詩 二編
『流砂』
言葉の流砂がきんいろにちらちらこえて
ふるえる
積み木がこぼれて
あらう
ほら、ぼくは、まだ鼓動している
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『 』
格子状の雲が僕の目の前に迫ってくるとき
僕は思わず腕で目元を覆った
けれども、想像していた衝撃は僕を襲ったりせずに
僕は目を開ける
そこにあったのは、巨大な顔
阿修羅
彼は、六の腕を僕に向けると巨大な顔から涙をひとつこぼした
僕はなにもいうことも
口を開くとも
かなわずに
ただただ、その涙に見惚れた
格子状の雲はほどけるように
僕は、ただただそれを見ていた