犯人とペット
カルラ視点の続きです。 この視点の続きは多分暫くお休みです。
伏線回収になってるようでなってない回かも知れませんが楽しんでいってくださいね。
28話時点でお気に入り読者数66人有難うございます。
他の作家さんと比べるとやや不人気ですが気ままに頑張りますよ!
<カルラ視点>
フクロウはどこに……。
HPリンクの効果があるということは多分そう遠くない場所。
不安そうな表情を浮かべるチェンジを慰めながらも術者のことを考える。
……誰の仕業だ……?
強力な魔法使い。
私と同等かそれ以上か……。
同等クラスをあれこれ考えている時、私がこの村にいる理由と因果関係が有る一人の男が浮上した。
……
「やつか……くそっ……」
ドッと重くなる頭を右の手根でささえながらも意識を集中しダメ元で気配を探知する。
根暗で陰険、そして、エグい殺し方を好む最低な野郎。
といっても、エグい殺し方をしたことがない訳ではないので私もそいつのことを悪くは言えない。
「チェンジ……MPブーストを使ってから、さっきのディスペルの霧を使えるか?」
「ン……? 目的ハ?」
「……犯人を見つける、フクロウの転送場所を聞き出す」
「…… 分カッタ……」
そして、チェンジは、詠唱に入る、口は動くが声は発していない。
「ん……」
上昇マークの矢印がスーッと脳に入っていった、僅かだが体がじんわり温かくなるのを感じる。
どうやら私にもMPブーストをかけてくれたようだ。
それから、私達がいる半径3メートル程の距離を円形に避け、その外側にディスペルの霧が漂った。
「コ、コンナ感ジ……?」
指示されて魔法を使うことに緊張しているのかチェンジは少し自信が無いようだった。
「嗚呼……上出来だ」
そして、私は眼力を入れて辺りを見渡す。
恐らく術者が使っているであろうステルスの魔法が
ディスペルの霧により一瞬歪んだところを目視するためだ。
私は、右手を背中の後ろに隠しながら辺りを見渡す。
その間に右手に魔力を込め、影縫の短剣を生成する。
そして、一瞬だけステルスの魔法が緩んで装備の一部が見えた。
だが見えたのは一瞬だけだった。
後は相手の動きを予想する。
「チェンジ、魔力を込めて解き放つ感覚は分かるか?」
「ェ……?待ッテ」
……
「……」
「……」
数秒無言の間に一本目の影縫の短剣が生成される。
それをうまく親指を使い、人差し指と中指の股に挟み、二本目を生成する。
「ソレハ……でぃすぺるヲデスカ……?」
「んっ……? 嗚呼そうだ、後は私がなんとか拘束する」
もしかして、自動翻訳が状況を理解しチェンジに教えてるのだろうか?
「……フムフム……分カッタ……」
チェンジが理解する頃には、二本目の生成が終わり、それを中指と薬指の股に挟み三本目を生成する。
一本目の大きさが15cm程で二本目とこれから作る三本目は一回り少し小さく約10cmぐらいだ。
MPブーストのおかげか二本目、三本目の生成が早かった。
勿論、生成スピードが早い分少し余分にMPを使っているが私には問題ない。
ナイフを投げる順番は、三本目、二本目、そして本命の一本目だ。
準備ができてから、浅く息を整え、更に私は集中した。
「解放っ!」
「……っ……ェイッ!!」
今度は、術者装備の一部ではなく、体の半分近くが一瞬見えた。
「見えたっ!!」
私は、三本目のナイフを、術者の少し前に投げつけ、すかさず二本目を術者の後方に投げつけた。
恐らく術者は蹌踉めきながらも、二本目を交わそうとする。
そこで、動きの予想がついた所で止めの三本目を術者の影向けて投げるのだ。
そして、一本目と二本目を交わして体制が恐らくよろめいたであろうその時、三本目を投げようとした時だった。
「ァッ!!……」
「えっ!?……」
集中していたが予期せぬタイミングのチェンジの声で手元が狂って反射的にチェンジを見てしまった。
しかし、その時だった。
チェンジは手を合わせ何かを念じていた。
「ンンッ……!」
念じた何かは、透明なモヤとなり、私の投げた三本目のナイフに当たると、速度と大きさを少し肥大化させ補正がかかったかのように、私が狙おうとした位置の近くの地面にブスリッとささった。
「まさかホーミング……?」
確かに魔空間道場でフクロウがかかったバフスキルによって、チェンジはMPブーストとホーミングが使えるようだった。
ただ、投擲武器に自信がある私は自分の力で当てようとしていた。
確かに、ホーミングスキルがあれば精密になるので安全策だったかもしれない。
とはいえ本来の状態でも外さなかったとは思うが……。
「エヘヘッ……」
少し照れ笑いをするチェンジ、咄嗟の声を出したのは戦闘経験が少ないから仕方がないことだろうし
役に立てたかとほんの少し期待の表情でこちらを見るチェンジは可愛かった。
「姿を表わせ、ジーク! そして、転送場所を吐け」
その言葉を発して一秒も経たないうちに、ジークは呪文を解き姿を表した。
「はいはい……どうせカルラさんには勝てないですからね、降参しますよ」
影縫の短剣は、ジークの影をしっかり捉えていた。
男なのに長い白髪で、お世辞にも普通の目とは言えないような、悪どい目つき
