表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現役でダークヒロインになる方法  作者: おでん信用金庫
Episode1 刑法第168条違反
5/6

#5 はは~ん、さてはこいつダークヒロインだな?



時は3時間目。科目は『生物』。生物教師が黒板に文字を書きながら、生徒らに説明をする。



「襍、陦?逅?→縺?≧縺ョ縺ッ陦?豸イ縺ョ40%繧貞頃繧√k陦?逅???代▽縺?縲」



残念ながら何を言っているのか微塵(みじん)も理解できない。熱心に何かを訴えようとしているのに、受け手には何一つ伝わらないのだ。僕ぁ悔しくて涙が出そうだよ(絶対出ない)



「『赤血球というのは血液の40%を占める血球の1つだ。』って言ってるよ」



俺の前の席に座る女子生徒が、生物教師の発言を翻訳して教えてくれた。彼女の名は『高飛車(たかびしゃ) 孝子(たかこ)』・・・『文字化けを逆変化する能力』の持ち主だ。2時間目の現国から、なぜかクラス内の発言が文字化けするようになってしまったのだ(A型を除く)。彼女曰く俺のせいらしいが、俺は悪くない(断言)




「雉ェ蝠上>縺?〒縺吶°縲∝?逕(質問いいですか、先生)」


「縺?>縺?繧阪≧縲ゅ◆縺?縺怜・ウ諤ァ髢「菫ゆサ・螟悶?縺薙→縺ァ鬆シ繧?繧亥菅(いいだろう。ただし女性関係以外のことで頼むよ君)」


「莉翫∪縺ァ菴穂ココ縺ョ螂ウ諤ァ縺ィ莉倥″蜷医▲縺ヲ縺阪◆繧薙〒縺吶°?(今まで何人の女性と付き合ってきたんですか?)」




高飛車のおかげで、授業についていけないという最悪の事態に陥らずに済んだ。本当に感謝しかない。彼女が正しい翻訳をしているのかどうかは、まったくの別として。



「なぁ高飛車。どうすればこの文字化け状態は治るんだ?」



俺はようやく、シンプルな質問をした。ずっと高飛車に翻訳してもらいながら授業を受けるなんて鬱陶しいからな、早く治ってくるぇ?



「じゃあ桐生(きりゅう)くんはどうすればいいと思いますか?」



あぁ出た逆質問。人類の三大悪の一つである逆質問が出ましたよ。質問を質問で返されて、俺は絶賛イラついてる。



「それが分かれば苦労してない」



「原因は君にあるんだから、少しは自分で考えたらどう。テロリストくん?」



こいつ曰く、俺が2時間目の現国で音読する箇所を間違えたのが原因で現在に至っているというのだが、だとしたらそれは違う箇所を読ませてミスリードしたお前が悪いのではないか?



「逆にお前は、これを解決する(すべ)を知っているのか?」



「もちろん」



高飛車はドヤ顔で肯定する。解決する術を知っているのなら、さっさとなんとかしてくれよと思うのだが。


俺をテロの元凶にさせ、解決策を知っていながら実行せず、あくまで俺に解決させようと誘導するような立ち振る舞い・・・まるでダークヒロインみたいだな



「えぁっ」



不覚にも俺はこの時、高飛車からダークヒロインの素質を感じてしまっていたのだ。無意識のうちだった。幸い、銀色の髪に細い身体・・・ダークヒロインになるには申し分ないプロポーションではあるしな・・・


あれ、まずい。なんかダークヒロイン評論家みたいなこと言ってるよ俺。転校生のシーリンのせいで、どうやら俺の脳内はダークヒロインという概念に侵されてしまっているようだ。くわばらくわばら。






結局、放課後を迎えてもクラスが文字化けの病から治ることはなかった。観察する限り、文字化けを起こしていないのは、俺とシーリンと高飛車だけ。クラスのA型人口の圧倒的少なさに驚きを隠せずにいる。



「ねぇ」



背後から誰かに声をかけられた。俺以外に文字化けをしていないのはシーリンと高飛車だけなので、自動的に二択に絞られた。答えはシーリンだった。



「屋上、来てくれる?」



はい出ました屋上。なにか用事があったら、とりあえず屋上行っとけばいいだろみたいな、『勤務後屋上(サラリーマン・)於飲酒義勇(ビアガーデン)』に通ずる風潮だ。



「すぐ終わる用事か?」



今日は18時からアイドルのライブがある。だから早く帰りたいところなのだが。



「そうね、20時くらいかしら」



「さようなら松本さん」



呆れた俺はシーリンの本名を据えて、教室を出た。俺には用事があるし、そもそも20時まで屋上にいることを、学校が許してくれるわけもない。ないな~い。



「待ちなさい」



制裁と言わんばかりに、シーリンは俺にアルゼンチンバックブリーカーをかけてきた。だが残念。それは残像だ。



「・・・なんですって」



自分がアルゼンチンバックブリーカーをかけていたのが残像であることに気づき、シーリンは思わず目を見開いた。



「へえ、やるじゃない」



やりました。先ほど『やるぅ~!知恵袋』で残像の使い方をマスターした甲斐があったというもの。



「分かったわ、じゃあすぐに終わらせるわ」



その言葉を信じることにしましょう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