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異世界に転生したので優者になって理想郷を作る!  作者: 自由なお仕事
Act1.異世界生活はじまりました
13/58

かさなる影と思い出と

タイトルは仮です、今回は、みんな大好きカルラさんの話。

ハーレム&チートタグをつけたせいか昨日の更新で4ブックマークもされました。

これからも宜しくお願いします。 そして、連載を始める方や連載を同じように頑張っている方、お互い頑張りましょうです!

 光源の魔法を片手に私は、洞窟の奥の泉へむかっていた。


 ゆっくりと歩くこと5分


 澄んだ空気に、なんとも言えない閉鎖感。


「ふぅ……」


 久しぶりに来た、洞窟の奥、泉の水を飲んでから一息つく。


 辺りを照らす光源の魔法を消せば真っ暗なのだが、いつからか私は、真っ暗が落ち着くようになっていた。


 フクロウとか言う、ふざけた名前の転生者、どこか気に食わない。


 昨日は、危うく殺しかけた。


 慰謝料がてらの銀貨を生意気な態度で渡したのだが


 フクロウは素直に喜んでいた。


 銀貨を指で弾いてフクロウに渡す。


『ぁぃて……』


 やっぱり反応がムカつく、素直に謝ろうという気になれない。


『あたしからの餞別、強くなったらまた蹴ってあげる!』


 嫌味たっぷりで言った、予想される反応は二通り、しぶしぶ受け取るか、いるか!と投げ返される。


 どちらもどちらでムカつくのだが、フクロウの反応は予想を超えていた。


『ありがとう、お手合わせできるほど強くはなれないかもだけど、強くなります!』


 ……


 その反応に、私は、目元が熱くなるのを感じ、必死に抑えた。


 その返事は、最初にあいつから……ユージから貰った反応と一緒だったのだ。




 ユージが殺される3年ほど前だったと思う。


 採取クエストで私は、森のなかを歩いていた。


 人気がなく獣の気配しか感じなかった。


 その時だった。


ガサッ! ガサガサッ!


 物音がしたので、間を入れず、持ってた杖の水晶に祈りを込めながら


 火球を放った。


ジュゥッ


 と音がして確かな手応えを感じ、ガッツポーズをしようとした時だった。


「熱っ!!…… 魔法は人に向けて打っちゃダメだよ!」


「……っち……手加減しすぎた……もっと念じてから打てばよかった……」


 そもそも、声も出さず近づいてくるのがいけないのだ、魔物と間違えるが筋ってもんだ。

 

「えっ?」


「へっ?」 


 返事をして気づいた、ステルスの魔法の初級を唱えていたんだった。


 相手が私より格下だと、私が、物音を立てるか、相手の視界に入らない限り相手は私の存在に気づかないんだった。


 私よりも弱そうだし


 とりあえず、私にも悪い点があったので、一応謝っておくことにした。


「まぁ……ごめんね、えーと……」


 私は、初級のヒーリングのじゅもんを唱えてからその場を後にしようとした。


「じゃ、これでいいよね」


「あ、ありがとう! 君名前は? 僕はユージ、ユージ・フルトなんだけど」


「……カ……」


 カルラと普通に名乗りそうになった。


「カ?」


「カシス、カシス・オレンジよ」


 ふと


「そ、そうなんだ、宜しくね、カシスさん」


…… いやいやいや、疑おうよ! 適当に名前っぽいフルーツを言ったのに


 まぁ、でもカシスちゃんとかオレンジちゃんとか ちょっと可愛いかもしれない。


 とりあえず馬鹿っぽそうなのでこれ以上関わらないほうがいい気がした。


 それでも、ユージは、ついてきた。


 やたら人なつっこく話す、暫く無視していたら、話しかけてこなくなったので


 ユージの表情を伺うと、今にも泣きそうになっていた。


 そして、私は、ユージのことをちょっとだけ可愛いかなと思ってしまった。


 それから、一緒に採取クエストをして、ギルドに戻って報告をする。


 クエストの報酬は、私が銀貨3枚でユージが銀貨1枚だった。


 そして、ギルドを後にして、解散、もう会うことはないかなに思えた時だった。


「やったやった、カシスさん、カシスさん」


 上機嫌に誰かの名前を呼ぶ、しかし、『カシス』っぽそうな名前の人はいなかった。


 もしかして意中の相手だろうか? そして、きっとその人に関係ある独り言を言おうとしているのだろう。


 痛い人だな……。


 もう関わるのはよそう、そう思った時だった。


「ねぇ、聞いてる? カシスさん」


 あれ? どうやらカシスさんは傍にいるらしい、妖精の使い魔でも持っているのだろうか?