漆黒の黒く浅いトンガリ帽子に漆黒ローブ、因みに裏地は紫、安そうに見えるが、これでもS級装備で錬金効果がついているはずだ。
ジークはこの根暗な格好が好きらしい。その割に一日の大半をステルスで過ごしているが。
それから、影縫の短剣が刺さった場所に行き、白旗をあげるジークを一瞥してから影縫の短剣を引き抜いた。
「ところでその魔獣は何? 新しいペット? どこの闇市で買える?」
そして、短剣の柄をギュッと握ると、短剣はガラスみたいに砕けて青白いモヤとなり、それらは吸い込まれるように手にスーッと溶けていった。
影縫の短剣は、魔力により武器を作る呪文の一つである。
魔力で出来た武器が用済みになった場合こうすることにより、消費した魔力の一部が戻ってくるのである。
ジークは不意打ちをするような意地汚いやつだが、観念してからは逃げないだろう。
とはいえ、『転送場所を吐け』の質問を質問で返すような馬鹿にはお仕置きしないといけない。
ジークから二メートル程離れてから、頭のなかの考えをチェンジに伝える。
「チェンジ、拷問する、これはフクロウの居場所を聞くために必要なことだ」
「……拷問……ワカッタッ!」
そして、私が何かいい手順がないか考えようとした時だった。
……バチバチバチバチバチッ
「ん?」
「へっ?」
ふとジークの周り一メートルちょっとの範囲に六〇センチほど浮いた輪があり、いかにも強力な電気を帯びていてバチバチしていた。
「待て待て待て待て、話す! 話すから!」
「……」
「ンフフン~♪……」
いったいチェンジは何をしようとしているのだろう。
……バチバチバチッ……
よく見るとチェンジの広げた腕と腕の空間に細く小さいが似たような輪があるのが見えた。
チェンジがその輪の端を摘むと、ジークを包囲した輪も動いた。
「ぇ……ぃぁ……洒落なんないから、やめてくれ、カルラもなんか言ってくれ!」
「……」
その言葉を無視してチェンジの行動を眺める。
やがて、端を抓まれた輪っかは、ジークに触れようとゆらりゆらりと向かっていっていた。
「カルラァーー、助けろ、カルラ様! お願いします!!」
「……」
ジークの言葉を無視して、チェンジの操る輪とジークを包囲する輪を何度も視線で往復する。
そしてぎゅっと抓まれた輪の先っちょがジークに当たる。
バチッ!!
「イッヅッ、ンァアアアッ!!……」
情けない声を出すジーク、思わずスッとする。
結構なダメージなのだろう。
普段の戦闘でのダメージと、恐怖を与えられた上で喰らうダメージの痛さは違う。
「ンフフン~フン♪」
チェンジはノリノリの様だ。 相当痛いようだがお灸を添えておいて損はないだろう。
そして、チェンジは、抓んだ輪の先でちょん、ちょんと宙突いた。
当然、ほんの少しの時差があり、それはジークを包囲する輪と連動する。
バチッ!
「ンヒャァアアッ」
バチッ!
「イギャアアアアアアアアッッ!!」
「人間ハ色ンナ声デ鳴ケルンダナ……凄イ!……」
バチッ!
「ウギュッ………勘弁して……嘘も言わないから」
「ンフフン~♪」
「嘘?……」
そうか、居場所を聞いても嘘をつくつもりだったのか、まぁ……嘘をつかないよう念押しをするつもりではあったが
「ぁ……ぃぁ……その……」
「かるらモヤッテ見ル?」
チェンジからの思わぬ提案、少し憎みの感情が生まれたのをチェンジは察したのだろうか?
「私に出来るのか?」
「ウン……チョットびりびりスルケド、平気ダヨネ?」
それからチェンジからゆっくりと輪を渡され手に受けた。
「ンヒャッ!!……」
予想していたより強い刺激に思わず声が漏れた。
「かるらサンモイイ声デ鳴クンダネ……」
チェンジが冗談交じりの顔でニヤニヤしている。
少し恥ずかしかったが、今私は最高の玩具を手にしている。
色々と邪魔をするジークを自由にいたぶれる玩具
「いや、ちょっと……カルラさん……本当やめ……やめ……ンギャアアアアアアアアアッ!!」
……
……
結局少し遊んで、居場所と動機吐かせて、無事合流出来るまでの間、A級アクセサリーの
紐とS級アクセサリーの中封印の首輪を付け、その手綱をチェンジに任せた。
「かるら、ぺっとアリガトウ!」
「嗚呼、大事に扱えよ」
「ぇ……ちょっと……」
それから、首輪と手綱以外がステルス状態のジークを風船の紐を持つ子供みたいな様子のチェンジと一緒に、ジークの告げた町に行くプランを練るために借家に一度戻った。
しかし、ジークの告げた場所は予想よりも遠かった。
HPリンクの効果があるのが不思議だが、魔法に詳しいジークによると
神獣の力と強靭なステータス、また前世での絆が関係しているので恐らく、この星の裏側にいても切れることはないのだろうと答えてくれた。
結果的に、私じゃなくチェンジとHPリンクしていて良かったのは怪我の功名だろうか?
なんてたってまだフクロウとの絆は浅い、フクロウのことはユージへの面影があり大好きではあるが……。
読み返していると誤字脱字が酷い……
HPリンクをHPリングって書いてる箇所がいくつかあったり……。
時間みて編集しますが、第一目標は、どんどん続きを書くことです。
何かございましたら お便りいただけたら幸いです。




