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異世界に転生したので優者になって理想郷を作る!  作者: 自由なお仕事
Act1.異世界生活はじまりました
17/58

ぼっち人生と彼女と

序章に引き続き訳の分からない過去回送の話になってしまいました。


……


 小学校4年生ぐらいのことだ。


 とある、真面目で喋り方が面白い子が居た。


 うんちの事を大便と言い、授業中だと、『先生っ!大便を催したので、トイレに行っても宜しいでしょうか?』と言う子だったらしい他にも、少し大人びた言葉を使っていた子だった。


 僕はその人と帰るのが、それなりに好きだったのだが


 その人は僕と帰るのが嫌だったらしい。


 クラスが一緒になったことはなかったので、たまたま帰宅時間が一緒だった時、駆け寄って残り数百メートルの下校道を話をして帰るのだ。


 それから、暫くして転校していったのだが、一回か二回遊びに来たことがある一時期親しかった友だちの話に耳が立った。


「転校した浜田いるじゃん?」


「う、うん」


「あいつ、内山の事嫌いだったんだってよ、いや苦手と言ったほうが良いかな?」


「へー、そうなんだ……どういうとこが?」


「んー、色々あったような気がするけど、馴れ馴れしかったり空気読まなかったりだってさ」


「あーうん、内山変に元気だもんなぁー、色々浮足立ってるの気づいてないよな」


「だなぁー、ははっ」


「……」


 そっか……嫌いだったのか、僕の話に笑ったり反応してくれていたのは社交辞令だったのか……。


 僕は人一倍社交辞令が分からない人間だった。


 小学校の低学年の時までは、誰とでも仲良く出来る、元気で明るい子。


 という風に言われていたのだが…… 気がつけば、中学校の上学年になるまでに


 ジワリジワリと友達と呼べる存在は居なくなっていた。


 音楽のとある教科書を無断で長期間借りられていたこともあったが


 別に悪気はないんだろうと平和ボケした思考だった。


 今思えば、ちょろいからとかで無断で借りられていたんだろうか?


 ……


 それからも、友達だと思っていた人から裏切られたり、疎遠になったり


 いろんな事があった。


 人にやられて嬉しい事をやってあげても、実らなかったり逆効果だったりというのは日常茶飯事だった。


 時々、孤独に打ちひしがられることもあった。


 なんで、普通の人のように友達が居ないのだろうと


 ただ、不幸中の幸いだったのは、全校生徒二〇〇人と大した人数の学校ではなかったので


 目立ったイジメとかはなかったし、されたりもしなかった。


 また、インターネットで十数年の間に趣味の友達との出会い別れが百人以上あったのだが


 それだけ出会いと別れがあっても、大親友は一人もできなかった。


 ずれた感性で苦労はしたものの、それなりに幸せな人生だったのかもしれない。

 

 母親とペットと自分の生活は結構居心地が良かった。


 ペットが人の言葉を話せたら、友達なんていらないかな?とかって思ったりもしたが


 当然叶うこともなく、ネットで知り合った人との一時のチャットや通話は楽しかった。


 しかし、楽しければ楽しいほど、メールをしても返事が来ない、ないがしろにされる。


 という行為はズシンと心に重くのしかかった。


 中学校からの腐れ縁の友達は居たが、本当良くわからない関係だった。


 趣味話も半分ぐらいしかあわないから、なんとも言えないが、大事な友達の一人だったのかもしれない。


 異世界でもそういう一時の関係にならないかが少し怖かった。


 


