英雄誕生
おめでとう!
君は勇者に選ばれたのだ!
何、心配することはない。
君にはこの国の頂点に立つ素質が既に備わっている。
あとは……
生き残る自信を持つだけだ。
俺の許にそんな手紙が届いた。
丁度読み終えると俺は自分の部屋ではなく全く見たことのない場所に立っていた。
「…ここどこ?」
まぁ当然の反応だ。
見渡してみると俺以外にも何人か人がいる。
この人たちも俺みたいにあの変な手紙を読んでここに連れてこられたのだろうか。
ひとりじゃないとほっとしたのも束の間、ざわつく空間を無視してどこからか声が聞こえてきた。
「主役は揃った!さぁ、ショーの始まりだ!!」
ファンファーレが鳴り響き、神々しい光が所々に空から差し込んでくる。
徐々に光が強くなり目を開けられない程光ったと思えばまた景色が変わった。
目の前に立つ大きな建物はまるで神殿のようだ。
「初めまして。諸君に会えることを心から嬉しく思うよ。」
先程の声の主らしき人物が建物から現れると同時に、周りがそいつにいろいろと言葉を投げかける。
「落ち着きなよ。ちゃんと一から説明してあげるから。僕はイザナキ。このゲームの主催者だ。どうして
君たちをこの異空間に呼んだのか。それは君たちに愚かな英雄の代理人になってもらいたいからなんだ。」
「代理人?」
そこにいる全員が声をそろえて言った。
「そう。勇者アーサー、賢者アルヴィス、司祭ヨハン、覇弓ウル、槍騎士ロンギヌス、聖王アイテール、魔王ルシファー。この7人の代理だ。」
さらに詳しく話を聞いてみると何だか大変なことに巻き込まれたことだけはよくわかった。
なんと紹介されたこの7人が喧嘩をしているらしい。
原因は勇者アーサーによるちょっとしたミスで、その事でもめたのが事の発端だ。
ミスの内容は俺たちに提示する必要性がないと教えてはくれなかった。
「7人は皆等しく存在していた…が、ウルがこう言ったんだ。『誰がこの7人を束ねるのに相応しいかはっきりさせよう』と。そこで諸君の出番という訳だ。彼らが剣を交える事はない。この世界の創造主が出来ないようにしているからね。だから諸君にはこれから7人の代わりに……
コロシアイをしてもらいます。」