ホームシックと涙と
5日も放置していたなんてorz……14ブクマ有難うございます。
でもようやくおにゃのこ要素ですよ グヘヘ(滅
想像していたのと全然違う展開に………でも個人的には凄く好きかも。
それなりに力を入れて書きました。 例のごとく誤字脱字修正は、日を改めて
第一章(Act.1)も@3話ぐらいで終わりかな?
トントン……
と優しいノックの音が聞こえる。
「お客様、タオルと汚れた衣類の回収に参りました」
「は……はい……」
不思議な夢だった、でも内容を覚えていない。
夢のことを考えながら、ドアを開ける。
ドアを開けると、同い年ぐらいの女性が居た。
宿屋の娘さんだろうか?
ふと、下着にパンツ一丁だったのに気付き思わず苦笑いが出る。
疲れが残っているせいか、目が覚めたりや慌てたりはしなかった。
そして、すっかり冷め切ったタオルと、さっきまで着ていたパンツと下着を渡しす。
結構な労働をしたわけで、汗臭くないだろうか?
そうは思いつつも、寝起きのせいで頭が働かずそのまま渡してしまった。
「……ま……いっか……宜しくお願いします」
「はい、明日のお昼ぐらいに乾きますのでそれ以降に宜しいですか?」
「わかりました、夕方ぐらいまでには……多分明日もお世話になると思うので」
それから、娘さんはすぐに部屋を出ていき、3分ぐらい経って、ご飯が運ばれてきた。
宿屋の代金も安いからあまり期待はしてなかったものの
肉、山菜、汁物、白飯は、木や竹の皿で出来ており、プラスチックの様なコップに入った水がセットで運ばれた。
素朴な味で、ついつい、幼いころ食べた、おばあちゃんの料理やお母さんの手料理の味が思い出され
お母さんの安否が分からないのが凄く歯がゆかった。
いつか、こういうことを気にせず生きていけるようになるのかな?
……。
……。
……。
全部のおかずを食べ終わり、白飯の最後の一口をゆっくり口に運ぶ。
……。
最後の一口は僅かにしょっぱかった。
……帰りたい……。
そう思いながらも体は勝手に動く、それだけ精神的に成長してしまった。ということだろうか?
ドアを開け、部屋の外に食器を載せたお盆を起き、鍵を閉めてベッドにダイブする。
……
お母さん大丈夫かな? ……ペットの世話も大丈夫かな?……
……もう一回ぐらいお父さんに会いたかったなぁ……。
いろんな事が頭を駆け巡った。
ネガティブな気分は、僕を不安にさせるのだが
幸い、冒険の疲れで、ぐっすり眠ることが出来た。
ノックの音で目が覚めた。
「フクロウさん、朝食はどうなさいますか?」
「……んっ……あ、お願いします……」
早起きをする予定がそうはいかなかった。
目覚まし時計欲しいなぁ……。
そう思っていると、再び大きな欠伸が情けない声をださせた。
「ふぁああ…… そっか……異世界か……」
記憶はだいたいある、女の子を庇って、トラックに轢かれて……。
夢だといいんだけどな……。
前世の未練はあるのだが、今やり忘れていることがあるような気がした。
そもそも、なんで早起きがしたかったんだろう?
……
……
それに気づいたのは朝食を済ませ、ギルド支部に向かおうと身支度をしている時だった。
洗濯物は、夕方以降に取りに来ればいいんだよな……。
値段の割にサービスが充実しすぎている気がする。
とはいえ、所持金が僅かな自分にはありがたい。
……
あ……
ふと脳裏に、昨日洞窟であった魔獣がよぎった。
もし、カルラさんと出くわしたら……。というかカルラさん話聞いてた?……?
道具袋には、水と干し肉が入っている。 魔獣と会話は出来るだろうか?