……


……


「……はぁ……」


 嫌な夢を見た、なんで生きているんだろう、なんで打ち解けられないんだろう。


 ため息を漏らして、起き上がると、隣で丸まっていた白と灰色の兎こと、チェンジが目を覚ます。


 そして、前足を伸ばして、大きな欠伸をする。


 ブサイクなげっ歯類の歯が見えるが、顔全体でみるとそれは物凄く愛らしい姿だった。


「……プゥ……プゥ」


「うん、おはよう」


 寝起き早々、プゥプゥと喉を鳴らし、撫でろと要求するチェンジ。


 僕が優しく頭を撫でると嬉しそうに目を閉じていつまでもいつまでも行為を受け続けた。


 そして、玄関の戸を開け外に出してあげると、顔をふりふり、尻尾をふりふり、一目散に遊びに行くのだ。


 朝ごはんを用意して、庭を走っているかに思われるチェンジを呼びに行く。


「ご飯だよー チェンジおい……」


「チェンジおいで」という言葉を僕は最後まで言えなかった。


 そこには、庭の真ん中でぐったり横たわり、血のついたチェンジが、口元をチェンジの血で汚したネコに食べられていたのだ。


…………。


「うわあああああああああっ、うわああああああああああああああっっ!!!」


 僕は視界に入った傘を持って、ネコに襲いかかった。


 ネコは驚いて逃げ出し、庭には、チェンジの亡骸だけが残った。


 抱き寄せて、泣く僕の腕の中で


 チェンジは徐々に、体温を失い、やがて硬くなっていった。


「うぐっ……うぐっ……うわああああああっ!!」


…………


………


 そんな叫んでいる僕を誰かが揺すった。


 とたん腕に抱かれていたチェンジも、当たりの背景もなくなった。


「ふ、フクロウ?だ、大丈夫?」


 起こしてくれたのはカルラちゃんだった。


「うっ……ゆ、夢か……んぐっ……グスッ……」


 シングルのベッドで2人で寝たので、寝苦しい姿勢のせいで悪夢を見たと思う。


「はぁ……」


 疾走したチェンジの行方や最後は分からない、しかし、あんなふうに食べられた可能性が高い。


 そう思うだけで最低な飼い主だったと痛感する。


「だ、大丈夫? どんな夢見てたの?」


 カルラちゃんに夢の内容を尋ねられ、チェンジというペットが居たこととそのペットが無残な最後を迎えていたということを伝えていると


 涙がこみ上げてきた。


「ごめん……ごめんね、チェンジ……守ってあげれなくて……」


「フクロウが気にすることじゃないよ、きっと幸せに旅立てたよ、好きなことして死んじゃったんだしさ……」


「……ありがとう」


 カルラちゃんの言葉は暖かく僕を優しく包み込むようだった。


 それから、カルラちゃんが優しく抱きしめてくれた。


 十分ぐらい、ただ、互いの体温を感じ、落ち着いてから互いのしょうもない話をした。


 互いの傷をえぐらない様な話題で


 長い夢を見ていたのに時間はあまり過ぎていないようだった。


 ただ、籠にはいっていたホットタオルと洗濯物は籠ごと回収されていた。


 ……一緒に寝ていたのを見られただろうか? 


 やっちゃった感はあるのだが、カルラちゃんといる安息感が『まっいっか』と思わせてくれた。


 それから、カルラさんは、早朝から夕方までこの村を離れることと、もしものためということで銀貨を五枚預かった。


 受け取るのをためらっていると、銀貨の十倍の価値がある金貨を沢山あるから大丈夫、と笑ってくれた。


 ただ、銀貨をあげるから、無理にクエストをしないで欲しい、とお願いされた。


 ……


 親以外に真剣に心配されるこの安息感。


 誰に嫌われてもカルラちゃんだけそばに居てくれたら僕は生きていけそうな気がした。


 もちろん、何かがあって破局するかもしれないが、暫くその心配は無いだろうし、全力で思いやりたいと思っている。


 僕の初めての彼女だから……。


それから、串焼きをカルラさんの魔法であっためてもらい、一緒に3本ずつ食べ、悪夢を見ないようにとの計らいで


 (ダブル)ベッドのある部屋に変えてもらった。


 Wベッドだから手をつないでゆとりを持って眠れた。


 チェンジは天国で幸せに過ごしているだろうか……?

最後まで呼んでいただきありがとうございました、しんみりさせた気持ちにしていたら申し訳ありません。

次回はいよいよ……。

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