始まりと戦闘?と
序章が完成する前に執筆したのと、読み返しが不十分で少し読みづらい箇所があるかもしれません、時間を作って編集したいと思います。
読む分には差し支えないと思うのでどうぞお楽しみいただけましたら幸いです。
目が覚めると僕は、六畳程の狭い木の小屋にいて、みすぼらしい服装をしていた。
見たことない、布の服と短パンを履いているのだが
ファッションセンスがない自分にもわかる、
凄くダサい服装だ。
というか、僕はさっき死んだはずじゃ……。
そう思った時、ふと短くも長い走馬灯を見せられていたのを思い出した。
夢よりははっきりした記憶なのだが、でもにわかに受け入れがたい一時だった。
そんな中、久々に考えた僕の大事な存在、再びそのことで頭がいっぱいになると同時に
「チェンジ……」
最愛のペットの名前を呼んだ。
会えるなら会ってもう一度一緒に過ごしたい。
じんわりと目元が暖かくなるが、涙まではでなかった。
とりあえず落ち着こう、僕は、目を閉じて瞑想した。
……。
……。
10秒ほど目を閉じ、2回の深呼吸をする。
その時、目の前で何かが光った様な気がした。
しかし、瞑想のためそれに意識をそらすことはなかった。
短期集中と気持ちの切り替えはは、僕の得意分野でもある。
ゆっくりと目を開ける
よし、行くか。
起き上がると同時に、ふと手に木の枝を持っていることに気づく。
なんだこれ?……。なぜ木の枝?
ここが異世界っぽそうなのは、さっきの迷走の時受け入れた。
しかし、改めて冷静に考えると巷で有名だった、死ぬかひょんなキッカケで異世界に転生する小説が
実体験としてその物語の人物の一人になった現状を確認すると、興奮と戸惑いでなんとも言えない気持ちになった。
なんとなく手足を確認する、二十代前後ぐらいの肌になっている気がする。
そして、やはり手に持っていた木の枝が気になってしょうがない。
多分、なんらかの武器だと思うのだが……。
木の枝が初期武器とか、そこそこ人気だったオンラインゲームメイプルストーリーの竜使いかよ!
……なんなんだろうな と 無意識に目を凝らした時だった。
ウィンッ…‥カパッ……シュンッ……
みたいな音と同時に虫眼鏡のアイコンが隅についたふちの中が透明のウインドウが木の枝を拡大していた。
ウインドウの中がまるで虫眼鏡のレンズの様であったが、少し表示が違った。
しかし、本来の虫眼鏡であれば それを部分拡大するだけなのだが。
虫眼鏡アイコンのすぐ傍に、四角い半透明のウインドウがあり左側にアイテムの縮図と文字が書いてあった。
『武器 種類 スティック 木の枝 攻撃力+2 スキル てなづけ』
「お……?」
妙にテンションが上がる、本気で異世界に来たんだろうと察っせた。
攻撃力+2は置いといて、スキル『てなづけ』とはなんだろう?
『てなづけ』が気になり無意識に、マウスを操作するみたいに左手を動かすイメージをすると突如小さい矢印のカーソルが現れた。
矢印のカーソルは、左斜め上を向いていて、白色だった。
それを『てなづけ』の所に合わせてみた。
すると新たなウインドウが表示された。どうやらlv1~lv3まであるみたいだった。
てなづけ (手懐け)
効果
lv1 『モンスターの警戒心を下げる。』
なるほど、確かに、剣とかを持っているよりかは物騒ではない。
そして、その下に更に赤い文字で効果が書いてあった。
lv2『……?』 熟練度不足のため開放されていません
lv3『……?』 装備者レベル不足のため開放されていません
熟練度にレベル?……。
いかにも異世界っぽい、ワクワクした興奮で涎が口端から垂れた。
何度も夢見た異世界での冒険、テレビゲームや携帯ゲーム、パソコンでのオンラインゲームをしても
その後に来るのは、どうしようもない虚しさだった。
時間を浪費した感覚 それは気持ちを憂鬱にさせる他なかった。
でも今こうして目の前に異世界にいるのだ、 夢じゃないかと思うが感覚的にこれが現実だというのがわかる。
そういえば、自分の職業は何になるんだろう。……。
声の主は、10Levelまでに決まると言っていた。
魔法使いだろうか?戦士だろうか?それとも、盗賊?銃や弓を使ったりとか?