そのまま洞窟に直行したかったのだが、受付のお姉さんがクエストをキープしてくれていることを思い出した。
それから、急いでギルド支部に向かい、似たような収集系のクエストを受けた。
洞窟の水を汲むクエストもあったので、水を汲む空ボトル、推定500ml入りそうなぐらいの大きさの物を10個受け取り
「頑張ってきて下さいね、フクロウさん」
受付のお姉さんの満面の笑みに、にやけざるおえなかった。
「はい、頑張ってきます!」
そして、ギルド支部を出ようとするとガタイのいい男戦士の様な二人組とスレ違い会釈をして道を開けた。
レベルが高そうだ、某ネットゲームであれば、カーソルでクリックすればキャラ情報が見えるのだが。
そういうわけにも行かない。
……ってそうじゃない!
それから、麻の手袋を装備し、駆け出した。
村の門には、相変わらずモンロウさんが居た。
「おっ、クエストだよな、気をつけてな」
「お、おはようございます、はい」
僕は会釈をしてモンロウさんを横切ろうとする。
モンロウさんは僕のことをどう思っているだろうか?
友達? 後輩?
少なくとも僕は、先輩や友達としてモンロウさんを見ている。
ひょっとしたら前世より居心地がいい世界なのかもしれない。
そう思うと少しだけ気が楽になった。
ふと気になることが脳裏によぎりモンロウさんに問いかける。
「あ、カルラさん見ました?」
「ん? 見てないが、多分、適当にふらついてると思うぞ、じっとするのが嫌なタイプみたいだからな」
「そうですか……」
今すぐにでも駆け出したい気持ちを抑え、平然を装わなくては。
モンロウさんに悟られてはいけない。
「え……えっとじゃ、採取クエスト、イ、イッテキマス!!」
「おっ? おぅ」
か、完璧だ、モンロウさんが見えなくなったら全力で走ろう。
皮の鎧とかもいらないかな?……
鼓動が高鳴るのを感じ、平然を装い、モンロウさんを横切ろうとしたその時だった。
「なぁ、フクロウ、バフいる?」
「バフ?……」
バフ……って何?
いやバフじゃないんだきっと、そんな言葉しらないし、だとするとバフ…バフ……ぱふ……?
ぱふぱふ?……
ぱふぱふってあれ? モンロウさんの胸板にぱふぱふされるのか?
いやいや、人間の男には興味ないし、それに仕事中じゃ?
「け、結構で……」断ろうとしたその時だった。
「………守護せよ……」
「結構で……へっ?」
モンロウさんは何かを詠唱し、キラキラと光る白い光体を召喚し、その光体を僕に放った。
光体が僕の胸元に溶け込んで全身を風が撫でるような感覚があってから、パタンと光体は消えた。
溶けて跡形もなくなったと言えばいいだろうか?
「へっ……?何を?」
「耐久系の守護バフだ。 大した効果はないけどよ、備えあれば憂いなしってな」
「あ、ありがとうございます」
どうやら、バフというのは補助スキルのことらしい。
「急ぐなら、ちょっとの間だけだが、素早さをあげるバフもかけるが」
「へっ?……」
モンロウさんは、初級ヒールのようなものも使えたし、耐久のバフも使え、素早さをあげるバフを使えるらしい。
「あ、じゃ……お願いします」
「オッケー、3分ぐらいだけど、まぁ……気休め程度にな」
そう言われ、さきほどと同じように詠唱後、手のひらに召喚された光体が再び僕にむけられた。
光体の色は、僅かに緑色にも見えた。
そして、体に溶け込み、再び風になでられる感覚があった。
それだけかと思ったが、足が妙に軽く感じた。
「ありがとうございます! じゃ 行ってきます!」
「おぅ、気をつけてな」
それから、僕は、駆けて行った。
足が軽い。
まるで、さっきまで砂浜の上を歩いていて、今は普通の道を歩いているみたいに足が軽い。
恐らくだが、1,5倍ぐらい早くなっていると思う。
そんなに早く走ったら、森の障害物にあたりそうなのだが、
そうでもない、かなり機動性も早く、シュッシュっと茂みや木を避けることが出来る。
10Levelぐらいレベルアップした様な気分だ。
それから、湖につく、昨日とは違う湖の植物が今日の収集対象なのだが
それは後回し。 昨日洞窟に行った時みたいに、腰掛け出来そうな岩を見つけ、そこから洞窟の方向へ駆ける。
と……。
いざ、深呼吸して、駆け出そうとした時だった。
足の軽さがジワリジワリとなくなっていた。
もう3分経ったのだろうか?
