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第四章 百年前の悲劇

それは今から百年前の出来事だった。

時実はあやという女に恋をしていた。


時実は好奇心旺盛なあやに誘われある夜絶対に入ってはいけないと言われている小屋へ忍び込んでしまう。


そこには占い師の使う水晶玉に御札が張り付けられたものが置かれていた。


あやが水晶の中を覗こうとしてその御札を剥がすと

水晶の中から大量の妖魔があふれ出し小屋を破壊して外へ逃げていった。

その時無数の黒い腕の妖魔があやを羽交い絞めにして連れ去っていった。


時実は必死になって後を追い、ようやく追いついた時にあやはすでに息絶えていた。


その後も多くの人々が妖魔に襲われいのちを奪われていった。


その後時実は自らの過ちの重大さに気づき、逃げ出した妖魔を封印することに生涯を捧げることになる。


それが神宮寺家の始まりだという。



「本当にすまないことをした」

「あの時わたしがあやを止めていたらこんなことにはならなかった」


「許せない。。」

みことは憤りを隠せない様子だった。


あやさんのことが好きだったんですね・・不謹慎かもしれないですが、僕には気持ちが分かります」

大切な人を妖魔に奪われた挙句その一生を妖魔退治に費やした時実の辛さを野口は悟っていた。


それを聞いた命もそれ以上時実を責めることは出来なくなったようだった。



野口と命はこの世に迷い込んだ妖魔を全滅させるため時実の力を借りることになった。


自らを本の中に封じ込めた時実は

妖魔を封印するときにのみ野口に憑依して現れることになった。


三人で力を合わせて妖魔を封印するため、まず命の予知で出現場所を特定し

”お見通しの目”を持つ野口が実体を見極め、

野口に乗り移った時実が御札で封印するという作戦を考えた。


野口の”人の頭上に”ともし火が見える能力は

妖魔が人に化けていてもともし火が見えなければそれが妖魔だと判別できるため非常に役立つ。


野口にとって3体目となる妖魔の出現もこれまた唐突に訪れることになった。


酒呑童子しゅてんどうじ・・・美少年の姿をした妖魔。女好きであり、クールな娘を襲うことが多い。



命がひとりで街を歩いていると今風のイケメンに声を掛けられた。

「君、かわいーねぇ!今時間ある?おにーさんと遊ばない?」


「・・・いいですよ。丁度退屈してたんです」

命はそう言ってスマートフォンの画面を一瞥する


「なになに?彼氏ィ?w」

とイケメンが画面を覗き込もうとすると


命は「違いますw」といって咄嗟にスマホをしまった。



イケメンが命に連れられてひとけの少ない路地裏まで来ると

そこには野口の姿があった。


イケメンは待ち伏せていた野口を一瞥し嘲笑うような顔で


「なになに?wこんなところでどんな遊びをしようってわけ?w」

と尋ねると


「妖怪退治さ、”酒呑童子”くん」

と野口は答えた。


「・・そんなことだろうと思ったぜ!!!!」


イケメンの姿をした妖魔”酒呑童子”は咄嗟に命を人質に取って


「この女がどうなってもいいのか?!w」

と叫んだ。

キリキリと命の首が絞められていく。


「っ・・・の・・ぐちさん・・・・・・」


「ああ。」


野口が本を構えると


キィイイイイイインという耳鳴りのような音が聞こえ


次の瞬間、野口が持っていた本から白い光が広がり


光が消えると同時に野口の姿は禰宜ねぎの格好をした時実に変わっていた。


「悪霊退散!!」


そういって時実が手のひらに貼った御札を酒呑童子の方に向けると


ゴォオオオオオオオオオオオオオオ


という物凄い騒音が沸き起こり酒呑童子はみるみるうちに御札の中に吸い込まれていった。



酒呑童子が近いうちに街に現れるというお告げをきいた命がそのことを野口に伝えたときから

命がおとりになって女好きの酒呑童子をおびき寄せることは決まっていた。


遠くから見張っていた野口が”お見通しの目”で命に声を掛けたイケメンが妖魔だと分かると

すぐさまスマホに連絡を入れて命に路地裏まで案内させた、という寸法だった。

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