悪魔の宴
気色悪い描写がありますので、苦手な方は少し閲覧注意かもです。
燭台の火が 煌々と照る宴会場で
悪魔達は食卓を囲んでいた
喚く奴隷に 騒ぐ売女
呻く下僕に 喘ぐ娼婦
フォークで突いて
スプーンで削いで
ナイフで裂いたら
いただきます
脂肪のパイに
内臓のスープ
脳味噌のシチューに
目玉のソテー
どれも これも あれも それも
不味くてちっとも食えやしない
ケタケタ ゲラゲラ 大口開けて
穢れた皿を 床に叩きつけた
飛び散った皿の破片が 窓を割る
割れた窓の向こうには
夜空を支配する 厳かな月の光と
嬌声で扇情する 艶やかな魔女の列
悪魔達は 間もなく沸いた
食い漁った 死体の山を尻目に
唾液を 絶叫とを 狭い部屋に撒き散らし
新たな獲物へ
鋭い眼光をさらに光らせた
ふいに、燭台が倒れた。
無秩序に渦巻いた蝋燭の火が
下卑た歓声に零れていく
火は盛り 炎が猛る
あっという間に あっけなく
絢爛な食卓
下劣な悪魔
醜悪な賤民
みんななかよく
煤けた 塵へと成り下がり
風に煽られ 虚空に消えた
かつての食卓に
辛うじて残ったものは
怠惰に噴き出る 黒煙と
黒く潰された 空の部屋のみだった
これが
今日もどこかで
ひっそりと開催される
悪魔の宴の
成れの果てである
中世っぽい雰囲気好きで書きましたよ。
悪魔の宴は今日も開催されます。
どこか遠い所で。
はたまた身近な所で。
知らず知らずのうちに、自分も参加しているかも。
的な内容でした―。