なんか凄く変な感覚だ。
でも本当ステキなスキルだな……。
モンロウさんにまた色々教えてもらわないとだ……。
本当にファンタジーの世界に来たんだなと、改めて実感し、テンション上がる中、洞窟へむかった。
入り口には、記憶に新しい照光石がまばらに落ちており、
右手に1個、左手に3個程持ってから、僕は洞窟へむかった。
目の前がまっくらになる当たりで、右手に持っていた照光石に卵を割るみたいに衝撃を与え
その明かりを頼りに、慎重にすすんだ。
昨日とりそびれた、白い草があった。
後で覚えていたら回収しよう。 岩で凸凹で歩きにくい足場に転けそうになりながらも
僕は奥へ進んだ。
洞窟は300メートルほどの一直線らしい
後200メートルぐらいだろうか?
いづれにせよ、昨日より奥に進んでいるわけで、鉢合わせをするとしたらそろそろかもしれない
「ねぇ、誰か居ない? お腹減ってるならご飯あるけど……ねぇってば」
そして、呼びかけながら歩くこと4分ほど、奥についた。
奥は不思議と、岩の足場が少なく、広場になっていて、確かに飲めそうなぐらいきれいな泉があった。
照光石がテカテカし始めたので、その石を足元に捨て僕は、左手に持っていた石を1つ右手に持ち替えた。
手を伸ばせる範囲に壁がなかったのでしゃがみ込んで地面の石にぶつけて衝撃を当てた。
……
「ねぇ? 居ないのかな?誰かぁ……」
当たりを見渡すが、誰の気配も感じない。
思わず、ため息が出た。
ふと最悪なシチュエーションが浮かんだが、血が飛び散っている様子は全くなかったので、ホッと胸をなでおろした。
「会いたかったなぁ……置いとけば帰って食べに来るかな?」
そう思い、僕は道具袋から干し肉を2枚取り出し、地面に置いて、会えなかったがっかりで忘れかけていた
クエストのことを泉を見て思い出し、道具袋から、水をいれる容器を取り出し、水を汲んだ。
汲み終わる途中、泉の水の味が気になり、僕は両手で掬い飲んだ。
……冷たく美味しかった。
味はないんだけど、凄く爽やかで、当然汲みたてなので鮮度バツグンで……。
3回ほど両手で掬い飲んでから、残りの分を汲んだ。
草でも採取して帰ろう……。
どこかに分かれ道が有ればそこに居る可能性があるのだが、一本道なので、魔獣がいることはないだろう。
洞窟付近の茂みではりこんだ方が良いのかな?
それから、備えた干し肉に一礼してからその場を後にしようとしたその時だった。
照光石が、テカテカしだしたので、再び、その石を捨て、左手に備えていた2つのうち1個を右手に持ち替え、地面にぶつけようとしたその時だった。
「動くな、貴様、ここで何を見た? いや 何に会った?」
「へっ……」
僕は驚いた。 気がつけばカルラさんから首元にナイフを突きつけられていた。
僕は頭の中で冷静に状況を判断する。
僕が来た時、ここには誰もいなかったし、誰かがくる気配もなかった。
誰かが来た時の物音や石が転がる音など全く聞こえなかったのだ。
何故カルラさんがここにいるんだろう?
「か、カルラさん? い、いつから?」
「……動くなはやりすぎたか、すまん、で、オマエは何を見た?」
「え……?」
カルラさんは、僕の首に突きつけていたナイフをしまってから、僕の顔をじっとみる。
やがて、照光石が、光をなくし、部屋が暗くなろうとしたその時
カルラさんは、何かを詠唱し、自らの手の上に光り輝く光体を召喚した。
照光石の何倍も明るく、洞窟の奥の部屋がほぼ全域に照らされるほどだった。
魔法って凄い!