想像するとワクワクするのだが、それと同時に嫌な気分になった。
というのも目の前のモンスターをスキルや武器で殺さないといけない世界だと思うと
自分にそれができるか本当に不安だ。
肉は好きだが、動物を捌いたりして殺したことはない。
魔物との戦闘はきっとそれに近いものなのだろう……。
目を凝らして自分の両手の甲を見た。
無意識に『E』キーを押す動作をしてしまった。
すると再びウインドウが表示された。
一瞬だけビクッとしたが、すぐにマジマジとウインドウを眺める僕が居た。
ウインドウの左側には、全身をイメージしたそっけない肌色人間での縮図と
様々な箇所に□があり、その□に矢印が伸びていた。
装備一覧だろうな と ネットゲームのウインドウが連想すると同時に
胸部と腰の当たりの□にはそれぞれ、着ているものの縮図が書いてあった。
そして、少し離れたところに、木の枝の縮図が入った□もあった。
装備分類は、頭 手袋 武器1 武器2 服 ズボン 靴 と少しシンプルだった。
もう少しバリエーションないのだろうか、ネックレスと指輪と顔飾りとイヤリングとか。
とま、ないものねだりをしてもしょうがない、右側のウインドウに目をやった。
名前 フクロウ
種族 人間
年齢18
性別 男
職業 ????
とあった。
職業の下には、何かスキル一覧でも表示されるのだろうか? 今は空の□が整列して無数にあるだけだった。
????は 相変わらず 赤黒い ちょっと落ち着けない感じの文字だった。
他にも色々調べようとしたが、うまく開けなかったり 赤黒い文字で LOCKE!! と書かれていた。
そして、ボクは、木の枝を片手に立ち上がり、小屋の出入口の戸へ手を伸ばした。
どんな世界なんだろう。
ボクは、『Sキー』を押すイメージをした。
『名前 フクロウ lv. 1
職業 ?????
HP 140/140 MP 70/70
STR 9 DEX 9
INT 9 LUK 8 』
よくわからないけどきっとゲームみたいな日々が始まるのだろう。
小屋の外は、原っぱの上だった。
小屋から完全に体が出ると、下の方から、透明になるかのように消えていった。
触れようと手を伸ばしたが、空を掴むだけだった。
目の前に広がる光景は、壮大な自然だった。
ここはどうやら山の一部のようだが、やや遠方を眺めると賑やかな街があった。
城壁もついている、数年前にやったPS4の様な本物のような街並み以上にリアルな物がそこにはあった。
「うぉーーーーーっ!! 夢? 夢じゃないよな?」
辺りをキョロキョロ見渡し、足踏みもする。
ついでにおもいっきり走ってみる。
何故か夢の中だと、追いかけられて懸命に逃げようとするのだが水中のように鈍い歩みになった経験が何度もあったからだ。
当然ながら今回は、夢ではないようだ。
足踏みすると足に伝わる衝撃が体に伝わり、
駆けると全速力で走れるし、息が上がる。
「……はぁ……はぁ……うぉー、マジで?」
逸る気持ちを抑えようとふと冷静な思考が頭をよぎる。
ここがまぎれもなくファンタジー異世界だとしたら、一度死んだら終わりかもしれない。
以前とあるサイトで読んだ物語はまさにそんな内容で
どうにかこうにか、知恵を絞り死なずに冒険をしていた。
その小説を読みながらボクは異世界に浸っていた。
しかし、それはあくまで空想、今こうして現実に異世界にいるのだ。
不思議と今は死ぬのが怖くない、一度死んだからだろうか。
前世に特に未練はない。 親にはそれなりに纏まった金を残しているし
ボクのことを一番の友達だと思っているような本気で泣いてくる輩は居ない……。多分。
……多分と思ったのは、思いの外未練がないことに寂しく感じたのだ。
シュレッティンガーのネコのように観測するまでそれは分からないことなのだ。