 ……あ……。


「……あ? うん? 何?」


 そうだった、カシスは私の偽名だった。


「実は、後50銅貨で、目当ての魔導書が買えるんだ」


「へぇ……」


 バカっぽそうだから魔法のたぐいはダメそうに思えたのだが、結構勉強熱心なのかもしれない。


 活き活きと話すユージは少し愛らしかった。


「でも、露店売りだから明日まで残ってるかな……」

  

 急に弱気になるユージ。


 その豹変ぶりに私はチクリと胸を打たれた。


「……」


 こういう時友達だったらどうするんだろう?


 貸してあげればいいんだろうか?


 実は、私は、その時まで友達がいなかった。


 プライドが強く高飛車過ぎて、気がつけば1人で強くなっていた。


 友達を羨ましいと思った時期があったが、出会いが有れば別れがある、戦闘により死別などになったら悲しいのだから


 別に作らなくてもいいんじゃないかと思った。


「あ、ごめんごめん、しんみりしちゃったね……あはは、よっし、明日も頑張るぞっ!!」


「……」


 なんというか、ユージをほっとけなかった。


 そして、暫くしてから、雑談が弾んだ。


 想像以上にユージはヘタレだけど、面白く優しい人なのがなんとなくわかった。 


 久々に、ほんの少しだけど笑った気がした。


「そろそろ、宿に戻らないとかな?」


 広い町にいたので、宿屋は何件もあり、私とは別の宿だった。


「……」


 このままじゃ一日限りの関係になりそうな気がした。


 ふと、ユージと冒険したさっきの時間と、ユージと一緒に戦闘する未来が脳裏に浮かんだ。


『カシスさん! 今ヒールするからね、少し待っててね!』


『わかった、それまで凌ぐわ!』


 それから、一緒にごはんを食べたり


『カシスさん、お疲れ様、クエストも無事終わったしパーッとやろうね!』


 ……。


 そして、その想像に居る私は、楽しそうに笑っていた。


 そして、その直後、余りにも差がある、今までの一人ぼっちの私が脳裏をよぎっていた。


 このままじゃ一生会えない気がして、そして、想像以上に誰かと冒険するのが楽しんだということが分かって。


 もう今までの一人ぼっちに戻るのが耐えられない気がした。


 だから声を振り絞って約束を取り付けないと……。


「……」


 そうは思っても、友達が居ない私はなんて声をかけたらいいかわからなかった。


 悔しく涙が出そうになったその時だった。


「……えっと……あのさ……良かったら明日も……」


「……えっ?……」


 思いもしないユージからの誘いだった。


……。


……。


……。


「うん……いいよ」


「やったぁー! 約束だよ、じゃぁうーんとどこがいいかな?中央の広場? それともギルドで待ち合わせ?」


 さっきまでの魔導書のことで悩むユージとは別人だった。


 そして、私は、なんとなく確信した。


 ユージとだったら、一時、或いは末永く冒険のパートナーとしてやれる気が。


 そう思うと嬉しかった。


 体中がそわそわした。


 別れてもいないのに、明日を待ち遠しく感じた。


「じゃ、ギルドでいいんじゃない?早く来てもクエストチェックしてれば良いしさ」


「あっ、イイネ! カシスさん頭いい! じゃぁ、明日、朝食済ませたらギルドで!!」


 子供のようにはしゃぐユージ、


 それとは同時に、カシスという偽名に胸をチクリと打たれた。


 背を向けるユージを私は呼び止めるのだが


 蔑まれる一言をいわれないかが怖く


 結局、偽名だということは言えなかった。


 それでも、不思議そうに此方を見ているユージにちょっとでもお詫びが伝わればと思い


 金袋から銀貨を取り出し、指で弾いて渡した。


 思いもしない銀貨の投げ渡しをユージは受け損ない、額に直撃してしまう。


「ぁぃたっ!!な、何?」


 額をさすりながら、落ちた銀貨をゆっくりと拾うユージ


「あたしからの餞別、明日は足引っ張らないでね」


「……」


 ……私としたことが、また生意気になっていた、嫌われないだろうか? つき返されないだろうか?


「ありがとう、魔導書買って強くなるね!」


「うん……」


 予想していた以上に私とユージは相性が良かった。


 それから、魔導書の買い物に付き添ってから、それぞれの宿へむかった。


 それがユージとの出会いの最初の1日だった。


 


 だからこそ、フクロウとユージが少し重なって見えた。


 でもそんな訳ないし、ユージのほうが数倍イケメンだし……。


 そっくりさんというか、中途半端ににているから苛ついてるのだ。


 ようやく結論が出てすっきりした。



 しかし……


 イラつくと同時に、ユージと同じ気持になっているんだと気づくのは、約10分後だった。

さっさっと1話でカルラさんが泣きつくシーンまでかけるかと思ったら

お得意の心理描写が少しだけ冴えていい話になりました。

そんなこんなで次回は後編です、 ブクマ評価励みになります!!

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