それから、必死に誤魔化そうとするのだが、ここに肉食の動物が済むことはありえないし
ましてや、銀貨2枚しかもってない冒険者が、けして安くはない干し肉を意味なく備えるなどないと、論破された。
因みにカルラさんは、僕の呼び声が聞こえ、変な様子なのを察してからステルス系の魔法で身動きとらずじっとしていたらしい。
そして、確証となったのが干し肉を放置し帰ろうとしたかららしい。
「フクロウ、どうしても言えないのか?」
「カ、カルラさんは……沢山の魔物を殺してきたんだよね?……」
僕の今の発言の結論というか目的を言えば、殺しているかを聞き、僕が見た者を殺すんだよね?
という意味で言ったのだ
だから、「無論だ」とか「魔物を殺して何が悪い?」とか
そういう言葉が帰ってくるかと思っていたのだ。
「ウ…………ウッ……」
……カルラさん、どうしたんだろう?
「だ、大丈夫?」
……
カルラさんは、今にも泣きそうだった。
「……ごめん! 変なこと言った?……えーと……」
流石に数秒前なので言った言葉の内容は覚えている。
ブスとか、馬鹿じゃないの?とか そういう言葉を言ったのなら分かる。
ただ、魔物を沢山殺したかを聞いただけだ、どこに泣く要素があったのだろう?
「えっと……えっと……」
「ごめんなさい……ごめんなさい……いっぱい……いっぱい殺しちゃった……約束破っちゃった……ごめんなさい……ごめんなさい」
「…………」
大粒の涙を流し、凄く悲しそうに、申し訳無さそうに、そして愛おしそうに謝るカルラさんは色っぽかった。
「……ごめんね……ユージ、ウグッ……グッ……」
…………。
ユージと言われ、僕は全てを悟った。
それと同時に、モンロウさんと受付お姉さんの言った言葉がリピートした。
『……似てるな……』
『……そうね……』
今まで恐怖の対象という認識が主だったカルラさんのイメージが一気に変わった。
だだ……これほどまでに……
……これほどまでに……
例え殺されてもしょうがないかな……って思いながら、手足震わせながら。
ただ、ただ……目の前で号泣する1人の女性を支えてあげたいと切に思った。
「んっ……」
「大丈夫……大丈夫だから」
僕はギュッとカルラさんを抱きしめ、ただ、なだめる言葉を言った。
勘違いだったら殺されてもしょうがないんだけど、男の本能というか……なんというか……。
カルラさんの髪は、いい匂いがした。
カルラさんの泣いてる声は、色っぽかった。
カルラさんの着ている防具は、硬くないけど丈夫そうだった。
カルラさんの詠唱した光体は、手から離れてもぷかぷかと宙に浮いていた。
「ねぇ……ユージ……」
「……」
ユージではないが、ユージでいないといけない現状。
「ずっと好きだったんだよ?」
「…………ありがとう」
「……いっぱい叱ってね……でも、ユージといるなら誰も殺さないから……本当だよ?」
「……うん」
「ユージ……大好き……」
そういって、カルラさんは、泣きつかれたのか、僕に体を預け、眠ってしまった。
僕は、膝枕をしながら、宙に浮かぶ光体を見て、泣きだしたカルラさんをずっと思い返していた。
……?
アレ? 人生初彼女キタ━(゜∀゜)━?
何かありましたらご連絡お待ちしております。
本当最初予定していた展開と違う……。
覚えていれば、1章が終わる頃に本来の頭の中の予定でも記入します。
でも、魔獣とのシーンが凄く心配な反面どういう展開になるかも楽しみです。
小説を書くってやっぱり楽しいです。
追伸、同じアカウントで書いている、挿絵付き小説の それが故に君が好きで(青春友情もの)も宜しくね!