


 京介は、警察官になりたいと採用試験を受けて、見事合格。その後、警察学校に入校した。彼は、寮生活だ。


 透は、空を引き取れるように就職した。彼の就職した会社でも高卒ということでバカにする人もいたが、それを跳ね返す実力を持っていた。


 数年たったある日のこと。透は、お金を貯めて空を引き取った。寮を出た京介は、彼の誘いを受けて一緒に暮らした。

 京介と透は、空を恨んでいない。空は、自分達の命を助けてくれた命の恩人だと想っている。なので、今度は自分達が空を守ろうと心に決めている。 


 京介は、透と同じように高卒で警察官になったのをバカにされたが、めげずに「それが、何か?」という態度で、〇〇警察署にとっては、検挙率ナンバンワンを誇るエースだ。

 そんな京介は、時雨と小学校から心友だった。時雨は、事件が起こっても変わらずに心友でいてくれた。


 誰よりも信頼していた。その心友が、交通事故で亡くなった。会うたびに、自慢していた子供達を置いて。京介は、心友が遺した子供達を育てると決めた。

  


 時雨とめぐみの葬式の時、京介は両親を亡くし悲しむ子供たちをよそになにやら言い合いをしている人達を見ていた。

 

「三人一緒には、無理だ」

 

「施設に預けろ」

 

「離ればなれは、かわいそうよ」

 

「じゃあ、あんたが引き取れば? 」


「無理よ。うちは、小さい子もいて大変なの。あなたのところは? 」

 

「俺のところも無理だ。娘は、今年大学受験を控えているからな」

 

 と、絋季達の親戚は心無いことを言い合っていた。紘季は、幼い双子をぎゅっと抱き締めていた。

 京介は、三人の前に行き、親戚達にも聞こえるようにこう言った。優しい目で言う。

 

「紘季、藍李、海李。俺の家に来ないか?俺にもな、同い歳の弟と歳の離れた妹がいるんだ。それでも、三人だけじゃ広くてさびしいから、来てくれたら嬉しいな」

 

「みんな、いっしょ? 」

 

 口を開いたのは、海李だった。

 

「そうだよ」

 

「いく」

 

 絋季は精神的に不安定で、今は双子を抱きしめるしか出来ないようだった。藍李は、泣きつかれて寝ている。海李だけが、まともに会話ができた。


 絋季と藍李には、落ち着いてから承諾してもらった。時雨からの遺言のもあり、一度に両親を失った三人きようだいは西原京介に引きられた。


 京介の言った、三人だけじゃ広くてさびしいというのは、理由がある。元々透が借りたのは、三人ではとても広いく高級とまでは、いかないぐらいの立派な部屋だ。

 もちろん、京介や空も生活費を入れている。本当に部屋も余っているので、絋季達を引き取り住まわせることにした。環境を変えた方がいい。そう思ったからだ。


 本当は、絋季の通う高校を転校させたかった。()()()()に会わせたくなくて、刺激になることを防ぎたかった。でも、そのことを絋季には言えない。その理由としては絋季の心が弱いからだ。


 もしかしたら、絋季の心は壊れるかもしれない。京介が説得したが、紘季は転校を拒否した。同情されるかもしれないが、今の高校生活を失いたくない。心友と離れたくないという。

 運があるのか京介達の家から紘季の学校は、通えない距離ではない。

 空は、家で小説を書いているので、送り迎えを頼めなくはない。

 藍李達も、通う保育所は、友達と離ればなれになりなくないというので変えれない。


 西原京介は、現在三八歳だ。つまり、時雨も同い年だ。ついでにいうと、めぐみも同い年。京介の初恋は、めぐみだった。

 でも、めぐみは時雨と結ばれた。そして、三人の子供が生まれた。彼はその心友と初恋の相手のには負けるが、自分の子供のように愛情を込めて大切に育てようと二人に誓った。


 しかし、京介は心のどこかで自分のせいで二人を殺したと想っている。彼は、必ず二人の結婚記念日には花を家に送る。今回も、そうするはずだった。

 この日に限って、非番だったので花は送らなかった。せっかくだから、時雨達に会いたいと思った。

 連絡を取ると会えると分かった。彼は二人に会って、買った花を贈る。しばらく、話してから別れた。


 その後、彼はコンビニで買い物をしていた。しばらくしてから、仕事用のスマホが鳴った。すぐに電話に出ると、安堂から緊迫した様子であることを報せられた。


 彼は、固まった。さっきまで会っていためぐみが事故に遭って死に、時雨は心肺停止で病院に運ばれたという。


 安堂は、時々京介から二人の話を聞いたことがあった。そのため、非番だった彼に連絡をしたのだ。

 京介は、自分が会おうと言わなければ、時雨とめぐみが死ぬはずじゃなかったと後悔している。

 どこかで、紘季達を引き取ることが時雨達を殺した罪滅ぼしになると思ったのかもしれない。


 子供時代に、大変だったそんな京介だからこそ、紘季達に寄り添えると想ったのもある。

読んで、いただきありがとうございます。

冒頭で、京介が紘季たちを引き取るとネタバレしてます……。こちらのミスです。すみません。



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