※箱の中に猫を閉じ込めて放置する。 観測するまで 生きている解釈と死んでいる解釈両方が存在する。
1週間後には流石に死んでいるかもしれないが、1日目ではまだ生きている可能性もあるだろう。
しかし、パニックを起こして死んでしまった可能性も否めないだろう。
多分そんな感じだった気がする。
だから、ボクが死んで悲しんでいる友人もいるかもしれない……とだけ思っておこう。
そんな、センチメンタルな気分に浸っていたのもつかの間
5メートル先を何かが横切っていった
その何かは、草を踏む音はならしていたが、さながら
『ポヨン ポヨン』
とボールが弾むような音を立てているようにも思えた。
見慣れぬ光景に目が勝手に音を解釈したのだ。
その物体は恐らくスライム、透き通った緑色の中に、濃い黄色の核の様なものがある。
それが目なのか核なのかは分からないが、そんな幻想的で光を僅かながらも眩く反射させるスライムにボクは目を奪われた。
そして、気がつけば、木の枝を放り投げ追いかけていた。
スキル付きの武器だというのに、まるで『木の枝』のことなど最初から存在しなかったかのように
興奮して手ぶらで駆けていた。
「うぉーっ、すごい、まてまてーっ」
大きな声を出して追いかけるのだから当然スライムのようなものは、声に気づくと一瞬だけ立ち止まり、
先ほどの数倍の早さで駆けていった。 流石にボクの足では無理だった。
仕方なく、きた道を戻っていると右手に違和感を感じた。
痺れた感覚とは少し違うが、ドクンドクンと脈を打っているように感じた。
手に心臓があるような変な感覚だった。
そして、さっきまで持っていた、スキル付きなのだからきっと特別だと思われる、『木の枝』のことを思い出した。
原っぱのほぼ真ん中に、その『木の枝』はあった。
「何、支給武器捨ててるんだろう、バチがあたるよ、もー……あはは……」
自分で自分に呆れつつも木の枝を無事回収した。
改めて木の枝を見てみる、長さは、柄の部分を含めて全体で30cm程、柄の部分の少し先から二叉に分かれていて、
さらに、二叉に分かれているごくごくありふれた木の枝に見えた。
そんな時だった。
今度は、先ほどより一回り大きい、さっきと似たほぼ透明な緑で黄色い核?のあるスライムがゆっくりとボクの前を通ろうとしていた。
どうせダメだろうな……。
そう思いつつスライムをゆっくりと追う。
地面には、小さい草が生い茂っているので、どう歩いても音は立つ。
今すぐにでも逃げ出すような気がしたのだが、あたかもボクの存在に気づいてないかのように
ゆっくりと徘徊していた。
ふと、『木の枝』のスキル『警戒心DAWN』が影響しているのではないかと思った。
そして、忍び足で近づき手を伸ばすとスライムに触れることに成功したのだ。
『ンッ!』
スライムは驚いたような声を漏らした、予想はしていたが、なれない感覚にボクは戸惑ったが、反射的に飛びついてスライムを胸元へ収めた。
スライムは不思議な感触だった、ぶにぶにしているというか、ぷにぷにしているというか、更には、水風船みたいに弱々しいようなきもしたのだが、傷つけない限りは大丈夫そうだった。
まるで、理科の授業で習う細胞をだっこサイズにして、本物の細胞の何倍も丈夫であろう細胞膜を堂々と触っているような感触のような気がした。
水風船みたいだけど割れないし、そして、ゼリーみたいだけど、ぐちゃってならない……。
このモンスターを倒さないといけないのだろうか?
そう思いつつも感触を楽しむ。
ジタバタもがくスライムが少し愛らしく思えた。
満喫させてもらったし、この子は見逃そう、大人の心で、というより木の枝で殴ったら木の枝折れちゃわないかな?
手や足、後は、石や何かを使って倒すほうが懸命だろうか?
