#4 謖ィ諡カ莉」繧上j縺ョ繝舌う繧ェ繝?Ο
どうも、2話ぶりの自己紹介を軽くしよう。俺は「桐生 ダークメイソン」。転校生「シーリン・ヘジテイト」を立派なダークヒロインにすると約束した、しがない高校3年生だ。
「じゃあ次の文章・・・桐生、読め」
おっと、自己紹介をしているうちに現国の教師に指名されてしまった。どこ読めばいいか分からんぞオイ。
「12ページの5行目からだよ~」
俺の前の席に座る女子生徒が、小声で俺に読むべき点を教えてくれた。名前とか微塵も知らんけど良い奴だなお前。
「『校長は延々と殺戮を繰り返す。教頭の絶大な魔力を持ってしても、教育委員会の詠唱を持ってしても、校長は止まることなく、無慈悲な血の雨を撒き散らす。まるでそれは―――』」
「そこじゃねぇよ。13ページの8行目を読むんだよ」
読む箇所が違っていたらしく、教師に怒られた。ええい、はめやがったな前席の女子。名前知らんけど覚えとけよお前。
「廊下に立ってろ」
なんで読む箇所を間違えたくらいで廊下に立たされなきゃいけねぇんだよ。ペナルティ重いし古いんだよ、いま21世紀だぞ?
「じゃあ、私が代わりに読むわ」
突然、隣に座るシーリンが、13ページの8行目以降のの読み人に立候補した。何が『じゃあ』なのかは一切合切分からないが、廊下に立たなくてよさそうな雰囲気になった。ふんいき。
「そうか。じゃあ読んでくれ、松本」
え、こいつ名字『松本』なん?
「え~、私が読むのぉ~?」
「あぁそうか。このクラスには『松本』が2人いるのか。じゃあ、松本『煌乙女』のほうで」
え、こいつ名前『煌乙女』なん?
じゃあ俺の隣にいるこの人『シーリン・ヘジテイト』でもなんでもなくて、ただの『松本 煌乙女』だよね。予想通り、バリバリの日本人だよね。
・・・っていうか『煌乙女』ってなんだ。そもそもなんて読むんだこれ。ルビくらい振って読めよこの二流現国教師が。
「へぇ~あの子『煌乙女』っていうんだ」
「『煌乙女』ちゃんか~、かわいい~」
「『煌乙女』・・・珍しい名前ぞな」
授業中だというのに、初お披露目された転校生の名前に、クラスメイツは興味津々。ていうかお前ら揃いも揃ってルビも振らずに読みやがって、ふざけんなモブ共。
「お前ら静かにしろ。これじゃあ松本が読めないじゃねぇか」
どこにルビ振ってんだお前は。『松本』なんてルビ無くても誰でも読めんだよ。『煌乙女』にルビを振るんだよバカ。
「えぇ~でも比翼連理でいいじゃないっすか、先生」
なんかルビないと分からない四字熟語使い始めたぞこのモブ。いや、読めたところで意味も分からんけど。いや、そうじゃなくてだな
「縺九o縺?>蜷榊燕縺?縺九i莉墓婿縺ェ縺?h縺ュ」
もうルビとか関係なしに文字化けし始めたぞこのモブ。頭ん中点検しろ。
「縺昴s縺ェ繧ゅs莨代∩譎る俣縺ォ縺ァ繧ゅd繧」
あ~あ、教師まで文字化けしちゃったよ。国語の教師なのに日本語喋れなくなっちゃったよ。
「繧ィ繝ュ繧、繝?繧ィ繧、繝?し繧、繝?」
「繝代Φ繧ア繝シ繧ュ鬟溘∋縺溘>繝代Φ繧ア繝シ繧ュ鬟溘∋縺溘>」
「髮ェ縺檎カコ鮗励→隨代≧縺ョ縺ッ蜷帙′縺?>」
もう鬱陶しいから文字化けしながら喋るなモブ共。クラスがコンピューターウイルスに感染してしまっている。トロイの木馬あたりだな、はは~ん。
「ふふ~、みんな文字化けしちゃってるね。さてはこのクラスにトロイの木馬でも隠れてたのかな?」
先ほど違う箇所を読ませた前席のクソ野郎が、俺の方を見て言った。まさかのトロイの木馬被りをしていた。パクんな。
「お前は文字化けしていないようだな」
「そりゃあそうよ、私はA型だからね」
なんだその理論。血液型によって文字化けするしないが変わるのか。かくいう俺もA型だから、俺自身が文字化けしていないことが正当化される。わぁい。
「それもこれも、君が違う文章を読んじゃったからだね~」
いやお前が違う箇所教えてきたんやろがい。
「どうする、このままじゃ文化祭の出し物『文字化けお化け屋敷』になっちゃうよ?」
いや懸念点そこじゃねぇよ。文化祭以前に、クラスとして機能しねぇだろうが。
「まぁ別にいいだろ。なんか楽しそうだし」
「繧ェ繧、縺雁燕縲√&縺」縺輔→蟒贋ク九↓遶九◆繧薙°?」
おぉ~、現国教師が俺の方を睨みながらなんか怒鳴ってるよ。何て言ってるか一つたりとも理解できないけど。
「『オイお前、さっさと廊下に立たんか!』って言ってるよ」
前席のクソ野郎が俺に言う。ええい、この状況でもなお俺を廊下に立たせたいのか、昭和教師め。・・・ていうかなんだ
「なに、お前あの文字化けが読めるの?」
「うん。文字化けを逆変換するくらい余裕だよ」
なんだこの前席の人。毎日何を食べてたら文字化けを瞬時に翻訳できるようになるの、ええ?
「じゃあこれからは文字化けしてるやつの言葉、全部翻訳してくれ。前席のお前」
「なにを無責任なこと言ってるの、桐生くん。それに私の名前は前席のお前じゃなくて、『高飛車 孝子』だよ?」
文字化けが行き交う地獄のような状況を無視して、俺の隣のシーリン・ヘジテイト、もとい本名『松本 煌乙女』は1人教科書の音読を続ける。ダークヒロインを目指す彼女を横目に、俺は『文字化けを逆変換する能力』を持つ『前席の人』、もとい本名『高飛車 孝子』と出会った。いかにも偉そうな名前だ。