白き者と1つの望みと
カルラさんの過去話は、簡単ですが加筆して終わらせました、読んでない方居ましたら確認してみてください。(H27 2/10更新)
そして、今回は、主人公が洞窟で出会った魔獣さんの話
後者部分は書き溜めしていたもの
隙を突いて家を抜け出し、楽しく散歩をしていた時だった、何かが全体重を乗せボクを押さえつけた。
地面に押さえつけられ痛い、ジタバタもがくが振り払えない……。
その後に噛み付かれ、体中に激痛が走った。
痛イ……。 助ケテ……。 ゴメンナサイ……。 ゴ主人様……。
強くなりたい……。
何度も、何十回も、何百回も痛みに耐えながらボクは祈った。
……。
気がつけば体の痛みがなくなっていた、薄目を開けると
真っ白い世界の中で僕は、ぐったりとしていた。
まぶたを開けるのも辛いぐらい体が重い、動かない。
暫くして、誰かが喋る声が聞こえた。
でも聞こえてもイマイチ僕にはわからなかった。
確認できる範囲の視界を薄目で見るが、何も居なかった。
でも、不思議と落ち着ける空間で、今はただ、もう少し眠っていたかった。
……。
『にしても、目を覚まさんのぅ……』
『そうですね』
『普通に転生させてもつまらんから、賭けをしないか?』
『……賭け? 内容は?』
『この白き者に2択の選択を与え、わしらの予想を覆した場合リッチに転生させるんじゃ』
『リッチ?……パラメーターとか金銭的にとか?』
『そうじゃな、何がリッチか、そのものが何を望むかってことで』
『2択の選択はどうするのですか?』
『その者が考えたことにする』
『なるほど、フェア……ですかね? あ、人間ではないみたいですよ?』
『うむ、それは分かっておる、下手をすると世界を滅ぼさんという邪悪な存在になるんじゃろうかな?』
『なんか楽しそうですね、まぁ……世界を見守る身としても正直退屈なのでたまには、そのリッチな転生というのも良いかもしれません』
『因みに、この者が好きだったことや望む候補としては、『子孫繁栄のためのHがしたい』『ご主人様に会いたい』『強くなりたい』『美味しいものが食べたい』となっておるな』
『つまり、この中のどれか2つが候補に出ると』
『因みに、わしは、H(子孫繁栄のry)かご主人様に会いたいのどちらかじゃと思うが、お主はどう思う?』
『そうですね、自分も同じです、一番はやっぱりご主人様に会いたいじゃないでしょうかね?』
『愛されて育ったみたいじゃからのぅ、では、順番をつけるならば、ご主人に会う、子孫繁栄のためのHがしたいが候補かの?』
『ですね、転生前にデブっていたとしたら美味しいものが食べたいになるかもですが、ご主人様がいてこその幸せ太りでしょうし』
『因みに、転生前の資料は目を通しました?』
『いや、でも情報が少ないほうがワクワクせんか?』
『そうですねー。 まだ暫く気を失ってますかね? お茶でもとってきますね』
『そうか、では、わしは、ちょっと用をたしにいくとするか……』
賭けとかリッチとか、僕には意味がわからない
あ、でも人参は食べたいかな?
それから暫く経って、再び、声の主の2人が戻ってきた。
『お茶お待たせしました』
『うむ……流石にそろそろ起きておるかな?』
『どうでしょ、ちょっと揺すってみますね』
そう言われ、僕は、透明な何かにそっと触れられた。
反射的にビクッとしてもおかしくはなかったのだが、体が重く、起き上がるのがやっとだった。
警戒心を建てるほど怖い2人ではないとは思うし……。
『おはよう、白き者よ、汝は何を願う?』
「何ガ?何……ノコト?」
ボクは生まれて初めて声を出した。
初めて喋った。自分の声そのまま全くの時差もなく「何ガ?何……ノコト?」と聞こえた。
それと同時に、言葉を初めて理解していることにも気がついた。
そんな感動に浸る間もなく、どこからか聞こえてくるおじさんの声は続いた。
『なんでも一つだけ願いを叶えようぞ』
「エット……アレ?……ドウ、イウコト?……」
『ふむ、知能は与えても回転が思わしくないようだな、では、汝が最後に強く思った2つのうち1つを選ぶといい』
「……ヨク、ワカラナイ、モット、ワカリ……ヤスク……」
『今一度汝に問う、『主人に今一度会いたい』か?それとも『誰にも負けないよう強くなりたいか?』』
その問いかけにボクは…………。
「……強クシテ……大事ナ人ヲ守レルヨウニ……」
『そうじゃろ……そうじゃ……へっ? お主今なんと……?』
ボクの選んだ回答に声の主は驚いていたようだ。
「……」
『む……むぅ……あいわかった、神に二言はない……』
『あはは……賭け負けちゃいましたね、でも自分としては逆に楽しみです』
『そうじゃな、では、白き者、リッチに世界を楽しんでこい』
「りっちッテ何?……ングッ……アレ……」
瞼が重くなり、ボクは再び気を失った。
目が覚めたらそこは、一度も見たことのない、見渡すかぎりの原っぱと森だった。
原っぱの先のだいぶ先には、小さな町が見えた。
ふと疑問に思った。 原っぱとか森とか 小さな町とか……。
アレ? なんでボクにはそれが分かるのかな?
そう、ボクは、4つ足のケモノ、手足と体を見る限り、ボクは全身純白のようだ。
前までは、灰色混じりの体毛だったと思うんだけど……。
それと心なしか、地面までの距離が高い気がする。
そう思いつつも、空腹を感じ、生い茂る草にかぶりついた。
「……ヴッ!?」
口の中に広がる、以前は全然平気で、寧ろ好きだった雑草の青臭さ。
でも、今のボクには、吐き気をもよおすほど異常な味だった。
……草ってこんなにマズかったっけ?
仕方なく、口に含んだ分は、飲み込んでみたが、やはり、何かが変わっているようだ。
空腹を感じた次は、喉に乾きを感じた。
ボクは、水辺を探すことにした。
水辺ってなんだろう、それにしても、疑問だらけの世界だ。
当たり前のようにわかっていることがわからない。
以前のボクはこれだけのことですらうまく認識していなかった気がする。
何度か草や果実を食べた。
生前は食べていた緑の物がマズイ、果実はなんとか食べれる。
しかし、当たりの人気のない森、果実の量は本当に微々だった。
空腹を少し感じたが、苦痛まではいかなかった。
ボクは産まれる前に何をしていたんだろう。
少し前までに覚えていたような大事な人の記憶
頭のどこかに引っかかってそれ以上思い出せなかった。
ボクは誰なんだろう、何者なんだろう? ここで何をしているんだろう。
何をすればいいんだろう? 唯一できることは、生存本能に従い生きることだった。
意外とちゃっちゃか合流するかなと思われた3人のシナリオ、もう少し後になりそうです、気になる魔獣さんのリッチな転生の結果は、続きをお楽しみに!