今のところこの木の枝は、使える気がする。
例えば、水銀の塊バージョンのようなこのスライムがいたとして
それは、恐らく素早くて、硬くて、大量の経験値を持っていて ってなことがあるかもしれない。
そんな時は、背後から近づくためにこの木の枝が必須になるかもしれない。
次第にスライムが、怒っているような怯えている様な様子になる。
「ご、ごめんね、今逃がすからね」
そう言った直後だった、腕の拘束を解かれこれみよがしにスライムがボクの顎に突進をした。
「ぐっ……」
敵がどんなに弱そうなスライムでも、今のボクは、レベル1なのだからダメージが有るだろう、RPG風に1~3のダメージを受けた! みたいな痛みを覚悟したのだがそうでもなかった。
そして、スライムはそのまま逃走する、顎には、なんともいえない余韻が残っていた。
水風船を顎に当てて割れなかったらあんな感じだろうか?
生憎そんなことを試してないのでなんとも言えないがにしても……。
ちょっと気持ちよかった。
そして、ふと思ってしまう。
あのスライム……アレの素材にしたら気持ちいいんじゃないだろうか?
アレが何かって? そんなのアレに決まってるじゃないか。
特に性感帯でもない顎にして気持ちよかったのだから間違いはないだろう。
とまずは、レベルアップだろうか?それとも何かの職業になれるようにリサーチだろうか?
ふと思ったことを『S』キーを念じる。
すると目の前にウインドウが表示された。
『名前 フクロウ lv. 1 3/15 (20%)
職業 ?????
HP 140/140 MP 70/70
STR 9 DEX 9
INT 9 LUK 8 』
レベルの横に経験値の表示が追加されていた。
……?あれ経験値になっている?
スライムを、もふもふ、もといもにゅもにゅ?していただけなのに?
それとも、さっき走ったから?
ふと、この世界のイメージが湧いた。
もしかして、行動で経験値を得られるタイプだろうか?
タクティックス系ゲームだと敵倒すと経験値を貰えるのは当然だが、傷つける、回復する、アイテムを使うだけでも経験値が僅かに貰える。
そういえば、本を読んでもステータス付加されると言っていた。
いづれにせよ色々調査が必要かもしれない。
目の前に出ていたステータスウインドウを閉じようと思っていた訳ではないのだが
視線を逸らして当たりを見回そうとするとステータスウインドウは消えた。
なんとかしてレベルがあげられると良いなぁ……。
強くはなりたいが、非道なことはしたくない。
先ほどのスライムですら意思があるように思えた。
となると、小人系魔物ゴブリンや、犬獣人のコボルトなどもっと鮮明な意思や自我をもっているかもしれない。
何はともあれ、この世界の歩き方を理解できるかの不安が沸きつつもボクは、とりあえず村へ向かおう。
ふと、足に痒みを感じ、屈んで、足を掻こうとしたその時だった。
少しキラキラしている何かがすぐ近くに落ちていた。
その物体は先程のスライムの色と似ていた。
大きさが違うため光の反射量が異なり、目視した姿の色と違うが恐らくさっき逃げていったスライムのものだろう。
それを拾い、右手に木の枝、左手にスライムの欠片?を装備し手で揉んで遊んでいるとあっという間に街についた。
梱包材のぷちぷちつぶしに一時期はまっていたとは言え、もにゅもにゅ?にまでハマってしまうとは……。
不思議なことに、あれほどもんだというのに、スライムの欠片?のようなものは殆ど劣化していなかった。
ふと某RPGで馬の糞を握りつぶす という行動を思い出し笑ってしまった。
強く握りつぶしたことにより、糞(運)が付き、カジノで当たりやすくなるという迷信がある。
って、そうじゃない、そんなことよりも大事なのはこれからボクの冒険はどうなるのだろう?
まずは、スキル面についてや、武器に耐久度はあるのか、死んだらどうなるかなど色々調べていこうと思う。
予想をする限りではやはり死んだら教会ではなくこの世界での終わりだとは思う。
ゲームっぽいけどゲームではない人生が今始まったのだ。
最後まで読んでいただきありがとうございます、
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